スリングショットの映画専門家レビュー一覧

スリングショット

レースゲームのチャンプが本物のサーキットに挑むカー・アクション。レース・チームのライオンズは、ソン・ジエがウルフ・チームに移籍してから優勝から遠ざかっていた。ライオンズはチーム再生のため、天才ゲーマーのジエコーをレーサーとしてスカウトする。出演は、「KANO 1931海の向こうの甲子園」のツァオ・ヨウニン、「スカイスクレイパー」のハンナ・クイリバン、「海角七号 君想う、国境の南」のファン・イーチェン。製作総指揮は、「頭文字D THE MOVIE」主演のジェイ・チョウ。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田『未体験ゾーンの映画たち2022』で上映。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    Eスポーツ、強い女性、有害な男性性といった今日的なテーマを多数盛り込むことで、ありがちなジャンル映画になんとか新風を吹きこもうとしている。なかでも、全盛期を過ぎたと揶揄されるかつての英雄イーフェイが、自らの頑なな態度を徐々に改め、プライドを捨ててチームの勝利に向けて奮闘する様は、過ちを認めて変化を受け入れる新たな中年男性像の提示として興味深い。ただ、人物像と強さ、いずれの面でも敵役の印象があまりにもパッとしない点が、レースものとしては致命的か。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    さすがにレーサーを侮りすぎだろう。レースゲームのチャンピオンがド素人にもかかわらず本物のサーキットに挑むという筋書きはまだいい。業界外の人間だからこそ、従来の業界のルールを変え、世界を新しく作り直すことができたりもするだろう。そんな観点からプロスポーツを描く映画もある。ただ本作は好きな女性レーサーに見捨てられないために、愛の力で一流のレーサーになってしまう。そこには、映画ならではの表現もカーレースのプロフェッショナルな世界も技も感じられなかった。

  • 文筆業

    八幡橙

    製作総指揮はジェイ・チョウ。自ら特別出演し、懐かしの主演作「頭文字D?THE?MOVIE」のセルフパロディ的シーンも盛り込んだ、渾身のレース映画だ。本物を追求し、巨額の製作費を注ぎ込んだというカーレース場面は、冒頭からかなりの迫力。そのまま華麗な完走を期待したが、ストーリーの軸が定まらず、本筋自体は迷走状態に。漫画のような設定は味わいの一つとして、次々に移り変わる視点や、その都度ブレる各人のキャラなどシナリオの粗さはどうにも見過ごし難く、残念。

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