マイライフ、ママライフの映画専門家レビュー一覧

マイライフ、ママライフ

ワーキングマザーや妊娠に前向きになれない女性の葛藤とジェンダーギャップを描き、第14回田辺・弁慶映画祭観客賞を受賞したドラマ。結婚から3年、妊娠・出産に勇気が持てない綾は、子どもを育てながら働く沙織と出会うが、彼女の気持ちが理解できず……。監督・脚本は、「12ヶ月のカイ」の亀山睦実。脚本監修は、「風の電話」の狗飼恭子。出演は、ドラマ『緊急取調室3rd SEASON』の鉢嶺杏奈、「ガチバン NEW GENERATION2」の尾花貴絵、「菊とギロチン」の池田良、「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の水野勝。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    周知させたい正しい現状認識と正しいメッセージを、最小限のドラマの起伏とスローガン的な台詞の数々で綴っていく。教科書的なカメラワークや編集、簡素な劇伴にいたるまで、すべてが運転免許試験場の違反者講習ビデオのような本作に問題があるとしたら、これが違反者講習ビデオではないということだ。つまり、違反者講習ビデオは「違反者」に強制的に視聴させるためのものなのでツールとしての効果はあるが、本作には予め共感するであろう人たちの外部に向けた工夫が見られない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    仕事と子育て。働きながら子どもを育てている女性たちの大変さは想像に難くない。けれどもここで描かれる2人の女性の話は、いかにも都会の、経済的には不自由のない生活を送っている女性の自己実現に関する悩みで、それがいまいちドラマを表面的にしている。働きながら子育てをしている女性の中には、経済的な理由で働かざるを得ない人も少なくないのが実情なのに。子育ては妻任せという夫の描き方もパターン通りで、企業が家族留学なるイベントを企画するのも唐突で違和感が残る。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    子どもを持ち、育てる際に女性ばかりが忍従を強いられることについての具体的な描写にあふれていて重要かつ必見の一本。この社会は子育ての重荷を容易に女性のみに負わせるようになっている。それに胡坐をかく男のクソさについて本作はまだ相当お手柔らかに語ってくれていて申し訳ない。今回本欄の別作品「とんび」が田舎の美質として語ったのは、本来的に子育てが親ひとりや一家庭ではこなせぬもので周囲が支えた、ということだが本作ではもはやそれはSOSとして求められている。

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