ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!の映画専門家レビュー一覧

ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!

ノエル・カワードによる名作戯曲『陽気な幽霊』を再び映画化。『ダウントン・アビー』の製作陣とオスカー女優ジュディ・デンチが贈る英国発ラブシックストーリー。スランプに陥ったベストセラー小説家は霊媒師に頼んでアイディアの宝庫だった亡き妻を呼び戻す。妻は最愛の夫との再会を喜ぶが、夫には新しい妻がいた……!? 俳優・作家・戯曲家・脚本家・演出家・作曲家・歌手・映画監督といくつもの顔を持つ、ノエル・カワードによる1941年初演の戯曲『陽気な幽霊』は、ロンドンのウエスト・エンドをはじめ、NYのブロードウェイなど約2000回にわたって上演され、1945年にはデイビッド・リーン監督によって同タイトルで映画化、日本では1951年に公開された。この名作を80年ぶりに現代にフィットする物語として蘇らせたのは、英国の大ヒットTVシリーズ『ダウントン・アビー』の監督のひとりであるエドワード・ホール。同ドラマのマシュー・クローリー役で大ブレイクしたダン・スティーヴンスがベストセラー作家チャールズを演じる。あの世から戻ってきた妻エルヴィラには「ブリングリング」のレスリー・マン、チャールズの現在の妻ルースに「お買いもの中毒な私!」のアイラ・フィッシャー。そして不思議な力を持つ霊媒師マダム・アルカティを、『007』シリーズのM役が忘れ難いジュディ・デンチが快演している。1937年が舞台となる本作では、この時代に建てられた英国のアール・デコ様式の豪邸を使用し、レトロでエレガントなファッションに加えて、摩訶不思議な降霊の儀式や緑豊かな庭園など、鮮やかなヴィジュアルも魅力的だ。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    幽霊が出てくると、ウエットなものを想像してしまいがちだけど(未練を残して死んだ幽霊の願いをかなえる話とか)、違った。かなりドライな幽霊でびっくりした。元妻の幽霊は気が強くて、主人公の今の妻も気が強くて、女二人でバチバチ火花を散らす。間に入った主人公の作家はおろおろするばかり。いつの世も男は情けなく、女は強い。ひたすらセコい男が哀れでおかしかった。元妻の幽霊と昔のようにバーへ行き、見つめ合うシーンがちょっとだけウエットで、ホッとした。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    アール・デコ調のインテリアや30年代のファッション、英国のアンティーク小物に至るまで、幽霊になってこの世界に迷いこみたいと思わせるほど豪華でうっとり。一方、なぜこの時代に40年代の有名な舞台を映画化しようとしたのか疑問。このコメディを始終楽しみながら観ていたけれど新作としては物足りない。霊能者役のジュディ・デンチはきっと演じるのが楽しかっただろうな。ジュディだけでなく、元妻役のレスリー・マン、現妻役のアイラ・フィッシャーなど女優が揃って魅力的。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    レスリー・マンが主演級の配役だと知り、見る前は★5付ける気満々だったが、彼女が出てくるまでに30分もかかるのである。この一点からわかるように、この映画はコメディのくせしてテンポが悪いのだ。車が崖から海へと飛び落ちるロングショットに組み合わされるレスリー・マンの「ウプス」は感嘆する素晴らしさだったが、それをきっかけに始まるラストの展開にももたつきが残る。「陽気な幽霊」の方がまだしも小気味良い。ちなみにケイ・ハモンドの口からは「オウ、オウ、オウ」。

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