カナルタ 螺旋状の夢の映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
これは果たして映画だろうか? 1年以上もアマゾン先住民に密着しなければ撮れないものの凄さに痺れつつ、その問いが捨てられない。ドキュメンタリーの場合、撮影対象が面白ければ、知らないことも知れるし満足感もある。しかしテレビのドキュメンタリーの映画版が闊歩する今、テレビと映画の線引きはどこにあるのか。ストイックな本作が映画でしか存在しえないのはよく分かる。夢や幻覚という寓話性もある。しかし映画として何かが足りない気がする。それが何か分からない。→
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
エクアドル南部のアマゾンの熱帯雨林で暮らす先住民の自給自足の生活を撮ったドキュメンタリー。太田光海監督は、薬草を採集する主人公らと密接な関係を構築し、口?み酒の作り方、火のたき方、身の守り方など森の生活の知恵を学び、ひいては彼らの精神世界にまで迫っていく。映像人類学の手法にのっとったアプローチであろうが、そこからはみ出すような詩情が緑濃い密林からそこはかとなく漂ってくる。あたかもジャングルに迷い込んだような錯覚を起こさせる不思議な力がある。
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