ラウール・ウォルシュ ラウールウォルシュ

  • 出身地:アメリカ、 ニューヨーク州イースト・マンハッタン
  • 生年月日:1887/03/11
  • 没年月日:1980/12/31

略歴 / Brief history

【“大統領暗殺犯”からアクション映画の監督に】アメリカのニューヨークのイースト・マンハッタン生まれ。父はアイルランド系、母はスペイン系。5歳下の弟ジョージは俳優となり、ラウール演出の「紐育の誉れ」(17)、「バワリイ(阿修羅街)」(33)に出演している。テキサス州でカウボーイとなるが、落馬して足を骨折。回復すると地元の劇団の舞台に立ち、その後巡業に参加し、1909年にニューヨークに戻る。カウボーイの経験を生かして西部劇の悪役俳優となり、やがてD・W・グリフィスの下で俳優、助監督として働く。グリフィスの「國民の創生」ではリンカーン大統領暗殺犯ジョン・ブースを演じて好評を得た。自伝でウォルシュは、グリフィスについて「映画製作の芸術について教えてくれただけでなく、製作進行のテクニックについても教えてくれた」と記している。師と同じく、彼もチーム・ワークを重視、同じ俳優、スタッフを使うことが多かった。15年、フォックス社でギャングスター映画“Regeneration”を監督。24年にダグラス・フェアバンクス主演のファンタジー「バグダッドの盗賊」を撮って認められた。28年の「港の女」では自ら出演、「懐かしのアリゾナ」にもシスコ・キッドの役で出演していたが、彼の自動車のウィンドウ越しに野うさぎが飛び込んできて、彼の右目を傷つけ、以来、アイパッチをつけることになる。30 にはジョン・ウェイン主演で70ミリ西部劇大作「ビッグ・トレイル」を撮るが、興行的には成功しなかった。【男性派アクション映画に手腕を発揮】39年からの3年間、ワーナー・ブラザーズで「彼奴は顔役だ」(39)、「大雷雨」(41)、「壮烈第七騎兵隊」「鉄腕ジム」(42)といった、男たちを描く作品で個性豊かな俳優たちを巧みに演出。41年には「ハイ・シエラ」で、それまで悪辣な悪党役ばかりを振られていたハンフリー・ボガートに、逃亡犯ではあるが人間味のあるキャラクターを演じさせ、彼がヒーローに転じるのに貢献した。またギャングスター映画で一世を風靡しながら、世間の批判をうけて裁く側に転身していたジェームズ・キャグニーに、「白熱」(49)で再び悪辣なギャングスターを演じさせ、迫真の演技を引き出した。無声映画時代はファンタジー、聖書史劇、重厚な人間ドラマを撮ったが、トーキー時代到来以後はギャングスター映画、西部劇、史劇、海洋劇、戦争映画とアクション中心の作品が多く、骨太の演出技法で評価された。

ラウール・ウォルシュの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 路上のライオン

    制作年: 1953
    行商人から州知事選候補者まで登り詰めた野心溢れる男を描くドラマ。2024年4月20日~5月24日シネマヴェーラ渋谷にて開催「ラオール・ウォルシュ レトロスぺクティブ」にてデジタル上映。
  • 恐怖の背景

    制作年: 1943
    第二次大戦下のトルコを舞台にドイツとソ連の工作員たちの争奪戦を描くサスペンス。2024年4月20日~5月24日シネマヴェーラ渋谷にて開催「ラオール・ウォルシュ レトロスぺクティブ」にてデジタル上映。
  • ハイ・シェラ

    制作年: 1941
    心の底で汚れない愛と自由を求めたヒューマンな犯罪者の姿を描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはハル・B・ウォリス、監督はラウール・ウォルシュ、原作・脚本はW・R・バーネット、共同脚本はジョン・ヒューストン、撮影はトニー・ゴーディオ、音楽はアドルフ・ドイッチェが担当。出演はハンフリー・ボガート、アイダ・ルピノほか。
    90
  • 脅迫者

    制作年: 1951
    「地獄への退却」のミルトン・スパーリングが主宰するユナイテッド・ステイツ・ピクチュアの1951年作品で、殺人団を追求する検事局の活躍を描く。「底抜け艦隊」のマーティン・ラッキンの脚本を「花嫁の季節」のブレテイン・ウィンダストが監督した。撮影は「ホンドー」のロバート・バークス、音楽は「謎のモルグ街」のデイヴィッド・バトルフの担当。「悪魔をやっつけろ」のハンフリー・ボガート、「デュバリイは貴婦人」のゼロ・モステル、新人パトリシア・ジョイナー、「盗賊王子」のスーザン・キャボット、テッド・デ・コルシア、エヴァレット・スローンらが出演。撮影中にブレテイン・ウィダスト監督が病気となり、ラオ―ル・ウォルシュ監督が完成。だが、ウォルシュがクレジットを拒否したという逸話が残っている。
  • いちごブロンド

    制作年: 1941
    「群集の喚呼」のジェームズ・キャグニーが、「海賊ブラッド」のオリヴィア・デ・ハヴィランド及び「晴れて今宵は」のリタ・ヘイワースを相手に主演する映画で、ジェームズ・ヘイガンの舞台劇の再映画化である。脚本は「カサブランカ」のフィリップ・G・エプスタイン、ジュリアス・J・エプスタインが協力執筆し、「嵐の青春」のジェームズ・ウォン・ホウが撮影した。助演は「ロビンフッドの冒険」のアラン・ヘール、「砂塵」のジャック・カーソン、劇壇に名あるジョージ・トビアス等である。1941年作品。
  • 遠い喇叭

    制作年: 1963
    「リオ・グランデ」のポール・ホーガンの原作を「連邦警察」のジョン・ツウィストが脚色、「遠い太鼓」のラウール・ウォルシュが演出した西部劇。撮影は「マクリントック」のウィリアム・H・クローシア、音楽を「スペンサーの山」のマックス・スタイナーが担当した。製作はウィリアム・H・ライト。出演は「パームスプリングの週末」のトロイ・ドナヒュー、スザンヌ・プレシェット、「二十歳の火遊び」のダイアン・マクベイン、「魚雷艇109」のジェームズ・グレゴリー、TVのウィリアム・レイノルズ、「侵略」のジャドソン・プラット、「地上より永遠に」のクロード・エイキンズほか。

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