解説
サッチャー政権下のイギリスで、ストが長引き困窮する炭坑労働者たちを支援しようとする同性愛者グループとウェールズ奥地の炭鉱町の人々とが結ぶ友情を、実話をベースにカルチャー・クラブやザ・スミスなど1980年代のヒット曲にのせて描いたドラマ。監督はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーをはじめ多くの舞台演出を手がけ、また「背信の行方」といった映画やオペラなど多岐にわたった活躍を見せるマシュー・ウォーチャス。同性愛者グループのリーダーを「やさしい本泥棒」(未)のベン・シュネッツァーが、炭坑町の人々を「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイや「ヴェラ・ドレイク」のイメルダ・スタウントンらが演じる。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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89bubble93
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ミャーノフ大佐
この映画は2014年の映画。舞台は1984年。これを書いている今は2024年。今から40年も前の映画。
そうか、ちょうどエイズが謎の病気として、注目されてきた頃か。あの頃、エイズにかかるのはゲイか、血漿分画製剤を使う患者か、その周辺の人達といわれていた。これがゲイに対する差別を助長していった。かくいう私も血漿分画製剤を使う患者であり、当時、話題になった会社の製剤を使っていた。九死に一生で今もこうして駄文を書いているが。エイズの話、ゲイの話は「フィラデルフィア」や「ダラス・バイヤーズクラブ」を観てください。両方とも良い映画です。
で、話はそれたけど、イギリスでは40年も前からLGBTの活動をしていたんだ。そして政府に痛めつけられている炭鉱労働者と連帯しようと活動する。もうそんな話、ウルウルしないわけないじゃん。LGBTの人達の精神的に強いこと。差別を受けて、それを受け流す、跳ね返す力をつけてくるんだな。ラストは映画的にハッピーエンドだけど、それをわかっても嬉しくなる映画だ。
それに比べて日本は遅いこと。
「パレードへようこそ」のストーリー
1984年、サッチャー政権下のイギリスは不況に苛まれていた。サッチャー首相は20ヶ所の炭坑の閉鎖案を発表するが、炭坑労働者たちはこれに反発。抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとし、炭鉱労働者とその家族たちは生活が困窮していた。ロンドンに住むマーク(ベン・シュネッツァー)はそのニュースを見て、ゲイの権利を訴える大々的なパレードの中で仲間たちと募金活動を開始。そして炭坑労働者支援のためのレズビアン&ゲイ会LGSMを立ち上げる。しかし集まった寄付金を送ろうと全国炭坑労働組合に連絡しても、レズビアン&ゲイ会と名乗ると偏見から冷たくあしらわれてしまう。それならばとウェールズ奥地にある炭坑町ディライスの役場に直接電話したところ、今度はすんなり受け入れられる。ディライス炭坑を代表して彼らのもとにやってきたダイ(パディ・コンシダイン)は、LGSMがどういうグループか全くわかっていなかった。ダイは偏見を持たずにゲイ・バーを訪れ、お金ではなく友情をもらったと大勢の前で熱く語る。このおかげで賛同者は増え、ディライス炭坑への多額の寄付金が集まった。ディライスの委員長ヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)は感謝の意を込めたパーティを企画し、反対を押し切りLGSMを招待。ヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)はミニバスに乗りやってきたLGSMのメンバーを歓迎する。困惑する者もいたものの、次第にメンバーも町人たちも心を開き始め、歓迎会は大いに盛り上がった。ストは42週目に突入し、組合員の家族手当が停止。LGSMがさらなる支援を決める中、ある不測の事態が起こる……。
「パレードへようこそ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「パレードへようこそ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2015年4月4日 |
上映時間 | 121分 |
製作会社 | Calamity Films |
配給 | セテラ・インターナショナル |
レイティング | |
カラー/サイズ | カラー |
公式サイト | http://www.cetera.co.jp/pride/ |
コピーライト | (C)PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED. |
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