松原智恵子 マツバラチエコ

  • 出身地:岐阜県揖斐郡池田町の生まれ
  • 生年月日:1945/01/06

略歴 / Brief history

岐阜県揖斐郡池田町の生まれ。終戦後、一家が疎開していた岐阜から愛知県名古屋市に移り、市立桜台高校在学中の1960年、日活の“ミス16歳コンテスト”に応募して入選。翌61年にニューフェイスとして日活に入社する。東京の菊華高校(現・杉並学院)に転入し、最初の2年間はほとんど助演だったが、吉永小百合の「いつでも夢を」63、舟木一夫の「学園広場」63、高橋英樹の「何処へ」64、浜田光夫の「仲間たち」64からは吉永小百合、和泉雅子とともに“日活三人娘”として青春映画の一翼を担うようになる。同時にアクション映画の相手役としても小林旭の「さすらすい」「関東無宿」63、「花と怒濤」「ギターを抱えたひとり旅」64、宍戸錠の「拳銃残酷物語」64などに出演。64年、製作者協会新人賞を受賞している。65年には、渡哲也と「あばれ騎士道」で初顔合わせ。渡とはその後、「東京流れ者」「骨まで愛して」66、「わが命の唄・艶歌」68、「前科・仮釈放」69でコンビを組むことになるが、この時期の最大の収穫は「無頼」シリーズ全6作での主人公に絡むヒロイン役で、天涯孤独なアウトロー・人斬り五郎の心の支えとなるヒロインを美しく健気に演じた。戦いで深手を負った五郎に駆け寄るヒロイン・雪子(恵子、由紀、弓子など)という設定はほぼ全作に共通したラストシーンで、松原の技巧を超えた演技はパターン化されてシリーズの特色となった。ヒット歌謡曲をモチーフに、その歌手を招いて作られた“青春歌謡路線”では、「涙になりたい」「星のフラメンコ」66、「恋人をさがそう」67で西郷輝彦と、「学園広場」63、「夕笛」67、「残雪」68で舟木一夫の相手役をつとめ、彼女の無色透明感が彼らの希薄な演技力を補った。青春歌謡路線の終焉とともに始まった任俠路線では、「博徒無情」「俠華列伝・襲名賭博」69、「鉄火場慕情」70に出演し女賭博師や芸者などを演じるが、彼女の持ち味だった透明感とはあまりにかけ離れすぎていて、観客の支持は得られなかった。この間、高校は4年がかりで卒業。明治大学第二文学部英文科に進むが、結局3年在籍時の68年に中退する。71年、ロマンポルノ路線に切り替わった日活から離れ、他社作品とテレビドラマ出演に移行する。東宝の中平康監督「栄光への反逆」70がその第1作で、東映の佐伯清監督「昭和残俠伝・吼えろ唐獅子」71へと続くが日活で純粋培養されたイメージになじまず、これも成功したとは言いがたかった。しかしテレビでは、下町の銭湯を舞台にしたTBS『時間ですよ』70で強烈な個性やアクのない彼女の持ち味がお茶の間に受け入れられ、定位置を見出す。一時期は完全に映画から離れたが、90年代以降は時おり好助演も見せ、犬童一心監督には「死に花」04、「黄色い涙」07と続けて起用された。11年7月公開の近作に、篠原哲雄監督「小川の辺(ほとり)」がある。テレビドラマは、NHK大河ドラマ『国盗り物語』73、『元禄太平記』75、『おんな太閤記』81、『春日局』89、『八代将軍吉宗』95、『利家とまつ・加賀百万石物語』02、『龍馬伝』10のほか、同局『あぐり』97、『すずらん』99、『夢見る葡萄・本を読む女』03、日本テレビ『あいつと私』67、『若い川の流れ』68、『たんぽぽ』73~78、『奇跡の人』98、『幸福の王子』03、フジテレビ『徳川おんな絵巻』71、『天才柳沢教授の生活』02、『東京ラブ・シネマ』03、TBS『女7人あつまれば』82、『夫婦。』04、『汚れた舌』05、テレビ東京『バースデイ・こちら椿産婦人科』99など多数に出演。舞台は芸術座『放浪記』などがある。72年8月23日、ルポライターの黒木純一郎と結婚。

