ムルゲ王朝の怪物の映画専門家レビュー一覧
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
巨大な怪物といえば「ジョーズ」や「ゴジラ」が古典だ。前者は出現させない恐怖を、後者は出現する畏怖を表した。このムルゲはその時代の暴君が生んだもので、著しく姿を現すので後者のタイプとなる。巨大ではあるが宮殿内を暴れまわる姿は、大きさを感じさせず、どちらかといえばケージに入った可愛いペットさながら。むしろよく飼い慣らされているようにさえ見える。映画とは視覚芸術であるが、いかに視覚化されないものを現出させるか。その意味では感心できなかった。
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フリーライター
藤木TDC
古装時代劇に権力闘争の具現として怪物を登場させる設定は宮部みゆきの小説『荒神』や映画「ジェヴォーダンの獣」に似るも、めまぐるしい剣戟をふんだんに挿入し純粋にエンタメを追求した点に独自性がある。中盤から出ずっぱりで暴れ回る怪獣……というより巨獣は筋肉質タイプでCG製のハイスピードな動き。私の趣味からすれば着ぐるみの脂肪質怪獣がノロノロ動くほうが燃えるのだが、女優もかわゆいオタク好みのキャラだしモンスター映画好き男性観客には満足できる出来だろう。
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映画評論家
真魚八重子
韓国の王朝時代劇は妖艶な雰囲気もあってなかなか当たりが多いのだが、本作は凡庸な物語に終始してしまっている。朝鮮王朝怪奇ネタで、ネットフリックスの『キングダム』のような秀逸な近作もあるだけに、この作品は権力争いの構図に個性がなく、モンスターの造形の魅力のなさも見劣りしてしまう。怪物の発生理由は霊的で良い着眼点だし、アクションも力が入っているが、登場人物がいささか記号的で、ほっこりした展開に持っていく突き抜けなさが予定調和を感じさせる。
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