沈黙の艦隊の映画専門家レビュー一覧
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ライター、編集
岡本敦史
あの大人気マンガの満を持しての実写映画化だが、やっぱり「なんじゃこの話」としか思えない荒唐無稽さは変わらず。快作「ハケンアニメ!」の吉野耕平監督だから、突飛なストーリーもテンポよく多角的に見せ、各方面の思惑が交錯する憂国ポリティカル軍事サスペンスとして飽きさせない。充実の出演陣のなかでは、ヤバい目をしたタカ派の防衛大臣役の夏川結衣が絶品。VFXを駆使した海中戦が見どころだが、それより潜水艦自体のフェティッシュな描写がもっと観たかった気も。
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映画評論家
北川れい子
この長大な原作漫画を、人物やエピソードの省略は当然としても、よく2時間弱にまとめたものだと、まずそのことに感心する。世界の核保有国に向けた大胆不敵な海江田四郎の海底からの挑戦。場面の半分近くを海図や戦艦絡みのデータ、さらに専門用語や会話によるやりとりが占め、いわゆるアクションは皆無。けれども製作にも名を連ねている海江田役・大沢たかおの、すべて計算済みと言わんばかりの自信に満ちた演技が力強く作品を引っ張り、絵空事とは別の実感がある。吉野監督に拍手を。
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映画評論家
吉田伊知郎
現実の急速転換を前にするとリアリティより虚構性のみが浮上。結果、大沢・玉木への依存が強まるが、2人の演技を惚れ惚れと眺める分には満足。両者が切り結ぶ場面が平板だったのは残念だが。大沢は三島的な雰囲気が出せるだけに思想を垣間見せてほしかった。米国政府の動きを日本映画的なサイズで見せるのは苦しく、わが国の政府描写は「シン・ゴジラ」感が強い(夏川結衣の防衛大臣が余貴美子と酷似して見えるのは“名美”つながりか)。最後は、ここで終わり?と声が出そうに。
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