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事件の闇に呑まれる刑事たち。セザール賞受賞のドミニク・モル監督作「12日の殺人」
2023年11月25日「悪なき殺人」のドミニク・モル監督が、ポリーヌ・グエナのノンフィクションをもとに殺人事件を捜査する刑事たちの運命を描き、第75回カンヌ国際映画祭プレミア部門出品、第48回セザール賞で作品賞をはじめ6部門受賞、第28回リュミエール賞で作品賞・脚色賞受賞を果たした「12日の殺人」が、3月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開。刑事たちを捉えた場面写真が到着した。 [caption id="attachment_32775" align="aligncenter" width="850"] Photo credit: Fanny de Gouville[/caption] フランスの田舎町で10月12日の夜、女子大学生のクララが焼死体で発見される。事件の担当となった刑事は、昇進したばかりのヨアン(バスティアン・ブイヨン)とベテランのマルソー(ブーリ・ランネール)。二人が容疑者候補らへの聞き込みを進めると、全員がクララと関係していたことが判明する。だが犯人の特定には至らず、解決への糸口を見失ったヨアンはいつしか闇に呑まれていく……。 刑事たちの熱意や絆とともに、心の奥底の弱さも描写。深まる謎、広がる混乱とともに、観る者をも翻弄する注目スリラーだ。 「12日の殺人」 監督:ドミニク・モル 脚本:ドミニク・モル、ジル・マルシャン 原案:ポリーヌ・グエナ作「18.3. Une année passée à la PJ」 出演:バスティアン・ブイヨン、ブーリ・ランネール、テオ・チョルビ、ヨハン・ディオネ、ティヴー・エヴェラー、ポリーン・セリエ、ルーラ・コットン・フラピエ 2022/フランス/原題:La Nuit du 12/114分/ビスタ/カラー/5.1ch/字幕翻訳:宮坂愛 配給:STAR CHANNEL MOVIES © 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma 公式サイト:12th-movie.com -
中国時代劇の新たな人気ジャンル“お屋敷ドラマ”『恋心は玉の如き』
2023年11月25日中国時代劇と言えば実在の皇帝や皇后が登場する歴史大作や宮廷ドラマをイメージするかもしれないが、近年では架空設定の作品が増えジャンルも多様化してきている。中でも今、日本で注目されているのが上流階級の一族を主人公にしたお屋敷ドラマだ。 このジャンルは欧米ドラマなら『高慢と偏見』『ダウントン・アビー』といった名作が思い浮かぶが、中国ドラマにはいったいどんな面白さがあるのだろうか。中国お屋敷ドラマの代表作と言うべき大ヒット作であり、BS11(イレブン)にて11月27日から放送スタートする『恋心は玉の如き』を取り上げてその魅力をひも解いていきたい。 侯爵と複数の妻たちを巡る愛憎劇 『恋心は玉の如き』の時代設定は明の時代。架空の人物として登場する徐令宜(じょれいぎ)は侯爵の爵位を持つ武官で妻は正室のほかに複数の側室がいる。それは決して彼が色好みというわけではなく身分の高い家柄であれば政略結婚は避けられないため。彼は水面下で争う妻たちを持て余しつつ夫として最低限の務めを果たす毎日だ。 そんなある日、徐令宜の正室が病のため若くして余命わずかとなる。遺していく幼い一人息子の将来を心配する彼女は夫に異母妹を次の正室に迎えてほしいと頼み、その望みを聞き入れた彼は彼女の死後、聡明で思慮深い羅十一娘(らじゅういちじょう)と婚礼を挙げる。ところが、自分こそが徐令宜の正室にふさわしいと考えていた我儘な令嬢・喬蓮房(きょうれんほう)が側室として嫁いできたことから、妻たちの争いは一気にきな臭くなってくる。 そんな一夫多妻のお屋敷で起こる愛憎劇は皇帝の妃嬪たちがしのぎを削る宮廷の闘争劇と同じくスリリング。知恵と正義感のある羅十一娘はどのように危機を乗り越えて正室としての地位を守っていくのか。時には面白い頓知も利かせてライバルに反撃していくヒロインの奮闘から目が離せなくなる。 謎解きミステリーと夫婦のロマンス さらに物語は羅十一娘が母親の死の真相を解き明かしていくエピソードも大きな見どころとなる。当初、羅十一娘は結婚を望まず母親と一緒に遠くへ逃げようとしていたが、その途中で母親が何者かに襲われ遺体となって発見される悲劇が起こっていたのだ。 