私の記憶だとアキ・カウリスマキが日本に紹介され始めたのは1990年前後に「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」と言う面白い映画がある、と言われてからだと思う。調べると、私も1990年に「真夜中の虹」を観ている。ちょっと変わった雰囲気が気に入って、その後1990年代は彼の公開された映画の殆どを観ていた。
この映画は、彼の1983年の初監督作品で日本での公開は2002年となっている。2000年以降は怪我をして全く劇場映画を観ていなかったんだなあ。元気だったら公開時に観に行っていたろうに。
私がアキ・カウリスマキを好きなのは、あのとぼけた様な雰囲気が良いからだ。似た様にとぼけた映画を作っているのにスウェーデンのロイ・アンダーソンがいるが、アキ・カウリスマキほどにはドラマ性がないかな。同じくとぼけた映画ではウェス・アンダーソンやハル・ハートリーもいるが、両者とも少し毛色が違うかな。
話の大筋はドストエフスキーの”罪と罰”をなぞっているが、設定等は大きく変えている。カウリスマキの映画らしくとぼけた雰囲気を出しているが、珍しく悲劇?となっている。まあ”罪と罰”だからしょうがないか。カメラも結構動いている。初監督作品らしく彼の色合いがまだしっかりと確定していない。
あと、彼の作品には美人が出てこない。今回も登場する女性は美人とは言えないよな。男性の出演者も美男子ではないか。男の人が殆ど口髭を伸ばしていて誰が誰だかわかりずらい。主人公だけは半分禿げた男で髭も生やしていないのでわかりやすいが。
警察が最初に何故主人公が事件に関わっていると思ったのか、そこが描けていないので、何故警察が彼を犯人としているのかが判らないんだよな。警察の第六感で犯人としているのか。凶器のピストルを持った男が電車に轢かれて死んだところで、主人公は免罪されると思ったんだけどな。
いつも北欧の映画を観て感じるのだけど、モノクロームの世界だよな。警察ってあんな地味な感じなんでしょうか。入り口はただの普通のビルかアパートの入り口みたいに地味だ。地味すぎる。また、主人公の部屋も水回りは貧弱だなあ。1980年代はあんな物だったのかなあ。日本だともう少しまともだったと思う。それと顔だったか手だったかを洗って、その辺にかかっているタオルで拭いたかと思ったらそのまま着ちゃって、Tシャツだったのには驚いた。
U-NEXTでアキ・カウリスマキ作品が今月いっぱいの期限の作品が並んでいるので、今月の私はアキ・カウリスマキ月間だ。