中谷美紀 ナカタニミキ

  • 出身地:東京都東村山市
  • 生年月日:1976/1/12

略歴 / Brief history

東京都東村山市の生まれ。10代前半の頃よりモデルとして活動し、1991年、テレビ朝日のバラエティ番組『桜っ子クラブ』内の企画“となりのマブ子ちゃん大賞”でグランプリを受賞。同じくグランプリの東恵子とアイドルデュオ“KEY WEST CLUB”を結成して、『お誂え向きのDestiny』で歌手デビューする。93年には『あなたがわからない』でソロデビューし、アイドル兼歌手として活動を続ける。93年、フジテレビのドラマ『ひとつ屋根の下』に出演して、女優業にも進出。日本テレビ『横浜心中』『遠山金志郎美容室』94、『ステイション』95などに出演したのち、96年には坂本龍一のプロデュースでシングル『MIND CIRCUS』を発表し、これが自身の出演ドラマでもある日本テレビ『俺たちに気をつけろ』96の挿入歌に使用された。以後も、『クロニック・ラヴ』がTBS『ケイゾク』99、『フロンティア』が日本テレビ『女医』99の主題歌となるなど、女優活動と並行して歌手としても活躍する。95年、大森一樹監督の「大失恋。」で映画初出演。同年、利重剛監督が日本映画監督協会新人賞を受賞した「BeRLiN」で不思議な魅力のデート嬢・キョーコを演じ、鮮烈な主演デビューを飾る。テレビドラマでは、TBS『ふぞろいの林檎たちⅣ』『恋のためらい』97、フジテレビ『Days』98、日本テレビ『ハルモニア・この愛の涯て』98、NHK-BS『ゲームの達人』99などを経て、99年、代表作の一本となる『ケイゾク』に主演。頭脳明晰で変人の刑事・柴田純を演じる。一話完結の刑事ドラマというオーソドックスな構成に始まり、中盤よりシリアスなストーリーへと展開。謎の収束しない結末や、中谷はじめ個性的かつ不安定なキャラクターたちが人気を呼び、放送終了後も熱狂的なファンを多数生み出すカルトドラマとなった。同作のメイン演出家・堤幸彦、脚本家・西荻弓絵、共演の渡部篤郎とともに大きく注目され、主演女優としての地位を固める。98年から99年にかけては、Jホラー・ブームを巻き起こした「リング」シリーズにも出演。大学院生・高野舞役で、第1作では脇役だった「リング」から、続編「らせん」ではヒロインに、さらに「らせん」とは異なる設定で作られた続編「リング2」では主演を張り、同シリーズを牽引した。2000年代に入ってからは、日本テレビ『永遠の仔』00の性的虐待を生き延びた女性、テレビ朝日『R-17』01のスクールカウンセラー、NHK『聖徳太子』01の聖徳太子の妻・刀自古郎女などシリアスな役柄を中心とするもの、竹野内豊の相手役をつとめたTBS『真夏のメリークリスマス』00のようなラブストーリーや、フジテレビ『恋するトップレディ』02のフリーターから市長へと担ぎ上げられるヒロインといった軽みのある役も演じる。映画では、ドラマに続き映画版も製作された「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」00をはじめ、中田秀夫監督「カオス」00の謎めいた人妻、滝田洋二郎監督「壬生義士伝」03、タカハタ秀太監督「ホテルビーナス」04の愛する男を支える気丈な女性、大谷健太郎監督「約三十の嘘」04の冷静な女詐欺師、SABU監督「疾走」05のヤクザの情婦、黒沢清監督「LOFT/ロフト」06のスランプに陥った孤独な作家など、ひと癖ありながらも凛とした強さをもつ役柄が多い。そして、そのイメージを逆手に取り、かつ大きく飛躍させたのが、06年の中島哲也監督「嫌われ松子の一生」である。優秀な女教師から風俗嬢へ、さらに情夫を殺して刑務所へ収監され、最期は河川敷で少年たちに撲殺される女性の悲惨な人生を描いた同作で主人公の川尻松子に扮し、その生真面目さ、愚かさ、純粋さを見事に表現。きわどい題材にも拘わらず作品は大ヒットを記録し、中谷自身もキネマ旬報賞、報知映画賞、毎日映画コンクール、日本アカデミー賞、香港国際映画祭アジアン・フィルム・アワードの主演女優賞を獲得するなど、同世代の女優たちの中で頭ひとつ抜きん出た存在となる。以後もテレビ朝日『ガンジス河でバタフライ』07、NHK『白洲次郎』09、TBS『JIN/仁』09・11などのテレビドラマに出演するも、主な活動の場はほぼ映画に移行し、堤幸彦監督と再び組んだ「自虐の詩」07では乱暴者の夫を愛する健気な女性を、浜本正機監督「あかね空」07では豆腐職人の夫を励ます江戸っ子の妻を、三原光尋監督「しあわせのかおり」08では中華料理に魅せられるキャリア女性を、矢崎仁司監督「スイートリトルライズ」10では平穏な夫婦生活に倦む人妻をといった具合に、生活感ある役柄を演じるようにもなる。一方で、オタク青年と恋愛を育む美女“エルメス”を演じた「電車男」05や、恋に不器用なOLに扮した「7月24日通りのクリスマス」06などラブコメディでも手堅い演技を見せる。韓国との合作映画「力道山」06でのソル・ギョング演じる力道山の妻・綾、キーラ・ナイトレイ、マイケル・ピットらと共演した五カ国合作映画「シルク」での在仏日本人マダム・ブランシュなど、海外作品でも存在感を放つ。本領発揮となる“業を背負った女性”役でも、09年の犬童一心監督「ゼロの焦点」09で忌まわしい過去を消して社長夫人となるも転落する室田佐知子役を演じ、日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞した。

