あこがれの空の下 教科書のない小学校の一年の映画専門家レビュー一覧

あこがれの空の下 教科書のない小学校の一年

子どもたちの自主性を尊重するユニークな教育で知られる東京・世田谷にある和光小学校の1年間を追ったドキュメンタリー。教科書を使わず、授業も学校生活も手作り。子どもたちの伸びゆく力を信じ、話し合いで進める中から、未来を変える希望が見えてくる。語りを「四月の永い夢」の高橋惠子が務める。音楽を手掛けたのは、同校OBで「空母いぶき」「Fukushima 50」などで知られる岩代太郎。
  • 映画評論家

    北川れい子

    ナントまァシラジラしい。ドキュメンタリーという体裁を口実に、私立・和光小学校のPR映画ってんだから。創立1933年。これだけ歴史があるってことは、子供の自主性を優先するという、その教育方針に賛同する親も少なくないってことだろう。実際ここの子供たちはモノ怖じせずに自由に喋り、何ごとにも積極的。けれども授業に学校行事等を総花的に誇示し、ナレーションでさらにホメ上げるその作りは、まんま、企業が商品や業績を売るって映画のそれ。記録映画もカタなしね。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    子どもたちの表情も、彼らを導き、見守る大人たちのことばも、すべてがまっすぐで素晴らしい。しかし、高橋惠子の端正な語りと岩代太郎の端正な音楽が、その素晴らしさをひたすら称揚し増幅させることで、有無を言わさぬ方向へと観客の感情を誘導していくつくりには、「ドキュメンタリー(記録)」が「映画(表現)」として屹立するために必要とされる最低限のつつしみが感じられない。もっと静かに、もっと見つめることに踏みとどまらないと、伝わるものも伝わらなくなる。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    独自な教育の和光小学校。その一年間の、季節の行事を追っていく。よくやるなあ、偉いなあと感心しないわけにはいかない先生たち。軌道に乗って自分を活かす生徒たち。主人公はいない。沖縄についての学習など、そこまでやるのかと驚いた。しかし、増田監督と房監督、どう感じたのかを言う作り方をしていない。「なんか、いいわね」といった調子で語りかけるナレーションは間のびしている。多くの日本の若者の恥ずかしいほどの幼さ、こういう教育を受けていたら違ってくるとは思った。

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