もう、歩けない男の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
上島春彦
邦題がストレートでかえって驚くものの、実話に基づくというので納得する。順風満帆な営業マン人生を送っていた青年が突然の事故に遭い、首から下が麻痺状態で生きることになる。少年時代から向こう見ずの性格というのを冒頭で提示するわけだが、もっと何か怪しいサスペンスフルな物語が始まるのかと思ってしまった。結構肩透かし。恋人との関係の移り変わりが最大のポイントになるべきなのだが意外とあっさり。実話だから仕方ないか。ともあれチャレンジングな人生は続いていく。
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映画執筆家
児玉美月
エリートの男が突如として障害を背負うことになる映画というところでマチュー・アマルリックが好演した「潜水服は蝶の夢を見る」を思い出したが、POVショットを使いながら観客に追体験させる「潜水服?」とは異なり、本作はオーソドックスな作りでみせてゆく。何らかの苦境に陥った男が赤ん坊さながらに横暴に振る舞い出し、周囲の女性を母親化して成長してゆく物語には食傷気味ではあるものの、爽やかな鑑賞後感は悪くない。しかしほかの類似作品と比べるとやや弱い印象も受ける。
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映画監督
宮崎大祐
主人公に病なり障害があり、家族の支えやディスコミュニケーションを経て、それでもやっぱり生きてるって素晴らしいよねという地点にたどり着くのが近年の難病ものの定型であり、限界でもあり、本作もそこから大きく離れはしないのだが、主人公アダムを演ずる『ブレイキング・バッド』のアーロン・ポールがよくがんばっていて、それだけでも平均点はあげたくなる。だがやはりどうにも絵が安っぽく、ひと昔前のアメリカン・ドラマっぽく感じてしまうのは、予算や技術の問題ではないのだろう。
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