スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼の映画専門家レビュー一覧

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

恋人がスマートフォンを落としたのを契機に過去を暴かれ命を狙われるミステリー「スマホを落としただけなのに」の続編。連続殺人事件から数ヶ月後、同じ現場から次々と若い女性の遺体が見つかり、刑事の加賀谷は先の事件で逮捕した浦野に捜査協力を依頼する。前作に引き続き「リング」の中田秀夫がメガホンを取り、刑事・加賀谷役の千葉雄大、連続殺人鬼・浦野役の成田凌が続投。謎の男から狙われる加賀谷の恋人・美乃里を乃木坂46の白石麻衣が演じる。
  • フリーライター

    須永貴子

    前作が大ヒットしたという情報だけを入れて鑑賞。導入から、前作を知らなくてもついていける親切設計。言い換えると、キャラクター造形、芝居、BGMのすべてがデジタルで紋切り型。お笑い芸人の使い方は特に雑で、アキラ100%が扮する警察署員が、脱獄犯に制服を奪われて裸で倒れている横に銀色の丸盆が転がっている光景には目を疑った。ずん飯尾とアルコ&ピース平子への演出も残念の一言。観客を欺くことを目的にミスリードするオープニングの演出も反則!

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    「ボヴァリー夫人」を書いたフロベールは言う、「神は細部に宿る」。ヒッチコック曰く、「ディテールがしっかりした映画ほど年月に耐えうる力を持っているものだ」。あんなにナイフで刺しているのに、ぜんぜん返り血を浴びないなんて、あり得ないでしょう? いくら飴を尖らせて吹いたって、目に刺さるわけがない。制服・制帽で扮してたって銀髪頭は隠せない。誰も怪しまないって、変じゃね? そんなディテールの不可解が目立って仕方ない。名監督にも「筆の誤り」なんだろうか?

  • 映画評論家

    吉田広明

    前作の刑事と獄中の殺人鬼が協力して新たな敵に挑む。「羊たちの沈黙」みたいな展開で確かに見ている時点では次々生じる展開に最後まで面白く見せられるのだが、冷静になって考えてみると疑問点が多々(結局なぜ白石が狙われねばならなかったのか、ハッカーが自分のPCのカメラは封じていないのか等)。ネタバレサイトを見て、不覚だった設定の深さに改めて感嘆する場合もあるが、これは意外な展開先行で穴が埋め切れていない感じ。殺人鬼も強烈ではあるが惹きつける魅力はない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事