SISU シス 不死身の男の映画専門家レビュー一覧
SISU シス 不死身の男
「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」のヤルマリ・ヘランダーが贈る戦争アクション。第二次世界大戦末期のフィンランド。愛犬ウッコを連れて掘り当てた金塊を運ぶ老兵アアタミは、ナチスの戦車隊に遭遇。ツルハシ1本と折れない心だけを頼りに立ち向かう。出演は「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」のヨルマ・トンミラ、「オデッセイ」のアクセル・ヘニー。
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文筆業
奈々村久生
タイトルがすべてを物語っている潔いほどのネタバレ全開。元軍人にして、たった一人で荒野をサヴァイヴするアアタミは、最小限の武器とその場にあるものや状況を味方につける戦法が、野蛮な「MASTERキートン」といったところ。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15)よろしく女性陣の反乱あり、「ミッション・インポッシブル」シリーズばりのアクションあり、そのすべてを泥臭さで互換。アアタミが超人すぎて、相手がナチスであることや善悪の区別すらつかなくなってくるのが、強みでもあり弱点でもあり。
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アダルトビデオ監督
二村ヒトシ
SISU道とは、私は死なないと決めることだと見つけたり。もっと徹底的にやってほしかった場面とか主人公が戦闘訓練うけてないただの人のほうが更に荒唐無稽でよかったのではとか、いくつか疑問はあったんだけど終わったら忘れちゃった。むしろ終わってから、「あきらめない」と心に決めるとはどういう精神状態なのかとか、悪役のほうが生に執着していたけど「執着する」と「心に決める」は何が違うのかとか、哲学的な問いで頭がいっぱいになった。鑑賞後に哲学的になれる映画は、いい映画。
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映画評論家
真魚八重子
少し古臭い印象を受けてしまった。ゼロ年代によくあった、ロバート・ロドリゲスやザック・スナイダーの世界観や映像に非常に似ている。物語はないに等しく、箇条書きで「死なない男が次々と襲ってくる奴らを返り討ちにする」。これは箇条書きなら良いにしても、脚本とは呼べないので、殺され方に創意工夫を凝らしていても飽きてくる。銃を抱えた女たちが横並びで歩いてくる演出も、じつは実戦的でないあたりが華を持たせた域を出ない。発想は面白そうでも、座持ちしない映画というのもあるのだ。
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