マーメイド・イン・パリの映画専門家レビュー一覧

マーメイド・イン・パリ

歌手・作家のマチアス・マルジウがパリを舞台に人魚の恋を描いたファンタジックラブストーリー。美しい歌声で男を魅了し命を奪ってきた人魚のルラだったが、失恋の痛手から恋する感情を捨てたガスパールには歌声が効かない。ふたりはやがて惹かれ合うが……。恋を捨てたガスパールを「再会の夏」のニコラ・デュヴォシェルが、恋を知らない人魚のルラを「青い欲動」のマリリン・リマが演じる。
  • 映画評論家

    小野寺系

    監督のマチアス・マルジウが手がけている原案、脚本は、ロン・ハワード監督の「スプラッシュ」のリメイクと言ってもいい内容。現代劇ながらレトロな要素が作品に散りばめられ、ジャン=ピエール・ジュネ監督作品を連想させる世界を表現しようとしているように見えるが、完成度がそれほど高くないのが残念だ。音楽でも監督のバンドが参加しているなど、監督が一人でいろんなことができるマルチタレントであることは認めるけれど、どうもすべてがいま一歩行き届いてないという印象だ。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    登場人物の設定もエピソードも、俳優陣の顔ぶれもそれなりに整っている。美術などビジュアルの設えはいかにもファンタジー。演出も過不足がない。けれど見終わるとなにか物足りない。そうだ、恋する主役の間に、異界の生物に対して、身に染みて強く感じる互いへの思いが希薄だったのだ。歌声で男を虜にしてその男の命を奪って生き延びている人魚に対して、特に男からは命がけの思いが欠乏している。その思いを表現してこそのラブ・ファンタジーなのに。監督の器用さはよく分かった。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    人間を次々と死に追いやる殺人人魚の物語とはいえ、ホラーな雰囲気はそこそこにとどめ基本的には美男美女が繰り広げるロマンチックラブストーリーに仕上げている口当たりのいいデート映画であり、画や歌の完成度は素晴らしいのだが、「二日後の夜明けまでに海に戻らないと死ぬ」という映画が自ら決めたオリジナルルールをさほどのエクスキューズもなくうやむやにして3日目に突入させてしまう作劇には疑問を感じるし、心をなくした男が恋に落ちるにはエピソードが不足している気も。

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