解説
『シテール島への船出』を準備している映画監督の身辺を現実と映画中映画の二重構造で描く。製作・監督は「アレクサンダー大王」のテオ・アンゲロプロス、脚本はアンゲロプロスとタナシス・ヴァルティノス、トニーノ・グエッラ、撮影はヨルゴス・アルヴァニティス、音楽はヘレン・カレンドルー、編集はヨルゴス・トリアンダフィルー、美術はミキス・カラピペリスが担当。出演はジュリオ・ブロージ、ヨルゴス・ネゾスなど。
ユーザーレビュー
「シテール島への船出」のストーリー
現代の都会。朝、映画監督のアレクサンドロス(ジュリオ・ブロージ)は撮影所に向かった。おりから、彼の作品の主役になる俳優のオーディションが行なわれているが、アレクサンドロスの気に入る者はいない。女優のヴーラ(マリー・クロノプルー)は彼の愛人で、最近冷たいと彼にグチを言う。そんな矢先、ラヴェンダーの花を売る老人(マノス・カトラキス)が入ってくる。その老人こそイメージに描く老俳優だと、アレクサンドロスは直感した。老人を追って地下鉄に乗り港へ行く彼。埠頭まで追ったところで彼は花売り老人を見失う。同じ場面のまま映画中映画になって彼は妹のヴーラ(先出の女優のヴーラ)と二人で、32年前にロシアに亡命した父の帰国を待っている。ウクライナ号から降りたった父スピロ(ラヴェンダー売りの老人)を出迎え、母カテリーナ(ドーラ・ヴァラナキ)の待つ家に案内する。スピロとカテリーナの再会。しかしスピロが何を言ったのか、カテリーナは怒って台所に閉じこもり、スピロは家を去って町の安ホテルに泊った。翌日、親友のパナヨティス(ヨルゴス・ネゾス)らの歓迎を受けるスピロ。山にあるそのむらにスキー・リゾートを造る計画があり、村人は署名をするが、スピロは猛反対し、カテリーナに署名するのをやめさせる。そんな父を非難するヴーラ。今さら母に命令などできるはずはないと……。夜中、スピロはロシアでの生活をカテリーナに語り、あちらにも妻子ができたと告白する。朝、村人たちはみな帰ってゆくが、スピロは一人残った。山では、憲兵隊がスピロの行方を探していた。国籍のないままのスピロがこれ以上面倒を起こすと、滞在許可まで取り消されると、アレクサンドロスに警告して去る彼ら。しかしスピロはカテリーナと二人で山の家に残ると言いはる。雪山の中を追放されたスピロとカテリーナが降りてくる。港。警察はスピロをロシアの船に乗せて帰そうとするが、船は出てしまう。警察はあわててスピロを旧港へ運び彼を乗せたランチがロシア船に追いつくが、スピロ自身がソ連に帰る意思を見せないので、ロシア船は彼の乗船を拒否した。憲兵隊長と港湾警察官はスピロをランチで沖に沖に連れ出しそこにかけられた浮桟橋の上に降ろす。疲れはてて医務室で眠っていたカテリーナが目醒めてカフェに現れ、沖を見る。朝、浮桟橋の上でスピロとカテリーナが抱き合っている。夜明け、スピロは桟橋を繋いだロープをほどく。二人を乗せた浮桟橋は朝霧の中に消えてゆくのだった。
「シテール島への船出」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「シテール島への船出」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | ギリシャ イタリア |
製作年 | 1984 |
公開年月日 | 1986年2月8日 |
上映時間 | 140分 |
製作会社 | ギリシャ映画センター=テオ・アンゲロプロス・プロ=ZDF=チャンネル4=RAI |
配給 | フランス映画社 |
レイティング | |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | カラー/スタンダード |
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