ヨコクソンの映画専門家レビュー一覧

ヨコクソン

1986年に製作された同名韓国ホラーをリメイク。原因不明の不可解な死が続く古い邸宅に、偶然足を踏み入れることになった女性オク・ブン。その家にいる間、守るべき規則を聞かされたオク・ブンだったが、ある日、その規則を破ってしまい死者の魂が忍び寄ってくる。出演は「ビー・デビル」のソ・ヨンヒ、k-popアイドルApinkのメンバーであるソン・ナウン。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「韓国歴代最高のホラー映画と謳われる」と資料にあるリメイク元の1986年版は、ネットで確認できる範囲だと確かに強烈なビジュアルで、作られた時期をふまえても一定の韓国映画史的な価値のある作品だったのだろう。翻って、本国で32年後に製作された本作は、韓国ドラマ的な平べったい照明と無駄な動きの多いカメラによるクリアなだけの映像で、リメイクの意義はどこにあったのだろうか? 蒼井優的な雰囲気と杉咲花的な視線の強さを併せ持つソン・ナウンの魅力が救い。

  • ライター

    石村加奈

    継母の抱く野望(不遜な振る舞いも様になるソ・ヨンヒ)、巫堂の助言にも耳を貸さず、名家に居座る薄幸系美女の不気味さ(ソン・ナウンが静かな存在感を発揮)、身ごもった妓女を躊躇なく拷問する、身分の高い主人の下衆っぷり……初夜に息子が次々と死んでいく、悪鬼に呪われた屋敷での騒動が、おどろおどろしく描かれる。女のすすり泣く声や煮えたぎる釜の音など、恐怖をそそる音響効果に震える。人間の心の闇と田舎の暗闇を重ね合わせる、古典的なホラーがいちばん怖い好例かも。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    韓国歴代最恐と謳われている(らしい)オリジナルは未見なのだが、物語は女の怨念をベースにした古典的な展開。何かが起きそうで起きない、思わせぶりな演出が続くので怖がる気満々のこちらとしては少し物足りない。顔面剥がしなど“痛い”シーンは豪快で、急に暗視スコープを使った映像演出が入ったり、嘔吐の描写が毎回異常に長かったり、エッジを利かせているが、それらの仕掛けと軸である“権力をめぐる女性同士の確執”のスリリングな心理描写とのバランスが悪く、勿体ない。

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