恋する男の映画専門家レビュー一覧

恋する男

『踊る大走査線』シリーズなどバイプレイヤーとして活躍する小木茂光が主演する恋愛コメディ。妻子に逃げられ長年勤めた会社のリストラ対象となった小田は、一念発起し会社を立ち上げる。夢に向かうホステス・瞳と、仕事を手伝ってくれる雅美の間で揺れ……。映画の企画・制作・配給業務を行うマーメイドフィルムの代表を務める村田信男が初めてメガホンを取り、同社を通じ「早春 デジタル・リマスター版」「イレブン・ミニッツ」などが日本に紹介されたイエジー・スコリモフスキ監督が編集監修を手がける。共演は、グラビアアイドルの出口亜梨沙、「最低。」の佐々木心音、「空母いぶき」の工藤俊作ほか。
  • 映画評論家

    川口敦子

    スコリモフスキにゲリンと、一筋縄ではいかない面々の配給を手がけてきた村田信男監督のこの長篇デビューに合わせて「愛した女に振り回され、人生を狂わされようとも、ひたすらわが道を往く男」の映画が特集上映されるという。例えばジェルミ「イタリア式離婚狂騒曲」、あるいはトリュフォー「恋愛日記」。お子ちゃまにはもひとつ理解できない世界があったなと思い当たって、改めて村田監督作を思うと「でも」と「確かに」がとぐろを巻く。間違いなくいいのは出口亜梨沙。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    中年男のドン・ファン妄想を具現化したファンタジーと思いきや、そうした妄想のうしろめたさ、根幹にある孤独を戯画的に笑いのめしたコメディ。戯画的ではあるが自虐的ではないところもミソ。この映画にスコリモフスキまで?ませてくる厚顔……いや、器のデカさには呆れ返るが、「早春」を思わせるプールが出てきたところで、なるほどこれは男の妄想をいたずらに美化してはならないというダメ押し的な布陣だったのかとさらに納得した次第。主題歌がまた無駄に名曲で笑う。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    画づくり、ショットの飛び方、シンプルで鮮度ありそうだが、話がつまらなくて八四分が苦痛。恋愛喜劇にもエロスファンタジーにもなってない。でも、こういう主人公を「なにか憎めない」と思う女性と、こういう話に身につまされる男性がいるのだろう。この世界、倒すべきものがまだたくさんあると評者は戦意をかきたてた。女性たちがしたたかなのがせめてもの救い。村田監督、これでシャレてるつもりなのが痛々しい。編集監修のスコリモフスキ、名前を貸しただけとしても大失策。

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