そして、ある手がかりからこの件に徐家が関係しているのではないかと考えた羅十一娘は、逃げるのをやめて徐令宜に嫁ぐと密かに事件のことを調べ始める。この謎解きミステリーは二転三転しながら進行し予断を許さない展開で最後まで視聴者を引きつけることに。しかも海上貿易が禁じられていた明の時代背景を踏まえたサスペンスが描かれ、徐家の愛憎劇というミクロな視点が朝廷の政争というマクロな視点へと拡大していくストーリーテリングが秀逸だ。 また、このようにマイナスの関係から始まった羅十一娘と徐令宜の夫婦の物語が思いがけず甘いラブストーリーへと転じていくのは、「先婚後愛」(「結婚してから愛を育む」の意)のプロットが得意な中国ドラマらしい演出。羅十一娘は徐家を守る重責を果たすため心を閉じていた徐令宜の真心に触れ、羅十一娘によって自分を取り戻した徐令宜は彼女と掛け替えのない愛を育んでいく。その過程を奥ゆかしい繊細な描写で綴るシーンの数々は心が洗われるような感動をもたらしてくれる。 トップ俳優たちが演じる理想の夫婦像 なお、本作は中国でもトップの実績と人気を誇る俳優たちが主演している。羅十一娘役のタン・ソンユンは『宮廷の諍い女』の端役から着実にステップアップして、2020年の『家族の名において』で国劇盛典・年度青春飛躍女優賞ほか多くのアワードで受賞した実力派だ。 また、徐令宜役のウォレス・チョンは90年代から第一線で活躍、『孤高の花 ~General&I~』で日本でも人気の高いアラフィフ俳優。歌手としても有名な彼は今なおコンサートを開けば幅広い年齢の女性ファンが殺到、テレビ番組では20代の若いアイドルたちと対等にダンスバトルを繰り広げて“中年男性の星”とも呼ばれる存在だ。 そんな2人が演じたのが、自ら運命を切り拓いていく自立した女性と妻の生き方を尊重して対等なパートナー関係を結ぶ夫という、封建社会における夫婦像とは一線を画す現代人が共感できる理想の夫婦像であったことも、このドラマが国内外で多くの視聴者に支持された理由だろう。 近年、欧米ドラマも『ブリジャートン家』『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』のように、歴史をただなぞるのではなく現代的な価値観から物語を再構成する時代劇が増えている。そんなトレンドに当てはまり、愛憎劇、ミステリーだけでなく夫婦のロマンスも盛り上がる中国お屋敷ドラマ『恋心は玉の如き』。その物語世界をぜひこの機会にじっくりと味わってみてほしい。 文=小酒真由子 制作=キネマ旬報社 「恋心は玉の如き」 ★11月27日(月)より毎週月~金曜日 午後1時00分~2時00分 ★BS11にて放送 ★監督:ウン・ダーグアン(温徳光)『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』、ヤン・シアオボー(楊小波)『夢織姫〜秘密の貴公子に恋をして〜』 ★脚本:チョン・ティンユー(程婷鈺)『白華の姫~失われた記憶と3つの愛~』 ★出演:ウォレス・チョン(鍾漢良)(『孤高の花~General&I~』)、タン・ソンユン(譚松韻)(『花様衛士〜ロイヤル・ミッション〜』)、タン・シアオティエン(唐暁天)(『溺愛ロマンス~初恋、やり直します!~』)、ハー・ホンシャン(何泓姍)(『如懿伝(にょいでん)〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』) ©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited 公式HP:https://www.bs11.jp/drama/koitama/ -
移民とどう向き合うか? 日芸の学生が映画祭〈移民とわたしたち〉を主催
2023年11月24日日本大学芸術学部映画学科3年映像表現・理論コース映画ビジネスゼミが、映画祭〈移民とわたしたち〉を主催。12月2日(土)〜8日(金)にユーロスペースで全14作を上映する。 日芸生が主催する映画祭は、今年で13回目。〈移民とわたしたち〉というテーマの発案者かつ映画祭の代表者は中国人留学生で、ゼミメンバーは在日コリアンを含む15名。作品選定、上映交渉、ゲスト交渉、チラシやパンフレットの制作、会場運営まで学生が主導する。 日本は1980年代に外国人労働者を受け入れ始め、2022年末の在留外国人は400万人以上(出入国在留管理庁調べ)。しかし、2021年3月に名古屋出入国在留管理局でスリランカ人のウィシュマさんが死亡した事件などにより、外国人の生きづらさや人権問題に目が向けられるようになった。今年6月9日には外国人の収容や送還のルールを見直す改正入管難民法が成立し、世間の問題意識は高まっている。 