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映画専門家レビュー
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ミャーノフ大佐
レビューにあるとおり、映画を観てまず思ったのはフランス映画っぽいなという事。最初思ったのは、両側に高い並木のある路を車で進んでいくカット。ここでフランス映画っぽいな、と思った。何処の映画でもあるだろうというかもしれないが、「男と女」や「RAW 〜少女のめざめ〜」を思い出し、ポーランド時代のポランスキー映画に出てきそうな映像だ。そして絵作りがどうもフランスぽい。そしてラスト近くで娘の彼氏が歌う歌、エンドクレジットの間に流れる歌、シャンソンに聞こえる。で監督のシルヴィア・チャンはフランス留学か何かの経験があるのかと思ったら、それはないんだ。台湾映画が持っているセンスによるものか。台湾映画は侯孝賢辺りから映像がこっているもんなあ。
親子3代女の物語。しかも祖父の本妻がからんで祖父のお墓を移す、移さないのお話。他愛ないと言えば他愛ない話だが、田舎に住む本妻のおばあちゃんと、頑固な母親と、自由に生きようとする娘の、3人の心の機微を描いている。やっぱり女性監督じゃないと、こういう細かい心情は描けないんじゃないかと思ってしまう。私は田舎の古い家に一人で住むおばあちゃんに徐々に感情が移入していく。これは監督で母親役を演じたシルヴィア・チャンの思うところかもしれない。そしていつもそばに居る父の存在が良い。
ところで、この父親、田壮壮が演じている。クレジットで彼の名前を見てびっくりした。田壮壮は映画監督で「青い凧」という映画で文化大革命を批判して、中国共産党からにらまれて干されていた。「青い凧」が公開された後、あるカルチャースクールで映画の講座を取っていたのだが、そこで講師をやっていた刈間文俊先生が「この映画で田壮壮は中国で映画撮れないでしょう。」といっていた。同時代の陳凱歌は最も才能があって「さらば、わが愛 覇王別姫」でカンヌを取ったがその後干されてしまった。張芸謀は陳凱歌の後塵を拝していたが、体制におもねって映画を撮り続けている。まあ、それでも時々良い映画を作っているけど。で、体制におもねらなかった田壮壮は干されてしまったんだなあ。彼の心情とこの映画の彼の役を重ねて観てしまう。田壮壮は少しずつ映画を撮れるようになっているみたいなので、彼の映画を観てみたい。
「妻の愛、娘の時」のストーリー
「妻の愛、娘の時」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「妻の愛、娘の時」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 中国 台湾 |
製作年 | 2017 |
公開年月日 | 2018年9月1日 |
上映時間 | 120分 |
配給 | マジックアワー |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
公式サイト | http://www.magichour.co.jp/souai/ |
コピーライト | (C)2017 Beijing Hairun Pictures Co.,Ltd. |
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