ロスト・キング 500年越しの運命の映画専門家レビュー一覧

ロスト・キング 500年越しの運命

500年以上にわたり行方不明だった英国王リチャード三世の遺骨を発見したアマチュア歴史家の実話を映画化。二人の息子の母で会社員のフィリッパは、シェイクスピアの『リチャード三世』を観劇。悪名高いリチャード三世の真の姿を明かそうと研究に没頭する。監督は、「ヴィクトリア女王 最期の秘密」のスティーヴン・フリアーズ。出演は、「シェイプ・オブ・ウォーター」のサリー・ホーキンス、「グリード ファストファッション帝国の真実」のスティーヴ・クーガン、「天才作家の妻 40年目の真実」のハリー・ロイド。
  • 映画監督

    清原惟

    どこにいても居心地の悪さを感じている中年女性が推し活で輝くというのが、とても現代的な題材。子どもがいる女性が何か活動しようとすると、家族の理解がないと難しいとか、社会的地位がないと功績を誰かに取られてしまうとか、リアルな描写にハッとする瞬間がたくさんあった。でも最終的に、家族が一番の応援隊になってくれたり、彼女の功績が認められたりするのは、ありきたりな展開だとしても嬉しくなる。主人公を演じたサリー・ホーキンスの、ひたむきさとズレ感が魅力的だった。

  • 編集者、映画批評家

    高崎俊夫

    後世の歴史家とシェイクスピアが流布させた醜怪な極悪人というリチャード三世のイメージを刷新し、遺骨まで発掘して名誉回復を図った女性の実話の映画化。ミステリを読むような面白さに嘆息しながら、まさにこれはジョセフィン・テイの歴史ミステリの名作『時の娘』の実録版なのだと得心がいった。監督のS・フリアーズは英国人らしい律義さ、控えめなタッチで肖像画から清廉なリチャード像を推理し、幻視する王との対話によって艱難辛苦を克服する夢想家のヒロインを魅力的に造型している。

  • 映画批評・編集

    渡部幻

    主演のサリー・ホーキンスと共演・共同脚本のスティーヴ・クーガン――まずこの両実力派が魅力的である。80年代に注目された鬼才フリアーズは近作も快調そのもの。この新作と同様、驚きの実話をテレビドラマ化した『クイズ 100万ポンドを夢見た男』(20)と『英国スキャンダル セックスと陰謀のソープ事件』(18)の卓越した話術が十分に知られておらず歯痒いが、今年85歳の才腕は冴えている。重い社会派にもアート映画にもせず、巧みな語り口でいきいきした“人生半ばの冒険譚”に仕立てていた。

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