カムバック・トゥ・ハリウッド!!の映画専門家レビュー一覧

カムバック・トゥ・ハリウッド!!

3人のアカデミー賞受賞俳優が共演する1970年代のハリウッドを舞台にしたコメディ。B級映画プロデューサーのマックスは、ギャングのレジーからの借金が返せず大ピンチに。撮影中の死亡事故で保険金を手に入れようと、往年のスター、デュークを担ぎ出す。出演は、「ジョーカー」のロバート・デ・ニーロ、「アド・アストラ」のトミー・リー・ジョーンズ、「インビクタス 負けざる者たち」のモーガン・フリーマン。監督・脚本は、「ポイズンローズ」のジョージ・ギャロ。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    コロナでハリウッドが苦境に立たされ、新作の制作や公開が難しい状況だ。だからこそ原点に立ち返り、様々な過去の苦境をポジティヴに捉えなおそうという姿勢。終始笑えるコメディだが、練られた脚本・演技・演出は唸らされる。名役者をここまで揃え、馬鹿馬鹿しいほどの内容をここまで真剣に自虐的に昇華させた作品は素晴らしい。過去において幾たびも困難な状況はあったが、ハリウッドに存在する「奇跡」の「軌跡」に倣えば、コロナもまた轍のひとつとして風化していくだろう。

  • フリーライター

    藤木TDC

    三大スター競演のハリウッド版「蒲田行進曲」みたいな話で、中高年が古ぼけた映画館で饅頭でも頬ばりつつ見るに絶好な肩のこらない純娯楽作だ。B級映画制作にまつわる定型的ドタバタだし監督が善良志向で芸術性やおたくノリ、下ネタなどは限りなくゼロ。老優たちの軽妙演技を楽しめ、ご都合主義のユルい演出でも長年の映画愛好者は満足できるのでは。エンドロール途中に流れる「グラインドハウス」ばりの予告篇は冒頭に置くほうが私は良かったと思うが、それも監督の趣味だろう。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    前半50分の金銭トラブルから新作をでっちあげていく場面の、演出のかったるさや熱意のなさ。撮影もカメラを不安定にしていれば現代的になると思っていそうだ。しかし西部劇の撮影シーンが始まってからは、急に奇妙な熱を帯び始める。時代考証や現実味、詳細の正誤などは後回しにされているが、映画を撮る喜びに溢れていて別人のようになる。ラストの映画愛や祝祭感も単純で露骨すぎとは思いつつ微笑ましい。後半で策略が失敗していく、デ・ニーロの表情の変化が見事。

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