松原智恵子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 宮古島物語ふたたヴィラ 再会ぬ海

    制作年: 2023
    俳優であり、「ひとくず」の監督でもある上西雄大が贈る「宮古島物語ふたたヴィラ」の続篇。父の貴吉(こうきち)が宮古島に建てたホテルを継ぐことを請われて、大阪から渋々やってきた娘の陽葵(ひまり)。母と自分を捨てたと思っていた亡き父のホテルは、泊まれば再会を果たせる「ふたたヴィラ」と呼ばれ、人々の交流の場所となっていた。美しい宮古島を舞台に、家族の不滅の愛と絆の物語が紡がれる。マドリード国際映画祭にて、最優秀賞と最優秀主演男優賞(上西雄大)を受賞。
  • 宮古島物語ふたたヴィラ

    制作年: 2022
    「西成ゴローの四億円」の上西雄大監督による宮古島を舞台にした群像ドラマ。事業に失敗した碧海貴吉が、沖縄の宮古島に建てたヴィラ“ふたたヴィラ”。時は流れ、貴吉が亡くなり、娘の陽葵が父の内縁の妻・甘潮優実に呼ばれ大阪から宮古島にやって来る……。出演は「ゆずの葉ゆれて」の松原智恵子、「AKAI」の赤井英和、「ONODA 一万夜を超えて」の津田寛治、「夜明けまでバス停で」のルビー・モレノ。
  • ひみつのなっちゃん。

    制作年: 2023
    3人のドラァグクイーンが仲間の葬儀に参加するため旅する姿を描くロードムービー。新宿二丁目で食事処を営むなっちゃんが死ぬ。ドラァグクイーン仲間のモリリン、バージン、ズブ子はひょんなことから、なっちゃんの母から郡上八幡で行われる葬儀に誘われる。出演は、「さんかく窓の外側は夜」の滝藤賢一、「科捜研の女 劇場版」の渡部秀、「ハケンアニメ!」の前野朋哉、「長いお別れ」の松原智恵子。監督・脚本は、本作が初監督・脚本作となる田中和次朗。
  • 西成ゴローの四億円 死闘編

    制作年: 2021
    「ねばぎば 新世界」の上西雄大が監督・脚本・プロデューサー・主演を務める犯罪ドラマ二部作の後編。新型ウイルスが蔓延する中、工作員の策略により、ウイルスを故意に国外から日本へ持ち込んだのはゴローだと報じられる。元妻と娘にも魔の手が伸び……。「その男、凶暴につき」や「銃」など数々の作品を手がけてきたプロデューサー、奥山和由が製作総指揮を務める。家族のために大金を稼ごうと捨て身でもがくゴローを上西雄大が、韓国巨大マフィアの会長を石橋蓮司が演じる。2022年1月29日より大阪先行上映。
  • 長いお別れ

    制作年: 2019
    中島京子の同名小説を「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太が映画化。父・昇平の70歳の誕生日。母・陽子は、帰省した長女・麻里と次女・芙美に、厳格な父が認知症になったことを告げる。ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選ぶ未来とは。出演は、「家族はつらいよ」の蒼井優、「クリーピー 偽りの隣人」の竹内結子、「ゆずの葉ゆれて」の松原智恵子、「モリのいる場所」の山﨑努。
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  • 君がまた走り出すとき

    制作年: 2018
    『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』15周年を記念し、地元である埼玉県川口市を舞台に制作されたヒューマンドラマ。日本人男性で初めて世界6大マラソンを走破した川口在住の市民ランナーの実話をモチーフに、人生に行き詰まった男女6人の出会いと再生を綴る。出演は「菊とギロチン」の寛一郎、「寝ても覚めても」の山下リオ、「ケアニン あなたでよかった」の菜葉菜、「えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました。」の辻本祐樹、「破裏拳(はりけん)ポリマー」の長谷川初範、「あん」の浅田美代子、「ゆずの葉ゆれて」の松原智恵子。脚本を「25 NIJYU-GO」の岡芳郎、撮影を「覚悟はいいかそこの女子。」の栢野直樹、音楽を「触れたつもりで」の大橋征人が担当。監督は「4/猫 ねこぶんのよん」の中泉裕矢。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018 オープニング作品。2019年2月8日よりMOVIX川口にて先行上映。