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「精神」のストーリー
岡山県岡山市にある外来の精神科診療所「こらーる岡山」には、統合失調症や躁鬱病、摂食障害、パニック障害、人格障害、その他様々な神経症を患う人々が通っている。診療所の代表も務める山本昌知医師の診察室に入るなり、死にたいと泣き崩れる女性。彼女の両手首には無数のリストカットの跡。彼女は二児の母親だが、子供たちは施設で暮らし、今は生活保護で命をつないでいる。別の女性は、周囲に理解されず八方塞がりの中、自分の息子を殺してしまった。彼女も自殺未遂と精神科病院への入退院を繰り返していた。また、ある男性は10代の頃発病し、その後25年間、山本医師の診察を受けている。現在はこらーるに通いながら、写真を撮り詩を書いて自分の気持ちや世界観を表現する。別の男性は、毎週訪れるヘルパーに料理を習い、生活する力を身につける努力をしているが、刻々と迫る老いに直面し、将来に対する不安を山本医師に吐露する。そんな中、国会では障害者自立支援法案が通過しようとしており、スタッフや患者の危機感は募るばかり。診療所の事務室では、医療コストを削減しようと次々にサービスをカットしてくる行政側と、そうはさせまいとする診療所スタッフのせめぎ合いが連日のごとく続いていた……。