「東京少女」のストーリー
SF作家を夢見る女子高生、未歩(夏帆)は幼い頃に父を亡くし、現在は母・妙子(秋本奈緒美)とふたり暮らし。ある日、未歩は赤坂のレストランで妙子から交際相手の塩見篤史(近藤芳正)を紹介される。しかし、母の恋人を認めたくない未歩はその場から立ち去ってしまう。気持ちの整理がつかないまま階段を駆け下りていると、突然地震が起きて未歩の手から落ちた携帯電話が光に包まれ消えてしまう…。明治45年。夏目漱石の弟子であり小説家志望の宮田時次郎(佐野和真)は、赤坂の出版社を訪れていた。持ち込んだ小説がボツになり、肩を落として帰ろうと階段を下りている時、地震が起こる。揺れがおさまると、天井からなにやら見慣れない物が落ちてきた。時次郎は不審に思いながらも、その小さな箱のようなモノを持ち帰る…。未歩は失くした携帯電話を取り戻そうと、自宅から自分の番号に電話をかけてみる。何度か試していると、突然見知らぬ男の声が聞こえてきた。しかし、相手の青年・時次郎の話すことはなぜかこちらと噛み合わない。携帯を受け取るために聞いた住所も今は存在しない住所であった。最初は腹を立てていた未歩だったが、そのうちにどうやら携帯が明治時代にタイムスリップしてしまったらしいことに気付く。未歩は混乱しながらも時次郎が明治時代の人間であり、月が見えている時だけ携帯で会話ができるということが分かってくる。そして未歩と時次郎の時間を越えたやり取りが始まり、お互いの悩みや不安を話していくうちに、いつしかふたりは惹かれあっていく。しかし、電話の充電はあとわずか。限られた時間の中でふたりは時を越えたデートをする。銀座から日比谷、そして隅田川にかかる新大橋へと向かう未歩と時次郎。しかし、その想いをはっきりと自覚するようになった頃、未歩は当時の新聞記事から、時次郎が池で溺れて死んでしまうことを知る……。