「クルックリン」のストーリー

70年代のブルックリン。カーマイケル一家はクリントン(カールトン・ウィリアムス)、ウェンデル(シャリフ・ラシュド)、ネイト(クリス・ノウィングス)、ただ一人の女の子トロイ(ゼルダ・ハリス)、末っ子のジョセフ(ツィーマック・ワシントン)と5人の育ちざかりの子供に母親の声が重なって、とにかく騒々しい毎日だ。大黒柱のはずのダディ(デルロイ・リンド)は売れない音楽家で、自分の音楽にこだわるあまり家計の貧しさから逃避しているが、子供たちにはとても甘い。マム(アルフレ・ウッダード)は家計のために昼夜を分かたず働き、子供たちには口うるさく接するが、それも良識ある人間に育てようとしてこそ。当然子供たちは「ダディの方がいい」と言っては、またもやマムに怒られる。マムの目を盗み、夜中にこっそりテレビを見るのも楽しみの一つ。平凡な家の中の日常とは裏腹に、一歩表へ出ると近所のチンピラ兄弟(スパイク・リーほか)がシンナー代欲しさに子供たちを脅迫し、隣人とは犬猿の仲でトラブルばかり。そして家の中でもついに、金にならない曲ばかり書いているダディにマムの怒りが爆発した。家を出ることになったダディを見送る子供たちに、寂しさは隠せない。しばらくしてダディは戻ってくるが、音楽への情熱はそのままで夫婦の間は平行線、事あるごとに家計についての議論が持たれる。夏休み。トロイはうるさい親兄弟と離れて、叔母さんの家で優雅なひとときを送る。初めは嫌がっていたが、いとこのヴァイオラとは仲良しになれたし、お誕生日も祝ってもらって、かなりご機嫌。ただ、厳格でデリカシーのないソング叔母さんのことは好きになれない。1ヶ月が経ち、トロイにマムから手紙が届く。ようやくダディのコンサートが実現し、帰りの飛行機のチケットが同封されていた。ニューヨークの空港に降り立ったトロイは、迎えに来たマキシン叔母さん(ジョーイ・スザンナ・リー)から、マムが入院したことを知らされる。病院のベッドでマムは「自分に代わって兄弟の面倒を見て」と頼み、間もなく帰らぬ人となる。涙は見せないものの、葬儀に出ないと駄々をこねるトロイにダディは優しく説得する。ようやくたちなおったトロイは兄弟の姿を見て、マムとの約束を果たさねばと心に誓う。大きな悲しみの後で、彼女は少し大人になったようだ。

今日は映画何の日?

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