わたしは分断を許さないの映画専門家レビュー一覧

わたしは分断を許さない

フリージャーナリストの堀潤が、国内外の様々な社会課題の現場で深まる“分断”の真相に迫るドキュメンタリー。デモ活動で戦う香港の若者や、福島第一原発事故により避難を強いられた住民、日本に保護を求めてきたクルド人難民など、人々の生の声を取材する。監督・脚本・編集・ナレーションは、「変身 Metamorphosis」の堀潤。
  • フリーライター

    須永貴子

    フリージャーナリストの堀潤氏は、シリア、辺野古、福島、パレスチナ、香港、プノンペン、平壌などでカメラを回し、今そこにある大きな問題に、市民の立場から抗う一個人を取材する。それぞれに異なる問題を繋ぐ、キーワードの「分断」とは? そこを考えることで、各問題と、自分が暮らす社会への理解が深まる、観客巻き込み型のドキュメンタリー。最後に映し出されるテロップによるメッセージの、文字色が異なる二つの単語に、堀氏の裏メッセージが読み取れた。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    デモをする若者に警官が発砲し、死につつある若者を尚も後ろ手に縛って拘束すると、デモに通行を阻まれていたタクシー運転手が拍手をする。「国家安全法制」に支持表明をしたジャッキー・チェンも若者も警官もタクシー運転手もみな香港人。分断を見てほくそ笑んでるだろう権力者はさながら半グレのボス猿の面構え。世界で起きている分断を追う元NHKのキャスター堀潤氏は言う、「大きすぎる主語には注意が必要だ。真実を見極めるためには、主語をもっと小さくする必要がある」。

  • 映画評論家

    吉田広明

    政治事象を巡って様々なところに見られる「分断」、最終的に浮かび上がってくるのは、無知=無関心と知ることの分断だ。この分断によって「由らしむべし、知らしむべからず」の権力者が最も得をする。人災としての3・11や、沖縄基地反対の真意を知らしむべく、発言を始めた二人の女性を中心に「分断」を超えようとする努力を描く。ただ、世界各国に飛び回る堀氏のジャーナリストとしての幅広さを示すあまり、裾野を広げ過ぎて総花的、焦点が明確に結ばないのが残念ではある。

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