てから始まるものでの検索結果

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  • テレビアニメ化もされた同名人気漫画の実写版が、ドラマ化に続いて映画化。元アイドルの松村沙友理が、真逆の立場ともいえる赤ジャージの伝説的なファンを熱演する「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」が、5月12日より劇場公開される。ドラマ版未見でも楽しめる劇場版なのか、そもそも長編映画にふさわしい作品となっているのか。ドラマ版のファン、原作やアニメ版のファン、そしてドラマ版を未見の方にとっても、皆が気になるところだろう。 ドラマ版未見でも楽しめる劇場版 原作は、平尾アウリが『COMICリュウWEB』に連載中で、“推し武道”の略称でも愛される人気漫画。既刊9巻のコミック累計発行部数は100万部を突破しており、2020年1~3月にテレビアニメ版が放送、2022年10~12月にはテレビドラマとして実写化、放送された。今回の劇場版は、そのドラマ版と同キャスト&同スタッフによるもので、ドラマ版の続きを描いている。 ドラマ版の続編ということで初見の方にはハードルが高そうに思われるかもしれないが、実はそうでもない。もちろんドラマ版を見ていた方がより楽しめるのは間違いないが、今回の劇場版の冒頭には簡単なドラマ版の振り返りもあるし、熱狂的なファンと、そのファンに推されるアイドルたちの物語であることは、初見でもすぐに理解できるだろう。応援する側と応援される側、どちらにもそれぞれに夢を追う熱狂や青春のドラマがあることを、笑いや感動と共に軽快に綴っていく。 舞台となるのは岡山県。フリーターのえりぴよ(松村沙友理)は3年前に、街中のイベントで野外LIVEをしていた7人組のローカル地下アイドルのChamJam[チャムジャム]と出会う。そこでメンバーの舞菜(伊礼姫奈)に人生初のトキメキを感じたえりぴよは、熱狂的な舞菜のドルオタ(アイドルオタク)としてLIVEや握手会などに通い続けるようになり、私服は高校時代の赤ジャージしか持たないほど、収入の全てを舞菜への推し活に捧げてきた。そんなえりぴよの推し活も今回の劇場版では4年目に突入。武道館のステージに立つ夢を持つChamJamが活躍の場を広げていく中、鼻血を流すほどのえりぴよの応援にもさらに力が入る。しかし、その一方で、内気すぎて人気が伸び悩む舞菜は、ケガのため一人だけ活動休止を余儀なくされ、焦りや葛藤が深まっていくこととなる。 映画館でこそ体感できるLIVEシーンの臨場感 アニメ版は原作ファンの評価が高かったが、実写版も負けてない。漫画原作の実写化は、まずそのキャラクターの再現度を問われてしまうことも多いが、えりぴよ役の松村沙友理は思い切りのよい振り切った熱演を見せ、ChamJamのメンバー役は実在するアイドルグループの@onefiveの4人と若手女優の中村里帆&和田美羽&伊礼姫奈が歌とダンスも交えて演じ、共に高評価を受けた。特にそのChamJamの実在感は、実写版独自の魅力といえる。3人の若手女優と4人のアイドルという組み合わせは、演技・歌唱・ダンスなどの技量や経験がそれぞれ全く異なりながらも、絶妙なバランスでローカル地下アイドル役を好演。マイナー・アイドルの悲哀など彼女たちの物語も描かれるため、アイドル好きでなくとも、応援したくなってしまう。 そんなChamJamが今回の劇場版では岡山を飛び出し、初の東京進出を果たす。とはいえ、それは一筋縄ではいかないのだが、成長のための大きな足掛かりを掴む。また、ChamJamの楽曲は、アニメ版で制作された曲を実写版キャストでリメイクしているが、今回は実写版としては初披露の『私たちが武道館にいったら』を聞くことができる。LIVEシーンは映画館で見ると臨場感たっぷりで、応援上映などにもハマりそうだ。大谷健太郎監督にとっても「NANA」(05)「NANA2」(06)などで取り組んできた音楽映画の一つとも言えるだろう。 長尺で濃密に描かれる推す側と推される側の関係性 そして、本作の根幹ともいえるえりぴよと舞菜の関係にも、ドラマ版以上に焦点が当てられ、特に舞菜は本作で大きな転機を迎える。