ドミノ(2023)の映画専門家レビュー一覧

ドミノ(2023)

「AIR エア」のベン・アフレックと「シン・シティ」のR・ロドリゲスがタッグを組んだサスペンスアクション。ひとり娘が失踪し、失意の刑事ロークは、貸金庫を狙った強盗事件で怪しい男を取り逃がす。男が娘の事件と関係していると信じ、手がかりを追う。出演は、「ある決闘 セントヘレナの掟」のアリシー・ブラガ、「HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ」のウィリアム・フィクナー。
  • 文筆業

    奈々村久生

    子供が行方不明になった、というシチュエーションはたびたび映画に登場し、しばしば親が妄想や虚言を疑われる。 そうした妄想説の裏をかき、SF的な根拠を与え、さらに転調を繰り返す作りは、このジャンルに新たな鉱脈を与えたはず。他人を騙すには自分から。また、主体が母親ではなく父親であることで、母性愛という思い込みの外にある、親子が能動的に愛を構築する描写が可能に。ロドリゲスのスタジオ設備を写し込む形で撮影されたシーンは、人為的に現実を作り出す映画づくりそのもののメタフィクションになっている。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    娘がらみのトラウマで心を病んだ肉体派はみだし刑事vs超能力で人の認知と「物語」を操る卑劣な強敵のバトルかと思いきや、話の根底がひっくり返る。途中からちがう映画になっちゃう系は嫌いじゃないけど、最後のドンデン返しを謎ときみたいにセリフで説明されて困った。撮影期間が足りなくなったのかな? 全篇がロドリゲス監督の、ハリウッド映画への風刺なのかもと解釈したら腑にはおちたが、ラストで主人公を救うものもまた映画が人心を支配して世に悪影響を与えるド定番の「虚構」かと。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    架空の世界を創造するという意味では、創作者らは映画内映画的な高揚があったかもしれない。途中までに登場した装置が集合したスタジオのような美術も、そういったイメージに沿わしているのだろう。だが映画は現実を夢見させるものだ。最初から出鱈目な虚構も甚だしい本作の世界観は、砂上の楼閣にすぎない。真実に近づいてからの色褪せたセットはなんと冴えないことか。揃いの赤いジャケットも物真似歌合戦の司会みたいでダサい。メインの人物の生い立ちもすぐに割り出せるだろうに、些末も脆弱。

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