RUN ランの映画専門家レビュー一覧

RUN ラン

「search/サーチ」のアニーシュ・チャガンティ監督&製作陣によるサイコ・スリラー。先天性の病を抱え車椅子生活を送るクロエは、母親に不信感を抱き始める。母が服用不可の薬を飲ませようとしていたことを知り、クロエは母の隔離から逃れようとするが……。車椅子の娘クロエをオーディションで抜擢された新人俳優キーラ・アレンが、娘に歪んだ愛情を注ぐ母ダイアンを「オーシャンズ8」のサラ・ポールソンが演じる。
  • 映画評論家

    小野寺系

    子どもの病気というシリアスな問題を強調する導入部から、当事者である少女が自分の境遇に疑問を抱くあたりまでは、何が起こるのかと興味深く観ていた。しかし、彼女が直面する事態や作品自体の性質が明らかになってくるあたりから、思わせぶりな前置きが用意されていたぶん、そのありがちな内容に大きく失望させられる。陳腐な台詞と荒唐無稽な悪役、手垢にまみれた展開、そして病気という要素がただサスペンスを盛り上げるものにしかなっていないなど、美点を見つけるのが難しい。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    母親の娘に対する狂気を描いた古典的なスリラー。ストーリーに仕込まれた二つの秘密は見てのお楽しみとして、物語を貫く緊張感を支えているのは、母親役のサラ・ポールソンと娘役のキーラ・アレン、二人の女優の持ち味だ。ポールソンは優しい母親と、恐ろしいことを実行するとき、顔の表情でシーンを思いのままに支配する。対して、実生活でも車椅子を使っているというアレンは、利発で行動力のあるキャラを迫真の現実感で。母親の心情に疑問符がつくが、優れた小品スリラー。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    ヒット作「サーチ」の監督が二匹目のドジョウを狙ったかのような本作、情報提示方法が都合良すぎるし、強引な偶然を幾層も積み重ねて構成されているイケイケドンドンのストーリー至上主義映画のわりにはひっくり返りそうでさほどひっくり返らない展開には物足りなさも覚えるのだが、スリラーの見せ方が滅法上手いうえ、90分という尺に旨味を凝縮させる職人芸も冴えわたっており、何かとケチをつけたくなる気持ちを力技でねじ伏せるパワーに満ちたハラハラドキドキオモシロ映画だ。

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