ライド・ライク・ア・ガールの映画専門家レビュー一覧

ライド・ライク・ア・ガール

実在の女性騎手ミシェル・ペインの半生を映画化。10人兄弟の末娘として生まれたミシェルは、生後半年のころに交通事故で母を亡くす。調教師の父をはじめ兄弟のほとんどが騎手という一家で、ミシェルも騎手としてデビューするが、落馬で大怪我に見舞われる。出演は、「ハクソー・リッジ」のテリーサ・パーマー、「ジュラシック・パーク」シリーズのサム・ニール。「ミュリエルの結婚」の女優レイチェル・グリフィスによる初長編映画監督作品。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    女性の監督による「馬」映画といえばクロエ・ジャオの傑作「ザ・ライダー」が記憶に新しいが、本作が長篇監督デビュー作となったレイチェル・グリフィスの関心はあくまでも馬に乗る人間にあって、馬の描写には驚くほど無頓着。もっとも、役者監督ならではの勘所を押さえた手際のいい人物演出は、メジャースタジオ作品でも十分に通用しそう。その際はアドバイザーもついて、有名ポップソングの数々をぶつ切りでたれ流すような時代遅れな音楽の使い方もきっと改められるだろう。

  • ライター

    石村加奈

    一見忍耐の多い人生に映るが、運命の馬プリンスと初めて海辺を駆けるシーンや、伝説のメルボルンカップ・レース直前のミシェルの様子を俯瞰で捉えるカメラ即ち神の眼差しに祝福されたヒロインである。何より馬に愛されている。頭蓋骨骨折後、再び馬に乗るなど想像もしない人間をよそに、馬が迎えに来るシーンにはときめいた。懐かしのCranberries〈Dreams〉や、タイトルを彷彿とさせるWILSN〈Fight Like A Girl〉などの軽快な音楽も、障害の多い半生をなめらかにする。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    メルボルンカップを制した初の女子騎手の実話だが、実在の人物の軌跡を描く作品にありがちなダイジェスト感は否めない。姉の死、父との確執、自身の大事故、そして復活、などドラマチックな展開もいちいち引っかからず、レースの駆け引きをめぐる面白さ、疾走感もあまり感じられない。だが、クライマックスのメルボルンカップ当日、これまでの鬱憤を晴らすかの如く急に全てが繋がり、輝き出す。今までの展開はこのレースを描くための布石、ここに賭けていたんだな、と勝手に納得。

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