解説
20世紀初頭のアメリカを舞台に、珍妙な健康法に狂騒する人々をシニカルに描いたブラック・コメディ。実話を基にしたT・コラサッゲン・ボイルの小説『ケロッグ博士』(邦訳・新潮文庫刊)を、「ザ・コミットメンツ」「愛と哀しみの旅路」のアラン・パーカーの監督・脚本で映画化。製作はパーカーと「ザ・コミットメンツ」のアーミヤン・バーンスタイン、「ミシシッピー・バーニング」のロバート・F・コールズベリー、エグゼクティヴ・プロデューサーはトム・ローゼンバーグとマーク・エイブラハム、撮影はピーター・ビジウ、音楽は「スモーク」のレイチェル・ポートマン、美術は「ザ・コミットメンツ」のブライアン・モリス、編集はゲリー・ハンブリング、衣裳は「キャリントン」のペニー・ローズがそれぞれ担当。出演は「ニクソン」のアンソニー・ホプキンス、「ケーブルガイ」のマシュー・ブロデリック、「アサシン」のブリジット・フォンダ、「ブロードウェイと銃弾」のジョン・キューザック、「ウェインズ・ワールド」のダナ・カーヴィ、「ウェールズの山」のコルム・ミーニー、「スリーサム」のララ・フリン・ボイル、「バロン」のジョン・ネヴィルなど個性派俳優が競演。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
ケロッグ博士というのが、あのコーンフレークのケロッグとは知らなかった。映画の時代背景は、まだ自動車が出てきてないので、1910年前後というところか(まだ南部や中西部では西部劇の時代)。ウェキおじさんによると、淀川長治さんは評価していたとのことだが、私が求めているアラン・パーカーはこんなんじゃない。確かに時代背景を描くために、セットや衣装などずいぶんとお金がかかっているとは思う。そんなところが豪華だって、映画としてつまらなければ意味ない。何故、こんな題材を選んだのだろう。「エビータ」(これも失敗作だと思うが)は、まだ、題材として面白い。でも、ケロッグ博士のサナトリウムを舞台にして、その奇妙な医療行為を見せても面白くもない。アラン・パーカーもそれを知ってか、コメディにしたのかな。ポール・トーマス・アンダーソンの「ザ・マスター」でも、似たような胡散臭い人間を描いているが、これはシリアスに描いて成功しているのに。でも、アメリカ人ってこういう胡散臭いのが大好きだよな。それはトランプの再選によく象徴されている。陰謀論とか、民間療法とか、キリスト教を名乗る宗教団体とか。アラン・パーカーは、こんなアメリカを皮肉りたかったのかな。
ブリジット・フォンダはきれいだったねえ。何も脱がなくても良かったと思うのだけど。1990年代に活躍して、主演映画もたくさんあったのに、2000年代になってから消えてしまった。ララ・フリン・ボイル、名前を覚えているなあと思ったら、テレビシリーズの「ツイン・ピークス」に出ていたんだ。
「ケロッグ博士」のストーリー
1907年秋。ミシガン州。バトルクリーク・サニタリウム。そこはコーンフレークの発明者で名高いケロッグ博士(アンソニー・ホプキンス)の指導のもと、療養生活を送る施設。ウィル・ライトボディ(マシュー・ブロデリック)は、アルコールと肉の節制のため、ケロッグの説を盲信する妻エレノア(ブリジット・フォンダ)に連れられてやってくる。徹底した菜食主義と禁欲生活こそが健康で長生きの秘訣というケロッグの主張になじめないウィルは、夫婦別室で美しい妻も抱けず、うまい食事もとれず、粗食と浣腸が続く悶々たる日々。若い看護婦グレーヴス(トレイシー・リンド)や向かいの部屋のミス・ムンツ(ララ・フリン・ボイル)をみては妄想にふけっている。うんざりしたウィルはエレノアに家に帰ろうと頼むが、彼女はかつて二人の赤ん坊が死んだのはあなたのアルコールのせいだったと逆になじり返し、聞き入れない。ウィルは物分かりのいい老紳士ハート=ジョーンズ(ジョン・ネヴィル)に教えられた電気毛布でうさ晴らし。ある晩、彼はミス・ムンツに誘惑されるまま彼女を抱いてしまう。一方、夫婦と列車で知り合った青年チャールズ(ジョン・キューザック)は、伯母の資金をもとに健康食品販売で儲けようとしていたが、パートナーのベンダー(マイケル・ラーナー)はとんでもない山師で、あずけた資金も使い切っていた。チャールズはケロッグの養子で厄介者のジョージ(ダナ・カーヴィ)を抱き込み、ケロッグの名を利用してコーンフレークをつくろうとするがうまくいかない。クリスマス。米国菜食主義者協会会長のライオネル・バジャー(コルム・ミーニー)が着任。好色そうで奔放な言動の彼はご婦人方の人気の的で、ケロッグとは犬猿の仲。エレノアも友人のヴァージニア(カムリン・マンヘイム)の言うままに彼のグループに入ってしまう。だが、センターでは電気治療で死亡者が続出、ケロッグの秘書をはじめ、ミス・ムンツも死んだことを知り、ショックを受けたウィルは町へ脱出。レストランでレアステーキとビールを注文し、偶然再会したチャールズと大いに飲み食いした。酔って帰った彼は罰としてケロッグ博士の手術を受けた。春。エレノアは町でスピッツヴェーゲル博士の怪しい“ナデナデ治療”に夢中になる。ウィルはハート=ジョーンズにもらった電気ベルトでひとり悦ぶ日々。健康センター誕生を祝すガーデン・パーティの日。チャールズは出資した工場の視察に叔母の前でしどろもどろ。資金はベンダーが持ち逃げし、罪を彼にかぶせたのだ。逃げまどうチャールズ。一方、ウィルは森でバジャーやヴァージニアと“ナデナデ治療”で恍惚とする妻を見つけて激怒。喧嘩になるが、どうやらお互い健康幻想はなくなったらしく、帰ることに。その夜、センターはジョージの放火で火事になって焼け落ちた。数年後。ライトボディ夫妻は3人の子供をもうけた。チャールズは事業を成功させた。ケロッグ博士は老いてなお意気軒昂だったが、記者たちの前で飛び込みを披露した時、心臓発作で往生を遂げた。
「ケロッグ博士」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ケロッグ博士」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | コメディ |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1994 |
公開年月日 | 1996年9月14日 |
製作会社 | ダーティ・ハンズ |
配給 | 日本ビクター |
レイティング |
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