雄獅少年 ライオン少年の映画専門家レビュー一覧

雄獅少年 ライオン少年

中国の田舎町に暮らす貧しい少年が「獅子舞バトル」によって自らの人生を切り拓いていく姿を描く中国発のアニメーション。格差社会の底辺に生まれながらも困難を乗り越えて成長する主人公・チュンの声を花江夏樹、チュンに獅子舞全国大会のきっかけを与える同じ名前のヒロイン・チュンの声を桜田ひよりが担当した。その他、山口勝平、落合福嗣、山寺宏一、甲斐田裕子ら豪華声優陣が結集。武術・技芸・演劇の特長をあわせもった民間芸術の一つである中国獅子舞を題材に、いかに自分らしく勇敢に生きていくかを考えさせる物語に加え、世界最高クオリティのCG アニメーションが堪能できる。中国で2021年度公開映画の満足度ランキング第一位を獲得した。2022年4月29日に字幕版で公開された「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」の日本語吹き替え版。
  • 映画評論家

    上島春彦

    中国製CG映画で技術的には完璧。というのもこの国にはもともと墨絵を自在に動かす、というとんでもないアニメの伝統があり(もちろんCG以前から)、その蓄積はクレジット部から明白。また日本ではそれほど読まれていないもののマンガ産業もあり、テクニックは十分。なので画面を鑑賞するだけで感動する。にも拘らず星が伸びないのは、ここで実現されている曲芸色々はアニメなら普通にやれるに決まっているからだ。これを実写でやってしまう香港映画は凄かった、とつくづく思う。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    オープニングシーンで筆によるデッサン風の手描きアニメーションから写実的なCGアニメーションへと切り替わり、猫の毛並みの繊細さにまず驚かされながら映画の世界観へといざなわれてゆく。陽の光の射し込みや水面の揺蕩い、暖色の葉っぱに覆われた森の色彩などはあまりに美しい。経済的階級の下にいる少年を主人公に据え、獅子舞競技で一旗揚げようとする物語はオーソドックスではあるかもしれないが、つまるところこの映画は画面の視覚的快楽に大部分が懸けられているのだろう。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    弱虫、痩せ、太っちょの三人組が「ミスター・ミヤギ」的な師匠についてマッチョないじめっ子軍団と獅子舞大会で対決するというお話。壁全体がグラフィティで満たされている空間などに中国の変化を覚える。近年のCGは柔らかな風のそよぎはもちろんひとつの街を再現することも難なくできるようになっていて、翻って実写の大作はほとんどのショットがCG加工で塗りつぶされている。となると、撮影スタジオ機能もとい映画制作自体が一台のパッドの中で完結する日も近いのだろう。

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