在留外国人の実態、また、日本人から見た彼らの存在とは──。日本に生きる外国人を描いた作品を中心に、海外へ渡った日本人の物語、移民を扱った海外作品も上映し、この問題を考える。 〈映画祭に寄せられた著名人コメント〉 多様性という繊維、SDGsというファッション。人間は作り物ではない。人間は着飾るための駒でもない。本質がずれつつある社会で、映画がもつ可能性を噛みしめてほしい。無関心化が進む現代社会では共存も調和も生まれない。映画は100年先まで残る大事な歴史の記録。生きた証言の行動が止む前に、記録として残していく遺産。いいことも、悪いことも、不都合な真実も、すべて、暴ける。それが映画の魔法です。知らなかった世界を覗きながら、当事者たちの言葉と映画の息吹きを感じてほしい。明日はアナタが彼等の立場になるかもしれないから。 ──サヘル・ローズ(女優/コメンテーター) 日本に留学生として、或いは働くために入国している外国人たちに、日本の政治は与野党共に冷酷で、外国人を差別している。例えば、2021年にスリランカ国籍のウィシュマさんが出入国在留管理局に収容されている時に死亡した事件が記憶に新しい。この出来事は、発覚当時から大問題として多くのメディアが報じたが、外国人差別の状況は今もあまり変わってはいない。映画を通して、移民や外国人について考える機会をもってほしい。 ──田原総一朗(ジャーナリスト) 30回にわたり点滴や入院治療を求め続けたスリランカ人女性ウィシュマさんは、1本の点滴も打たれることなく見殺しにされた。あの非情な死亡事件で、どれだけ人権意識が欠如した国なのか、みな知ったはずだった。しかし事件から2年後、難民申請を原則2回目までとする改悪法が国会で成立。難民認定率1%以下の日本で今後、さらに多くの外国人が命の危険に晒されようとしている。このような不条理が続いている現状を私たちは許していいのか。 ──望月衣塑子(東京新聞記者) 私たちの社会はすでに多様だ。けれどもマイノリティの姿は、時にステレオタイプ的に、時に悪意の対象として、また時に過度に美化され、表象されてきた。大切なのは各映画を通して、それが「なぜ」なのかを考えることではないだろうか。 ──安田菜津紀(認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト) 〈上映作品14本一覧〉 「山河あり」(松山善三/1962/127分/松竹) 「女衒」(今村昌平/1987/124分/東映) 「月はどっちに出ている」(崔洋一/1993/109分/シネカノン) 「イゴールの約束」(ダルデンヌ兄弟/1996/93分/ビターズ・エンド) 「からゆきさん」(木村荘十二/1937/59分/東宝入江プロダクション) 「スワロウテイル」(岩井俊二/1996/149分/角川) 「サウダーヂ」(富田克也/2011/167分/空族) 「ル・アーヴルの靴みがき」(アキ・カウリスマキ/2011/93分/ユーロスペース) 「かぞくのくに」(梁英姫(ヤン ヨンヒ)/2012/100分/スターサンズ) 「バンクーバーの朝日」(石井裕也/2014/132分/東宝) 「海は燃えている」(ジャンフランコ・ロージ/2016/114分/ビターズ・エンド) 「レ・ミゼラブル」(ラジ・リ/2019/104分/東北新社) 「海辺の彼女たち」(藤元明緒/2021/88分/株式会社E.x.N) 「東京クルド」(日向史有/2021/103分/東風) 〜映画祭「移民とわたしたち」開催概要〜 主催:日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース映画ビジネスゼミ、ユーロスペース 会期:2023年12月2日(土)〜12月8日(金) 1日4回、各作品2回ずつ上映 会場/一般の問い合わせ:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5KINOHAUS3F TEL:03-3461-0211) 公式ホームページ:http://nichigei-eigasai.com/ Twitter:https://twitter.com/nua_eigasai2023 Instagram:https://instagram.com/nua_eigasai2023 Facebook:https://www.facebook.com/nichigei.eigasai/ -
棺と旅する少女と祖父の寓話「葬送のカーネーション」、メインビジュアルと本予告映像
