最初で最後のキスの映画専門家レビュー一覧

最初で最後のキス

イタリアの高校を舞台に、女子&二人の男子の恋と友情をビタースイートに謳い上げる青春ドラマ。スターを夢見る孤児ロレンツォと孤独な少女ブルー、バスケ選手のアントニオは校内のはみ出し3人組。ある日、ロレンツォは自分たちを阻害する生徒に復讐を試みる。監督・原案・脚本は「はじまりは5つ星ホテルから」の脚本を務めたイヴァン・コトロネーオ。撮影は「グレート・ビューティー 追憶のローマ」「グランドフィナーレ」のルカ・ビガッツィ。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    タイトルから想像した内容とはちがい、イタリア北部の田舎町を舞台にしたシリアスな高校生3人の物語。愕然としたのは、彼らが聞く音楽や夢中になるファッション、いじめの問題、ネット動画で仕返しをする方法に地域性がなく、他のどの先進国社会とも区別がつかないグローバルなものであることだ。若手俳優の熱演には好感をおぼえたけれど、主要人物の3人がそれぞれ同性愛、兄弟の死、性犯罪など大きなトラウマを抱えており、盛りこみすぎて物語が少しギクシャクしているのでは。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    浮きこぼれ3人組を主人公にしたこの映画、邦題にもう少し工夫が欲しいところだが、ドラマの中身はぎっしり。3人の三角関係を主軸にした青春映画であり、そこにはLGBT、いじめ、親子関係等の切実な問題が盛り込まれている。若者、あるいは親の、いずれかに肩入れするのではなく両者を絡ませて、危うく痛々しい3人の日々を描きながらテーマを浮かび上がらせ、衝撃のクライマックスへと導く作劇はうまい。インスタ風の映像、カラフルなファッションにインテリア、音楽も○。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    言うなればイタリア版「はなればなれに」。男女3人が手をつないで学校内を駆け抜けるカットはまさにルーブル美術館のシーンへのオマージュが全開で、拳銃の使い方やミュージカルの要素を取り入れた演出にも目配せがうかがえる。「はなればなれに」へのオマージュといえば「ドリーマーズ」が有名だが、ゴダールへの憧れはイタリア映画史に脈々と受け継がれているよう。男二人に女一人の物語につきものの定石として、関係は悲劇的な結末をむかえるのだが、そんなところも含めて正しい。

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