パヴァロッティ 太陽のテノールの映画専門家レビュー一覧

パヴァロッティ 太陽のテノール

    オペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティの生涯を「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK」のロン・ハワードがドキュメンタリー映画化。絶頂期のパフォーマンスや貴重なプライベート映像、関係者へのインタビューで彼の人生を浮き彫りにする。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の録音技師、クリストファー・ジェンキンズが、歌声を最新技術でスクリーンに蘇らせる。
    • 映画・音楽ジャーナリスト

      宇野維正

      食と女性と家族をこよなく愛するイタリア人男性の類型的イメージそのままの素朴な人柄と、神の祝福について想いを巡らさずにはいられない圧倒的才能が、矛盾することなく共存しているパヴァロッティその人の魅力。その大らかさ故に彼が目指した、アートとコマーシャリズムの両立。死後に作られた作品ということで素材は限られているわけだが、ロン・ハワードらしい衒いのなさと題材との相性の良さもあって、音楽家のドキュメンタリーとしては出色の仕上がりとなっている。

    • ライター

      石村加奈

      ブラジルで撮影されたプライベート映像(世界初公開)から始まる本作。鳥のさえずりはまるでパヴァロッティを祝福しているようだ。パヴァロッティの歌唱と彼の人生を重ね合わせた、編集の巧さは、全篇に行き届いている。圧巻は〈誰も寝てはならぬ〉だ。ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴとともにローマ・カラカラ浴場のステージで歌った時(90年)の、輝かしい表情。晩年、オペラへの情熱を取り戻してからの迫力の歌声。全盛期の美声とは異なるが、その声は、愛に満ちていた!

    • 映像ディレクター/映画監督

      佐々木誠

      ロン・ハワードが以前制作した「ザ・ビートルズ」もそうだったが、近年の音楽ドキュメンタリーは、リズムに合わせるようにテロップや画の繋ぎのエフェクトに力を入れる傾向がある。しかし本作は、オペラとの親和性が低いという判断からか、その手法がほぼない。それも含めたシンプルな構成は、パヴァロッティの天才性、世界の捉え方、そしてオペラの魅力をより正確に伝えていた。全くオペラに馴染みがなかったが、観終わって彼のCDを買ってしまった。

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