推す側と推される側だが、すれ違う恋模様のようにも見えるふたりの関係性が、1話30分のドラマ版と違い、長尺で濃密さを増して描かれていく。さらに今回はえりぴよの働く姿もたっぷり見られ、オタク仲間のくまさ(ジャンボたかお)と基(豊田裕大)と玲奈(片田陽依)以外では、唯一かもしれないえりぴよの友人かつバイト仲間の美結(あかせあかり)もいい活躍を見せてくれる。 推す側のファンの物語であると共に、推される側の全国区のアイドルを目指す少女たちの物語でもあり、誰もが様々な立場に想いを重ねて応援したくなるような本作。今回の劇場版が初見となる方でも、夢を追う者たちの青春群像劇として楽しめることだろう。また、原作のエピソードにオリジナル要素も交えて描かれるが、前提となるドラマ版自体が一部を除き基本的には原作を忠実に映像化しているので、原作ファン、アニメ版のファン共に、劇場版から見ても違和感なく楽しめる。原作も継続中であり、推しに人生を捧げたえりぴよがどのような道を歩むのか、そしてChamJamは武道館に立つことができるのか。その成長を見届けるため、さらなる続編にも期待したい劇場版だ。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社      「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」 5月12日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー! 出演:松村沙友理、中村里帆、MOMO(@onefive)、KANO(@onefive)、SOYO(@onefive)、GUMI(@onefive)、和田美羽、伊礼姫奈、あかせあかり、片田陽依、西山繭子、豊田裕大、ジャンボたかお(レインボー) 原作:平尾アウリ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(COMICリュウWEB/徳間書店) 監督:大谷健太郎 脚本:本山久美子 音楽:日向萌 主題歌:@onefive「Chance」(avex trax) 製作:「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会 配給:ポニーキャニオン ©平尾アウリ・徳間書店/「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会 公式HP:oshibudo-movie.com 公式Instagram/Twitter:@oshibudo_abc
  •   「パピチャ 未来へのランウェイ」のムニア・メドゥール監督が再び主演にリナ・クードリを迎え、声と夢を奪われたダンサー女性の再生を描いた「裸足になって」が、7月21日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。本予告と本ポスタービジュアルが到着した。     内戦の傷が癒えず、不安定なアルジェリア社会。貧しいながらもバレエダンサーになることを夢見るフーリアは、ある夜、男に階段から突き落とされて大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。抜け殻同然となったフーリアだったが、リハビリ施設で出会ったのは、心に傷を抱えたろう者の女性たちだった。「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」。その一言から始まったダンス教室で、フーリアは生きる情熱を取り戻していく──。 1990年代に“暗黒の十年”と呼ばれる内戦が続き、治安回復の過程でも多くのテロが起きたアルジェリア。その傷を抱え続ける社会を舞台に「現代の問題や、人間と言語の豊かさをもっと掘り下げたいという気持ちがあった」というムニア・メドゥール監督は、以下のように続けている。 「『裸足になって』では、事故による変化に苦しむ若いダンサーの物語を語ることで、現在のアルジェリアの歴史に再び踏み込むことにした」 「私はドキュメンタリー映画出身だから、フィクションに書き直すために、自分の記憶の奥や体験に迫るのが好きなの。