弥生、三月 君を愛した30年の映画専門家レビュー一覧

弥生、三月 君を愛した30年

ドラマ『同期のサクラ』の脚本を手がけた遊川和彦が監督を務めた、ある男女の3月に起きた出来事を30年分紡ぐラブストーリー。運命的に出会った高校生の弥生と太郎は、親友・サクラが病死したことで思いを伝えられないままそれぞれの人生を歩んでいくが……。すれ違いながらも惹かれ合う弥生と太郎を「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」の波瑠と「カツベン!」の成田凌が、二人の親友・サクラを「楽園」の杉咲花が演じる。
  • フリーライター

    須永貴子

    三十年にわたるドラマを三月に限定して描写する試みは、季節と撮影日数が限定された屋外ロケを有効に活用するという意味で、実利のある面白い発明だ。しかし、年を行き来しながら、三月一日、二日……と、すべての日付がカレンダーなりでご丁寧に画面に映し出されるたびに、「大事なのはそこじゃない……」と興醒めし、盛り上がるドラマについていけず。ラストのまさかの歌唱シーンも含め、映画というよりも、“三月のプロモーションビデオ”という形容がしっくりくる。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    脚本家の遊川和彦氏ご本人にそんなことを言うと嫌がるかも知れないが、大御所であり、そのドラマもいつも感心させられる。脚本家が自ら監督するのは大いに結構。ビリー・ワイルダーは、「無能な映画監督と自己陶酔の俳優どもが自分が書いた脚本をめちゃくちゃにするのだと考えたあげく監督になった脚本家」と言われている。映画は中々面白く観た。が、作り過ぎている感じがずっと付きまとう。弥生とサンタの共通の友人の墓がなぜ韓国映画のように野中にぽつんとあるのだろうか。

  • 映画評論家

    吉田広明

    高校時代から本当は好きあっている男女が30年にわたってすれ違い続ける様を3月時点だけを切り取って描くメロドラマ。ヒロインが政略結婚を拒否する時点で結ばれていてもおかしくないのではと思ってしまうが、この場面はフラッシュバックで後出しにするなど、30年すれ違い続けにするために相当無理している印象。3月だけで描くというのも奇をてらい過ぎで、それならそれで日付を明示すればいいものを、新聞や時計で暗示というのもかえってあざとい。スタイル偏重。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事