靴ひものロンドの映画専門家レビュー一覧

靴ひものロンド

ニューヨーク・タイムズ2017年〈注目の本〉に選出された家族小説を「ワン・モア・ライフ!」のダニエーレ・ルケッティが映画化。夫アルドが浮気し家族の元を去り、妻ヴァンダの精神状態は不安定に。数々の修羅場を経て、家族は再び一緒に暮らし始めるが……。「ハングリー・ハーツ」で第71回ヴェネチア国際映画祭女優賞を獲得したアルバ・ロルヴァケル、「いつだってやめられる」シリーズのルイジ・ロ・カーショ、「息子の部屋」のラウラ・モランテ、「ボローニャの夕暮れ」のシルヴィオ・オルランドらイタリアの実力派俳優が揃い、歪な絆で結ばれた家族の物語を紡ぐ。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    夫婦が喧嘩して、子どもがもうどうしていいか分からない不安な顔をする。その顔がいつまでも記憶に残る。子どものことはそっちのけで、痴話喧嘩を繰り返すふたり。夫が若い女と楽しそうにしているのが、ホントこの男、クズって感じで苛立つ。奥さんが、どんどんおかしくなっていくのが、怖かった。こんなクズの夫なのに、帰ってきてほしいっていうのが、よくわからない理屈だけど、なんか分かる気がするのが不思議だ。男と女、嫉妬嫉妬で重苦しいが、クセになる面白さがある。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    言葉にできない感情の積み重ねによって、長年経っても絶妙なバランスで“家族”でありうること。一度壊れたものは決して修復されたわけではなく、壊れたまま、ひび割れからはいまだに時々血が流れる。歳を重ねた妻の顔に刻まれた皺は嘘がなく美しく、思わずためいきがでる。ガラス越しに聞こえない会話についつい耳をそばだてる。嘘と偽り、裏表などの二項対立に頼らずにもっと繊細に今にも壊れそうな、確かにそこにある“家族”の姿を描く。このような描き方を信頼したい。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    ラジオ局の階段ですれ違う若く美しい女性のクロースアップ。それは、荷物を届けに来た若い女性の配達人が路上で大柄な男性と話し合う場面への注目と連動している。つまり、この二つのショットの呼応が観客の意表を突くためのフェイントになっているわけだ。夫婦の愛憎劇にミステリーを導入する趣向で、子どもの視点から反転させるための布石である。こういうミスディレクションをさもそうでないかのようなさりげなさを装ってかましてくるあたりに、私はつい身構えてしまう。

1 - 3件表示/全3件