私自身、事故でかかとを複雑骨折した後、しばらく動けず、長いリハビリをしたことがあって、孤独や寂しさ、障害、そして何よりも再起について語りたいと思っていた」 「フーリアは再生して、最終的にはもっと強い女性、つまり彼女自身になる。耐えることにより偉大になったフーリアのヒロイン像は、傷つきながらも立ち上がるアルジェリアのイメージを想像して出来上がった」 なお製作総指揮は、「コーダ あいのうた」でろう者の俳優として初めてアカデミー助演男優賞に輝いたトロイ・コッツァーが担当。予告編のナレーターは、声優の沢城みゆきが務めている。 手話をモチーフに振り付けられ、言葉より雄弁に訴えるフーリアのコンテンポラリーダンス。そして抑圧的な社会で手を携え、立ち上がる女性たち。瑞々しく力強い物語に注目だ。     「裸足になって」 監督:ムニア・メドゥール 出演:リナ・クードリ、ラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ 製作総指揮:トロイ・コッツァー 原題:HOURIA/99分/フランス・アルジェリア/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:丸山垂穂 配給:ギャガ ©THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT 公式HP:https://gaga.ne.jp/hadashi0721
  •   吉田修一の同名ミステリー小説を、福士蒼汰と松本まりか主演で、大森立嗣のメガホンにより映画化した「湖の女たち」が、11月より全国公開される。各者コメントとファースト・ビジュアルが到着した。     琵琶湖近くの介護施設で百歳の老人が不可解な死を遂げた。老人を延命させていた人工呼吸器の誤作動による事故か、それとも何者かによる殺人か。真相を追う刑事たちと介護士の女、そして過去の事件を探る記者の運命は、深い湖に沈んだ恐るべき記憶に呑まれていく──。 「さよなら渓谷」の原作者と監督の再タッグで放つ本作。刑事の濱中圭介(福士蒼汰)と介護士で容疑者の豊田佳代(松本まりか)は、事件が袋小路に入り込むにつれ、インモラルな関係性に溺れていく。衝撃の物語に注目だ。   〈コメント〉 福士蒼汰 圭介は今まで経験したことのない役柄だったので、僕にとって非常に大きな挑戦であり、役者人生におけるターニングポイントと呼べる作品となったと自負しています。 原作や台本を読み込み、撮影に向けて準備を整えて臨みましたが、役者がすべきことは“その場の空気に身を置く”こと、思考を取っ払って感じるがままを表現することだと、改めて気付かされた現場でした。 大森監督が僕を原点に引き戻して下さったのだと感じています。 “わかりやすさ”や“意味”を求められることが多い昨今ですが、この作品では、人間の奥底で疼く何かを感じていただきたいです。言葉だけでは説明がつかない人間という生き物を、湖の絶景と共に受け止めていただけたらと思います。 松本まりか 大森立嗣という人はただひたすらに私を見つめ続けました。 何も語らず肯定し続けました。 私は認められ解き放たれ自由であることに戸惑いました。芝居は俳優はこうあるべきとか、誰かが決めてくれた常識を鵜呑みして従い縛られ生きることに安心感を覚えていること…なんならその不自由さを求めてすらいることに気がつきました。自分は何者なのか、何がしたいのか、何がしたくてここまできたのか、自分の中に何があるのか、何もない、持たない、結局何者でもないことを突き付けられ、焦り、限界を知り、静かに壊れてゆきました。 そこに至って私はようやく、自分を守る、偽るガードが崩れ、その隙から本当に美しいもの、その本質に一瞬、出会うことが出来たのです。 それは私であり佳代であり、自分と役を隔てるものはなかったように思います。 ラストシーン。 彩りを帯びてゆく空と湖、逆光の大森組が三位一体になった夜明け。 あんなにも美しい景色を見たのは初めてでした。 どうしようもなく此処で生きたいと思ってしまった。 「誰かを信じ切る」という監督の揺るぎない覚悟と共に、 あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはないでしょう。 