分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶の映画専門家レビュー一覧

分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶

朝鮮半島100年の歴史を追ったドキュメンタリー。2018年6月、朝鮮戦争休戦以来初となる米朝首脳会談が行われ、平和の新時代を開くことを約束した。米朝に一体なにが起きたのか。フランス人監督が第三者の視点から、朝鮮半島の近代史と現在の姿を描く。監督は、朝鮮問題の報道番組に携わり、韓国、北朝鮮に関するドキュメンタリーを制作しているピエール・オリヴィエ・フランソワ。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    我々日本人にとって戦後とは1945年以降だが、朝鮮半島はいまだに停戦状態。日本による植民地闘争において正反対の立場がここまで分断を生むとは。タブララーサを迎えたとき、人は何を欲するのか。歴史とは勝者が書き変えていくが、ひとつの出来事を全く別の物語で語ること。もはやこの半島では勝者も敗者も不在だ。ただただ辛酸を再度味わいたくはないとする決意か自尊心の維持だけだ。この断絶が消滅するとき、巨大な経済津波に襲われ、日本の戦後も終わるのかもしれない。

  • フリーライター

    藤木TDC

    朝鮮半島史になじみ薄い欧州人向けテレビ作品の前後篇一挙上映。戦後75年、南北分裂の激動を2時間に圧縮、かなり駆け足ゆえ半島史ビギナーは理解が難しそう。逆に現代史通に新たな発見はない。北朝鮮を仮想敵とする大前提がないのが日本的視点との差異で、金日成の意外な高評価、帰国事業や拉致問題のスルーなど興味深い独自性が。製作はNHK・BS1『BS世界のドキュメンタリー』でたびたび作品が放送される仏独共同テレビ局アルテ。NHKが意に沿わず買わなかった番組か?

  • 映画評論家

    真魚八重子

    正統派ドキュメンタリーで強面な感触もあるが、朝鮮の複雑な歴史をダイジェストで学べる。強権を持つ複数の国の意向によって、国が南北に分けられる理不尽さ。分断されてからそれぞれの道のりを経て、南北で異なった個性を得ていく過程を観ることができる。インタビューが可能だった人間と、対外的な装いを持つ北朝鮮の独特さを考えると、逆にこの映画によって本当に真実を知ることができたのか、疑いが芽生えてきてもどかしい。隣国の背景を知る足掛かりとしてまとまっている。

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