ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールドの映画専門家レビュー一覧

ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド

1980年代を舞台に、ザ・スミスの楽曲を散りばめた青春音楽映画。大好きなザ・スミス解散にショックを受けたクレオを、ディーンはデートに誘うが断られる。ディーンは地元のヘビメタ専門ラジオ局に行き「ザ・スミスの曲をかけろ」とDJに銃を突きつける。監督・脚本は、「WE ARE X」のスティーヴン・キジャック。出演は、ドラマ『ソーシャルディスタンス』のヘレナ・ハワード、「6才のボクが、大人になるまで。」のエラー・コルトレーン。
  • 映画評論家

    上島春彦

    万国の万引き犯諸君、団結せよという物騒なタイトル。ではあるが、爽やかな青春映画で驚いた。ラジオ局ジャックの実話が基になってはいるが事実とは大きく変えてある。むしろ「アメリカン・グラフィティ」が発想源だろう。公式的な主人公と彼のガールフレンドよりも、懐深いDJの好演で★を足した。これって〈メタル・グルー〉のパクリだろ。などというあまりにマニアックな台詞に痺れる。実在のグループ、リーダーのインタビューもたっぷりでファンならずとも貴重な映像の数々。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    閉塞的な世界に生きる若者が大切なバンドを失ったことは世界の終わりに等しく、映画はその重大さを描こうとしているが、いかにも青春時代のありふれた混乱状態をそのまま映画にしたに過ぎなく、一つの作品としての整合性とまとまりが感じられない。冒頭から同性愛嫌悪が横溢する以上、登場する当事者のクィアな若者たちの描写をもう少しポジティヴに調整する必要もあったはずだろうが、やはりやっつけ感の強さが否めない。こういった趣向の既視感に満ちた青春映画は、もう食傷気味。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    一聴するだけで涙腺がゆるむザ・スミスの神曲群の合間に、信じがたいほどスノッビーでいらぬ政治的配慮だけが行き届いたゴミのようなドラマがはさまっている。本作を見たモリッシーの本音を聞いてみたい。これならば90分のリリック・ビデオを作った方がザ・スミスの魅力を端的に表現できたのではないか。自称イケてる友人たちによる相互承認飲み会に徹夜で付き合わされたあとのような疲労とムカつきはしばらく消えそうにないが、ザ・スミスへの変わらぬ愛と支持ゆえに一点加点。

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