2023年11月24日荒涼とした冬のトルコ南東部。少女と祖父は、祖母の遺体を納めた棺とともに、越境の瞬間を夢見ながら歩き続ける──。第28回テトゥアン地中海映画祭コンペティショングランプリと第27回ソフィア国際映画祭審査員特別賞を受賞し、2022年東京国際映画祭〈アジアの未来〉部門に出品された新鋭ベキル・ビュルビュル監督作「葬送のカーネーション」が、1月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、恵比寿ガーデンシネマほかで全国順次公開。メインビジュアルと本予告映像が到着した。 予告編には、洞窟での焚き火、雪の中で踊る人々、棺で眠る少女、フェンスの向こうの世界など、印象的なシーンが登場。生と死、過去と未来、現実と虚構が交差した、現代社会の新たな寓話に注目したい。 Story 年老いたムサは、亡き妻と交わした遺体を故郷に埋葬するという約束を守るため、棺とともに旅している。親を亡くした孫娘のハリメは、紛争が続く故郷に帰りたくないが、仕方なく同行している。彼らは道中の人々から、神の啓示のような“生きる言葉”を授かりながら進んでいくが……。 「葬送のカーネーション」 監督:ベキル・ビュルビュル 脚本:ビュシュラ・ビュルビュル、ベキル・ビュルビュル 出演:シャム・シェリット・ゼイダン、デミル・パルスジャン 海外セールス:Alpha Violet 配給:ラビットハウス 協賛:トルコ文化観光省、トルコ国営放送局 2022/製作 トルコ・ベルギー/トルコ語・アラビア語/16:9/5.1ch/カラー/103分 ©FilmCode 公式サイト:https://cloves-carnations.com -
〈anan猫マンガ大賞〉受賞作を映画化。安達祐実 × 倉科カナ × 渡邊圭祐「三日月とネコ」
2023年11月24日〈第1回anan猫マンガ大賞〉で大賞を受賞した『三日月とネコ』(集英社マーガレットコミックス刊)が、安達祐実、倉科カナ、渡邊圭祐の主演で、『夫を社会的に抹殺する5つの方法』などの上村奈帆監督により映画化。5月よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで公開される。主人公たち+猫の集合写真が到着した。 40代の書店員・灯(あかり)、30代の精神科医・鹿乃子(かのこ)、20代のアパレル店員・仁(じん)。熊本地震をきっかけに出会った3人は、愛猫のミカヅキを交えて一緒に暮らしている。普通の人生を歩んできた灯にとって、人生で一番《普通ではない》その生活は、とても楽しくて……。三日月のように満ちていく途中の迷えるオトナ3人+愛しい猫の共同生活物語。 〈コメント〉 安達祐実 主人公の戸馳灯を演じることになりました! 灯、鹿乃子、仁、バラバラな三人が猫という共通点で繋がって、それぞれが新しい明日を模索していきます。 共に時間を過ごすうち、自分らしさ、相手らしさを受け入れて、愛おしい三人らしさを見つけていくのです。 ぜひ劇場で、すこし不器用で一生懸命な三人と、かわいい猫たちに癒されてください。 倉科カナ この度、三角鹿乃子を演じさせていただきました。 わたしも熊本出身で、熊本が大好きなので今回のオファーをいただけてなにかのご縁を感じています。 迷えるオトナ3人と愛しいネコたちの共同生活物語、ほっこりと楽しんでいただけたら嬉しいです。 渡邊圭祐 波多浦仁を演じさせていただきました。 すっかり犬派だった私もうっとりしてしまうくらい、とにかく可愛い猫との撮影の日々を過ごしながら、普通とはなにかを考えさせられる作品でした。 心温まる歪な3人とネコの共同生活の物語がたくさんの方の元に届けば嬉しいです。是非ご覧ください。 脚本・監督:上村奈帆 ウオズミアミ先生の素敵な原作を、安達祐実さん、倉科カナさん、渡邊圭佑さんが魅力いっぱいに演じて下さいました。私は、この3人とネコたちの暮らしがとても好きです。思い描いた未来とはちがうけど、思いがけない出会いで満たされていく人生…。2024年は初監督映画が完成してからちょうど10年。大切な作品と迎えられることを心より嬉しく思います。 原作:ウオズミアミ はちゃめちゃに嬉しいです。生きててよかった… 楽しみすぎて公開まで眠れません。 大事に推して下さった全ての人に感謝します。 映画も応援よろしくお願いします!! 「三日月とネコ」 出演:安達祐実、倉科カナ、渡邊圭祐 脚本・監督:上村奈帆 企画:BOOKS BROTHERS 製作プロダクション:アットムービー 配給:ギグリーボックス 製作:映画「三日月とネコ」製作委員会 ©2024映画「三日月とネコ」製作委員会 ©ウオズミアミ/集英社 公式サイト:https://mikazuki-movie.com/