アウトサイダーズの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
息子が怪物的な父親と血塗れで激闘する話かと思ったら、開巻その父親が骨折したと言っていきなり泣き喚いているし、一家の悪事の全貌はまるでわからないし、アクション演出もほぼ皆無で、奇妙な穏やかさが全体を覆う。犯罪映画だと思ったわたしが間違っていたのであって、これは、父親であることの厄介さなどを描いた家族劇なのだ。ある意味、モーテンセン主演の「はじまりへの旅」のアナザーバージョンのようでもある。主題を展開しきれていないもどかしさもあるが、味わいは面白い。
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映画監督
内藤誠
草原を子どもの運転する車が野兎を追いかける迫力たっぷりの場面で始まり、着いた先はトレイラーハウス。犯罪を生業とする、三代の家族とその周辺がテンポよく紹介される。舞台が現代イギリスの一画であるということにまず驚く。以下に続くマイケル・ファスベンダーと父ブレンダン・グリーソンのやりとりがいい。知的なせりふで学校無用論を唱える父と自分は学校へ行きたかったと言う息子。妻リンゼイ・マーシャルと共に子どもの教育を願い、家族愛は人一倍。配役が絶妙で脚本は文明論。
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ライター
平田裕介
クライム・ムービーに毒親というテーマを絡めて、とりあえずドラマ寄りにしました。という感じだがよく絡んでおらず、どちらかのジャンルに絞って観てみようとしても中途半端になるだけ。かといって、父親と息子の愛憎、家族のしがらみをしっかりと描いているわけでもなく、カー・チェイスも英南西部の田舎をただ突っ走るだけなので燃えるわけもでない。バブアーらしきオイルドジャケット、チェック柄のボタンダウンシャツ、チノパンというファスビンダーの英オヤジ全開な格好は◎。
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