サウラ家の人々の映画専門家レビュー一覧

サウラ家の人々

    スペインが世界に誇る映画監督カルロス・サウラと7人の子どもたちとの交流を撮ったドキュメンタリー。私生活においても自由奔放だった彼は、チャップリンの娘との間にも息子を授かっている。サウラは華やかな恋愛遍歴も含めて、子どもたちと率直に語り合う。ゴヤ賞最優秀ドキュメンタリー映画賞候補、サン・セバスチャン国際映画祭正式出品作品。
    • 映画評論家

      小野寺系

      女性との数々の遍歴があるスペインの著名な芸術家といえばパブロ・ピカソを思い出すが、カルロス・サウラの奔放さはそれを超え、4人の妻を迎え7人の子をもうけたという事実を本作で知る。その子どもたちと対話することで明かされていく監督本人のパーソナリティには情報的な価値があるものの、対する子どもたちの遠慮がちな態度が次第に気になってくる。実際にはそれぞれの家庭の軋轢やわだかまりは、より深刻だろうし、そこを厳しく弾劾する内容の方が面白かったのでは。

    • 映画評論家

      きさらぎ尚

      写真を撮り、絵を描き、4人の女性との間にもうけた7人の子どもたちと語らうC・サウラ。過去のことを話すのは好まないと言いながら、その7人と率直に、父子関係から彼らの母親たちとのこと、過去の様々な記憶までを話している。結果的には、質問に答えて語るよりも、多くが明らかになったのではないだろうか。監督F・ビスカレットの当初の方法とは違うという皮肉を含め、かなり面白い。書斎の設え、絵を描く手の力強い動き。書斎から生中継をしているようなライブ感がある。

    • 映画監督、脚本家

      城定秀夫

      スペインの巨匠カルロス・サウラの監督作品を「カラスの飼育」しか観ていない自分でも、4人の妻との間に7人の子供を持つと聞けばその私生活には好奇心が向くし、彼の子供たちにインタビュアーを任せるというコンセプトも興味深いのだが、本作の監督が要所で言い訳じみたナレーションを入れている通り、「被写体のサウラが性格的に自分を語りたがらない」という致命的な難点を映画が乗り越えられていないため、印象に残るのはドキュメンタリーらしからぬ映像効果や空間設計ばかり。

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