サン・セバスチャンへ、ようこその映画専門家レビュー一覧

サン・セバスチャンへ、ようこそ

国際映画祭を舞台に繰り広げられるウディ・アレンの映画愛に溢れたロマンティック・コメディ。売れない作家のモート・リフキンは、妻スーと共にサン・セバスチャン映画祭に参加。だが、妻がフランス人監督フィリップと浮気していると疑惑を募らせた彼は……。出演は「マリッジ・ストーリー」のウォーレス・ショーン、「サンクスギビング」のジーナ・ガーション。
  • 文筆業

    奈々村久生

    あるとき以降、自分の自由意志でアレンの映画を観ることは選択しておらず、疑惑が晴れない限りはこれからもない予定である。是非はともかく、法的に裁かれようと裁かれまいと、作り手自身にまつわる情報は作品の見方にバイアスをかける。特に自画像的な登場人物や自伝的要素を多く盛り込んできたアレンの作風の場合はなおさらで、老年の主人公が漂わせる諦念を笑うこともできず、どんな作品でも人が作っている以上、「芸術に罪はない」を実践することの難しさを実感する経験となった。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    古い名作映画のカットを再現して喜んでるウディ・アレンにつきあわされる映画。映画と女が好きで嫉妬深いじいさんの話。ただし主人公はウディ・アレン当人ほか現実の老いた映画好きたちよりはナルシシズムがまだ薄い。くそじじいが監督した「映画の話をしてる映画」はだいたい面白くない。という感想を女が書けば面白い気がするが、これを書いてる僕は女好きな59歳のナルシストな男で、同族嫌悪というのはしてみてもあまり面白くない。というのがラストカットの主人公の問いへの僕の答え。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    #MeToo運動以前から、アレンが少女時代の養女の裸を撮影し、のちに結婚したという、倫理観が問われる問題は知っていた。しかし#MeToo以降に改めて向き合うと、こうした出来事を無視して、映画評を書くことは気が咎める。もはや大人の女性である養女スン・イーの、意思を重んじることも考え得るが。映画自体は近年のアレンの軽妙に人が入り乱れ、ひとまず愛が収まるべき所に落ち着く大人のドラマ。#MeToo以前のロリータ臭は払拭されている分、今の女優に興味はなさそう。

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