子どもが教えてくれたことの映画専門家レビュー一覧
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批評家、映像作家
金子遊
五人の難病を抱える子どもの日常を撮ったドキュメンタリー映画。子どもという他者の目線から家庭、学校、病院の姿が鮮やかに浮かびあがる。しかもナレーションや通常の意味でのインタビューを使わずに、子どもたちがカメラの前で私語りをし、モノローグで自分の考えや感情を吐露しているかのように撮影・編集をしている。子どもたちが発する言葉の力には驚くばかり。難病という現実を小さい体で受け入れ、ポジティブに生きるあり方は、まさにわたしたち大人が学びたいことだ。
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映画評論家
きさらぎ尚
「未来の食卓」「ちいさな哲学者たち」「世界の果ての通学路」……、フランスはこの作品も含め児童についての、優れた記録映画を多々生んでいる。背景にあるのは揺るぎない自由意識ではないか。幼いのに難病を抱えて可哀想といった目線はない。医師は子どもに病名を伝え、一人の患者として向き合う。子どもたちが発する言葉も胸に響く。一人の女の子の姉の言う「子どもはやりたいことをするのが一番いいの。もっと命を信じなきゃ」は子どもが発する、大人が肝に銘じるべき金言だ。
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映画系文筆業
奈々村久生
子どもの姿で画面に現れる少年少女たち。難病を抱えた彼らは小さな体で想像を絶するハードな毎日を生きている。しかしその眩しい笑顔と、子どもたち自身の口から語られる前向きな言葉に、「かわいそう」とか「立派」といった感情はまるで当てはまらない。ましてや涙はもっと似合わない。彼らが知っているのは自分自身と生まれてきた世界を愛すること。そのシンプルなことがどれだけ難しいか――。自分の運命を受け入れて目の前の人生を楽しもうとする生き様は本当にかっこいい。
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