「泥棒貴族(1966)」のストーリー

香港のナイトクラブ。イギリス人のハリー(マイケル・ケイン)は相棒のエミールとともに、1人の踊り子ニコール(シャーリー・マクレーン)に、5000ドルになる仕事をしないかと持ちかけた。2人の話した仕事の内容は――ハリーとニコールが、イギリス貴族に化けて、中東の石油王国ダムーズに行き、土地のホテル、セミラミスの持主で億万長者のシャベンダー(ハーバート・ロム)と親しくなる。2人は彼の部屋に招かれ、彼の所有する仏像で、マルコ・ポーロが中国から持ち帰ったという、いわくつきの秘宝のしまい場所をさりげなく調べる。やがてシャベンダーは、2人を夕食に誘い出すだろう。そうしたら、ハリーは口実をさがし、ニコールだけが出かける。その留守にハリーが仏像を盗み出す――というものだった。そして成功したら、報酬5000ドルを支払うことで、2人はニコールを説得した。計画は実行に移されたが、ただひとつの計算違いは、シャベンダーが非常に用心深い男だということだった。彼は仏像に盗難予防装置までつけていた。計画通り、ニコールとシャベンダーが夕食に外出した。しかし、シャベンダーのあまりの用心深さに、ニコールは途中からひきかえし、ハリーに忠告したがハリーは聞き入れず、仏像を台座から、見事はずした時、盗難予防の電気装置が動き出した。そこへ、シャベンダーも帰ってきてしまった。ハリーは仏像を持って逃げのびたが、怒ったシャベンダーはハリーが盗んだ本物の仏像を返さぬ限り殺すとわめきちらし、新聞にもデカデカと報道されてしまった。数日後ハリーから、シャベンダーのもとへ、1通の電報が届いた。それには盗んだのは本物ではなく、別の仏像であると書いてあった。調べてみるとその通りだった。これでハリーも殺されないですむ。ハリーの相棒エミールは偽作の名人で、本物が盗まれたと信じている世間の目をあざ笑うように、仏像の偽作を作り続けるのだった。彼らの本当の計画は、世間を騒がせておいて、偽作を盗んで本物らしくみせて、高価に売りさばくことだったのだ。