監督・脚本:大森立嗣 吉田修一さんの『湖の女たち』と言う小説を読みました。この世のケガレと生の輝きが渦巻くようなものすごい小説でした。沸々とした気持ちを抑えられず、大きな挑戦でしたが映画にしたいと熱望し、なんとか完成までこぎつけました。福士蒼汰と松本まりかが主演です。二人は本当に素晴らしい演技をしています。今は心に響く映画になったのではないかと思っていますが、どのように伝わるか緊張の中にいます。どうか皆さまに届きますように。 原作・吉田修一 海は眺めるものだが、湖はこちらを見つめてくる。 本作を観終わって尚、ざわざわと落ち着かぬ心にそんな言葉が浮かんでくる。 映画を見ていたつもりが、気がつけばずっとその映画に見られていたような感覚だった。 劇中、不毛でアブノーマルな性愛に溺れていく男女を演じる福士蒼汰さんと松本まりかさんからも、その何かを問いかけるような凄みが強く伝わってくる。 二人が重ね合わせるのは体ではなく、互いの弱さである。互いが日常生活で抱えている服従心である。 では人はどのようなときに服従を選択するか。 自由を奪われたときである。 では自由とは何か。 それは恐怖心がないということだ。 とすれば、服従心というのは、恐怖心への対抗策であり、自由を希求する心であるとも言える。 暗い湖に落ちていくような二人の姿に、そんな根源的なことまで考えさせられた。 本作で描かれるのはグロテスクな事件であり、目を背けたくなるような人間の弱さである。しかしその人間の弱さこそが、物語を生み、歴史となっていくことを大森立嗣監督は伝えてくる。 そしてそれでも尚、ほんの少しの勇気によって世界が変わることを、あの涙が出るほど美しい湖の風景を通して観客にそっと教えてくれる。   「湖の女たち」 原作:吉田修一『湖の女たち』(新潮文庫刊) 監督・脚本:大森立嗣 主演:福士蒼汰、松本まりか 製作幹事:東京テアトル、ヨアケ 制作プロダクション:ヨアケ 共同配給:東京テアトル、ヨアケ ©2023 映画「湖の女たち」製作委員会 公式サイト:thewomeninthelakes.jp/ 公式Twitter:@thewomeninthelakes
  •   バイクを駆るヒロインのハードな闘いを描き、2022年カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されて熱狂を呼んだ新星ローラ・キヴォロンの初長編監督作「Rodeo ロデオ」が、6月2日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷とアップリンク吉祥寺、6月3日(土)よりK’s cinemaほかで全国順次公開。本予告、公私ともにパートナーであるキヴォロン監督とアントニア・ブルジ(出演および共同脚本)のメッセージ動画、女性著名人のコメントと海外評が到着した。       〈コメント〉(順不同・敬称略) バイクだけが全てであった彼女が、初めて人に心を許したキリアンとその母親への悲しすぎる想いが胸を刺す。 ──土屋アンナ(モデル・アーティスト・潜水士) 主人公が走り始めた瞬間に自由が弾ける。私にもわかる、その瞬間。最初に示される自由が、その人の抱えている不自由さをより深く理解させる。世界は理不尽で溢れていて、その憤りに素直に怒りを燃やしている。繊細でありながら虚弱にならず強く大胆に、必要最小限で立ち向かっている。物凄い演出力だと思う。とにかくキャストがみな魅力的に活きていた。 ──渡辺真起子(俳優) 酔ってる時、気分良い時、恋してる時、胸糞悪い時、天気良い時、早朝、何にも思わん時、自分が観る時の情緒で、ストーリーの捉え方が毎回変わってくる─ひとことで表現するはムズすぎる。 ──尼神インター・渚(芸人) 暗くなったスクリーンの前で途方に暮れながら思い出すのは、疾走する彼女の笑顔だ。 ──梶原阿貴(俳優・脚本家) 真の解放を求めてバイクで疾走するヒロイン、いやヒーロー!? 常識をすり抜けるスピード感! 象徴的なラストも含め、すべてが衝撃的なフランス映画の登場! ──橋本光恵(映画評論家) 鳥肌が立ち、アドレナリンが湧き上がる。 あらゆる障害を超え、自由の風を受けて疾走するジュリアの姿が、心臓を貫く。 ──佐藤久理子(文化ジャーナリスト) 間違いなくポスト#MeToo時代に登場した最も重要な作品のひとつ! アドレナリン全開でアクロバティックなバイクライドに夢中になるジュリアのきらめきと揺らぎは、あらゆる角度からジェンダーの定義に鋭い視線を投げかける。 ──立田敦子(映画ジャーナリスト) 私たちは既成概念に捉われ過ぎている。それが善であろうが、悪であろうが、互いに目配せし合い、変化を怖がる。そうやってどこにもたどり着かない状態を、完膚なきまでに壊して見せたのはジュリアだ。私たちは、ジュリアの『Rodeo ロデオ』に頭を揺さぶられ、我に返る。全身に疲労と痛みを感じながら。まさにジュリアと生きた感覚。これを小起用に言葉にすれば、ジュリアはあざ笑うだろう。 ──関口裕子(映画ジャーナリスト) ひとりの女性がバイクを手に入れる。 「それはきっと解放され自由を手に入れることだ」と思った自分の甘さを知った。 ──西森路代(ライター) バイクの疾走感に魅せられて、アクロバティックな技を繰り出すバイカー集団に加わるジュリア。ミソジニー剥き出しの男たちとのヒリヒリしたファイトは、いつしか彼女に此処ではない何処か夢見させる。セリーヌ・シアマ、ジュリアン・デュクルノーに続く、フランスの新鋭ローラ・キヴォロンが鮮烈なジュリアの青春を描いて狼煙を上げる。 ──久保玲子(映画ライター) 人と人との関係が作る「居場所」の儚さやもろさ、それでも社会のどこかに自分の居場所があると信じ、求めてやまない人の性(さが)を突きつけられた。バイクを駆けるシーンは、危うさと美しさのバランスが絶妙。 ──伊藤恵里奈(新聞記者) フランス映画の魅力的なすきっ歯女優(バーキン、パラディ、セドゥetc)の伝統は踏襲しつつも、初主演のジュリー・ルドリュは新たなアンチヒロイン像を構築。 支配や標準化、共感や同情の全てを振り切り、バイクで風になる。 ──林瑞絵(在仏映画ジャーナリスト) フランスが生んだ新たな才能が疾走。固定観念を吹き飛ばし、私たちを解き放つ。そして、止められない衝動と高ぶる感情のぶつかり合いに、“心のピストン”が激しく揺さぶられる! ──志村昌美(ライター)   〈海外評〉 ジュリア・デュクルノーの『チタン』、ポール・ウォーカーの『ワイルド・スピード』、 セリーヌ・シアマの『ガールフッド』(日本未公開)を足せば、 ローラ・キヴォロンの長編デビュー作の生々しいパワーがわかるはずだ。 ──IndieWire 荒く、熱っぽく、危険。 ──ELLE とんでもない新人監督。 ──Le Monde 無謀な神話。 ──Washington Post その核心にあるのは、スーパーナチュラルに対する信望。 ──Los Angeles Times 祝福と嘆きの物語が融合した力強い作品。 ──Hollywood Reporter 西部劇ではないかもしれないが、『Rodeoロデオ』は確かに カウボーイたちの勝利の雄叫び「YEEHAW!(イーハー!)」要素に欠けてはいない。 ──Screen International 知的な編集眼、鋭い社会的メッセージを組み合わせた、 常に爽快で深い説得力を持つ映画体験。 ──THE UP COMING 全体が狂ったようなエネルギーに満ちている。 ──Le Parisien ガソリンの煙を浴びながら、不機嫌で魅惑的な初監督作品。 ──Les Echos 貪欲な自然主義、時に夢のようなカット。 それは今、若いフランス映画が渇望している方法だ。 ──Libération パワーと優雅さを兼ね揃えたモーターサイクルの世界へ、 手に汗握るダイビング! ──Marie Claire   主演のジュリー・ルドリューの魅力に迫るこの映画は、 カンヌで巻き起こった論争よりも1000倍価値がある。 ──Ouest France 刺激的。 ──Positif 力強い作品。 ──Sud Ouest キレッキレで官能的。 ──Voici ノイズと怒りに満ちた、女性のための初長編映画。 ──Bande à part 自然主義を超えた監督の世界観は、何よりも尊敬に値する。 ──Cahiers du Cinéma ジュリー・ルドリューはとらえどころがなく、 動物的で、攻撃的で、魅力的で、私たちを混乱させる。 ──L’Humanité ローラ・キヴォロンの初監督作品は、 すべてがうまくいっている。 ──Les Inrockuptibles     Story バイクに跨るために生まれたジュリア。短気で独立心の強い彼女は、ある夏の日、ヘルメットを被らずアクロバティックな技を繰り出しながら公道を疾走するバイカーたち〈クロスビトゥーム〉に出会う。ある事件をきっかけに、彼らが組織する秘密結社の一員となったジュリアは、男性集団の中で自身の存在を証明しようと奮闘。だが突きつけられる要求はエスカレートし、ついには居場所に疑問を持つ。こうしてジュリアと男たちとの闘いが始まるが……。   © 2022 CG Cinéma / ReallyLikeFilms 配給:リアリーライクフィルムズ、ムービー・アクト・プロジェクト ▶︎ バイカーのヒロインが男社会と対決!新星ローラ・キヴォロンの「Rodeo ロデオ」
  • 「土を喰らう十二カ月」(5月10日、Blu-ray&DVD発売、レンタルDVD同時リリース)は、作家・水上勉の料理エッセイ『土を喰う日々-わが精進十二ヵ月-』を原案に、「ナビィの恋」(1999年)の中江裕司監督が、自然と共に生きる作家の1年間を沢田研二主演で描いた人生ドラマである。   季節の野菜を自分で料理して生きる主人公 信州の山荘で、犬のさんしょと暮らす作家ツトム(沢田研二)は、畑で育てた野菜や山で収穫してきた山菜を使い、少年時代に禅寺で習い覚えた精進料理を作って生活している。彼の元には時折、編集者の真知子(松たか子)が訪ねてきて、彼女に料理を振る舞い、一緒に食事をすることがツトムにとって何よりの楽しみだった。真知子はツトムと一緒に暮らすことを望み、ツトムもその気になっていくが、やがて二人の想いに違いが生じていく。 〈二十四節気〉になぞらえてツトムの1年にわたる生活を追いながら、自然の恵みと共に生き、あることがきっかけで死と向き合うようになるまでの日常を映し出している。ツトムと真知子の“大人の恋”の行方は物語としてあるが、元がエッセイだけに作品の重点は、あくまで“食べて生きる”ことと、“生きて死ぬ”ことを実感していく、ツトムの日常描写に置かれている。ここではその彼の日常を、精進料理をこしらえていく姿を通して描いている。   沢田研二が見せる、存在感溢れるナチュラルな演技 それだけに主人公のリアルな存在感が重要になるが、ツトムを演じた沢田研二は子芋を洗い、筍の皮をむき、ごま豆腐を作るために汗を流しながらすり鉢で胡麻をするなど、精進料理を作る一つ一つの工程を、食材を大事にしながらこなしていく様がとても自然。彼の作る料理は炊いた筍に木の芽をたくさん乗せたものなど、どれもシンプルなものばかりだが、間違いなく美味しいことが伝わってくる。ツトムの日常は食材を収穫し、犬のさんしょに餌をやり、食事を作り、原稿を書いて、夜暗くなれば寝るという、今の情報化社会と対極にある、余計なことをそぎ落としたもの。それだけに彼が食事を作り、食べることに向ける秘かな情熱が心地よくて、自然と生きることの楽しさを観る者に実感させる、沢田研二の在り様が素晴らしい。またある事故が原因で死と向き合ってから、孤独の中に生と死を実感していくときの、達観とも死への決意ともとれる彼の表情も忘れ難い。この映画は撮影に1年半かけたというが、その四季の移ろいの中でツトムを演じた沢田研二もまた、季節の一部として存在している。彼はこの演技で『キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞』や毎日映画コンクールの男優主演賞に輝いたが、それまでのスターの顔を脱ぎ捨てて、自然と共生する作家になりきったことで、表現者として新境地に達したと言える。 真知子に扮した松たか子も印象的。ツトムが料理を作るときの良き助手でもある彼女は、何よりできた料理を食べる姿が見事。美味しそうに料理を頬張る彼女を見ているだけで、幸せな気分になる。中江監督は映画を撮っていて〈好きな人と食う飯がいちばん美味い〉と思ったそうだが、ツトムと真知子の食事のシーンを見ていると、その言葉に嘘がないことがわかる。作家と編集者というだけでなく恋人同士でもある二人が、料理を通してさらに心が通っていく雰囲気が伝わってくる。 