中谷美紀の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • レジェンド&バタフライ

    制作年: 2023
    「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が、織田信長と謎に包まれたその正室・濃姫の知られざる物語を木村拓哉&綾瀬はるか主演で映画化。政略結婚で結ばれた信長と濃姫。当初は対立していた2人だったがやがて天下統一の夢を共にし、激動の30年を駆け抜けてゆく。共演は「ムーンライト・シャドウ」の宮沢氷魚、時代劇映画初出演となる市川染五郎。
  • 総理の夫

    制作年: 2021
    山本周五郎賞や新田次郎文学賞を受賞した作家・原田マハの20万部超えのベストセラー小説を原作に、田中圭と中谷美紀が「日本初のファーストジェントルマン」と「日本初の女性総理」となった夫婦を演じる先取系(?)政界エンタテインメント。内閣広報担当に貫地谷しほり、イケメン総理秘書に工藤阿須加が扮するほか、松井愛莉、木下ほうか、米本学仁、嶋田久作、片岡愛之助、余貴美子、岸部一徳など、癖の強い俳優たちが脇を固める。日本初の女性総理大臣として神々しい美しさで登場する凛子役・中谷美紀に対して、鳥類学者で無精ひげ、恰好をまったく気にしない日和役・田中圭の丁々発止が小気味いい。マスコミの突撃を受けて自身が“日本初の”ファーストジェントルマンとなったことを知り、驚きを隠せない日和に、「驚かせてごめん」と言う凛子だが、“監視”、“追っかけ”、さらには“スキャンダル”まで数々のピンチが日和に降りかかる。果たして、日和と凛子はこの“歴史をも動かす”ピンチを乗り越えられるのか?
  • ボヤージュ・オブ・タイム

      制作年: 2016
      「ツリー・オブ・ライフ」のテレンス・マリック監督が、革新的な視覚効果を用いて宇宙の壮大な足跡を映し出すドキュメンタリー。爆発によって宇宙が誕生し、惑星が変化を遂げていく中で宿り育まれてきた様々な生命の歩みを辿りながら、人類の未来を探求する。ナレーションは「キャロル」のケイト・ブランシェット。視覚効果は「ツリー・オブ・ライフ」のダン・グラス。プロデューサーに「白い帽子の女」のブラッド・ピットが名を連ねる。
      60
    • FOUJITA

      制作年: 2015
      1920年代からフランスを中心に活躍し、帰国後は戦時下に数々の戦争協力画を描いた日本人画家、藤田嗣治の半生を描いた伝記映画。「死の棘」の小栗康平監督が、自ら執筆したオリジナル脚本を映画化した。出演は「舟を編む」のオダギリジョー、「繕い裁つ人」の中谷美紀、「最後のマイ・ウェイ」のアナ・ジラルド。
    • 繕い裁つ人

      制作年: 2014
      洋裁店を営む女性と彼女が作るこだわりの服をめぐった池辺葵による同名漫画を、「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」の三島有紀子監督が映画化。脚本は「永遠の0」の林民夫が担当。祖母から受け継いだ洋裁店で依頼主の心に寄り添う洋服を作り続ける市江を「利休にたずねよ」「嫌われ松子の一生」の中谷美紀が、彼女にぶつかっていく百貨店に勤める男を「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」の三浦貴大が演じる。ほか、「小野寺の弟・小野寺の姉」の片桐はいり、「小さいおうち」の黒木華、「麦子さんと」の余貴美子らが出演。平井堅が歌う財津和夫の『切手のないおくりもの』のカバーが主題歌になっている。
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    • 渇き。(2014)

      制作年: 2014
      読者を圧倒するような筆致で第3回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した深町秋生の小説『果てしなき渇き』(宝島社・刊)を、「告白」が第83回アカデミー賞外国語映画賞日本映画代表作品に選出された中島哲也監督が映画化。行方不明になった娘を探すうちに、娘の知らなかった一面が徐々に明らかになり、狂気じみた行動に出る元刑事の父親を描く。家族崩壊を招いたろくでなしの父親を演じるのは「わが母の記」「Shall we ダンス?」の役所広司。中島監督とは「パコと魔法の絵本」以来のタッグとなる。また、周囲を翻弄する美貌の娘に「ただいま。」の小松菜奈が扮する。ほか、「悪人」の妻夫木聡、「嫌われ松子の一生」の中谷美紀らが出演。
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