PMC ザ・バンカーの映画専門家レビュー一覧

PMC ザ・バンカー

「テロ,ライブ」の監督キム・ビョンウ×主演ハ・ジョンウが再びタッグを組んだミリタリー・サバイバル・アクション。CIAの依頼を受け、仲間と共に南北境界線地下のバンカーに潜入した凄腕の傭兵エイハブは、予想外の事態に直面し、行き場を失ってしまう。共演は「パラサイト 半地下の家族」のイ・ソンギュン、「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェニファー・イーリー。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    しかし、よくもこのような設定を思いつくなと感心。サバゲーとRPGを合体させたような世界。迷宮のようなダンジョンのなかを地図やヴァーチャルで展開し、医療や武器の使い方などすべて当事者ではない人間がその攻略法を伝授していく。そして次から次へと起こる災難。結局はゲーム感覚なので「攻略」という自身の眼前の諸問題と戦う。脚本はもはやどうでもよく、もはやゲームなので演出やカメラなどリアルかどうか、どういったトラップが待っているかということだけが問題。

  • フリーライター

    藤木TDC

    北朝鮮最高指導者を救出(視点によっては拉致)するプロットはネットフリックス配信の韓国映画「鋼鉄の雨」にもあったが、本作はよりアクチュアルな政治状況を下敷きにしている。序盤のサバイバルゲームPOV風から中盤には医療サスペンスへ展開、終盤の驚愕映像まで猛スピードでアクションが驀進する力作だ。撮影の実験性、重層的ツイスト、タブーを盛り込む勇気など観客への奉仕精神が圧倒的。地味で湿けた家族映画や恋愛映画ばかり企画する日本の製作者は本作を見て猛省しろ。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    現実の北朝鮮、アメリカ、中国の関係性と密接にリンクし、国家間の緊張を題材にしながらも、たやすく軽めな架空の設定に突入していく配分に戸惑う。瞬く間に立場が移り変わって苦境に立たされる傭兵の攻防戦は、複雑に入り組むカメラ映像などによって緊迫感が続くとともに、演出的に過密すぎて若干混乱をきたしている。監督のキム・ビョンウは「テロ’ライブ」で崩壊と自滅の美学を描いたが、本作にもそのモチーフは活かされており、クライマックスの降下の悲壮な美しさは白眉。

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