他にもツトムの義母チエを演じた奈良岡朋子、ツトムに山荘で自給自足する生活を教えた師匠の大工に火野正平、ツトムが禅寺で修行していた時の和尚さんの娘に檀ふみなど、ワンポイントで登場するベテラン俳優たちが、味わい深い演技を披露している。作品全体がいろんなものを盛り込むのではなく、登場人物たちを取り巻く自然以外は極力情報を排除して、必要最低限のものだけで映し出した、食べて生きることの喜び。料理研究家・土井善晴による美味しそうな料理を含め、観ていて目も胃袋も心も豊かになる贅沢な作品だ。   和やかな現場の雰囲気がわかる、魅力の特典映像 Blu-rayには、約55分の〈スペシャルメイキング〉や約34分の〈未公開シーン集〉、〈初日舞台挨拶〉(約23分)といった特典映像が収められている。 〈スペシャルメイキング〉は2020年初春から始まった1年半に及ぶ映画の撮影風景をメインに、登場人物の背景やキャスティングに関する中江裕司監督のコメントが挿入されていく構成。作家になりきるため、撮影に入るかなり前から万年筆で原稿用紙に文字を書く練習を重ねてきた沢田研二のことや、品格のある人に演じてもらいたかったという檀ふみのこと。昔、ある賞をもらったときに授賞式会場で同席して、いつか仕事をしたかったという松たか子のことなど、主要キャストに対する監督の想いが綴られている。撮影現場に愛犬を連れてきていて、アップした後、犬笛で犬を呼びながら一緒に去っていく火野正平が粋でかっこいい。またクランクアップの挨拶で、今年3月に亡くなった奈良岡朋子が監督に、『また、呼んでね』と言っているのは、感慨深いものがある。 料理を担当した土井善晴がいつも付きっ切りで食材の洗い方から料理の作り方、盛り付けの仕方まで丁寧に指導している姿も印象的。このメイキングを観ると、彼が影の主役であることもわかるだろう。総じて大人の俳優、スタッフばかりなので現場には和やかは空気が漂っていて、映画本編と合わせて観ると、一層味わいが深くなるメイキングだ。 〈未公開シーン集〉には、ほうれん草のおひたし、芹ご飯、こごみの胡麻和え、梅干し作りなど、ツトムが料理を作る場面が数多く収録されていて、レシピはないが、彼の精進料理集としても楽しめる。一切手を抜かず、野菜の収穫から陶器の骨壺作りまで自分でやってみせる沢田研二のひたむきな姿も心に残る。映画では語られなかったツトムの日常を補うエピソード集として、見応えのある映像特典になっている。   文=金澤 誠 制作=キネマ旬報社     https://www.youtube.com/watch?v=f5el63UWTM8   「土を喰らう十二ヵ月」 ●5月10日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●豪華版 Blu-ray 価格:6,380円(税込) 【ディスク】<1枚>(Blu-ray1枚+特典映像) ★封入特典★ ・ブックレット(32頁) ★映像特典★ 〇スペシャルメイキング(約55 分) 〇初日舞台挨拶(約23 分) 〇未公開シーン集(約34 分) 1)真知子のために椿を活けるツトム 2)ほうれん草のおひたしと大根おろし 3)芹ご飯 4)こごみの胡麻和え 5)タラの芽採り 6)花を活けるツトム 7)チエさんの割り箸 8)またたび酒 9)梅干しづくり 10)赤紫蘇で梅を染める 11)お米の研ぎ汁や野菜くずで畑をつくる 12)赤土で骨壺をつくる 13)朝を迎える 14)白粥と梅干し 〇特報 〇予告編 ●通常版DVD 価格:5,280円(税込) 【ディスク】<1枚>(本編DVD1枚) ●2022年/日本/本編111分 ●監督・脚本:中江裕司 ●原案:水上勉『 土を喰う日々-わが精進十二ヵ月- 』(新潮文庫刊 ) 『土を喰う日々-わが精進十二ヵ月-』(文化出版局刊) ●料理:土井善晴 ●出演:沢田研二 松たか子 西田尚美 尾美としのり 瀧川鯉八 / 檀ふみ 火野正平 奈良岡朋子 ●主題歌:「いつか君は」沢田研二(ANIMA Publishing inc.) ●発売・販売元:VAP ©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会

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