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ペルーの奇才が放つ “地域映画” の真髄「マタインディオス、聖なる村」、予告編が完成
2022年5月12日ペルーの奇才オスカル・サンチェス・サルダニャ、ロベルト・フルカ・モッタ初長編監督作。先住民の慣習とカトリック信仰が入り混じった生活の中で、アンデスの民衆が抱える苦悩と困惑を詩的に描き出した「マタインディオス、聖なる村」が、6月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。予告編が到着した。 ペルー映画界を牽引する映画運動シネ・レヒオナル(地域映画)の日本初公開作となる「マタインディオス、聖なる村」。2016年にペルー文化庁管轄のDAFO(Direcciíon Audiovisuali,la Fonografía y los Nuevos Medios)シネ・レヒオナル映画コンクールに入賞し、第22回リマ映画祭に出品、2018年のベストペルー映画に選ばれた。 撮影はオスカル・サンチェス監督の故郷であるリマ県山岳部のワンガスカルで行われ、司祭役の俳優以外は同地の村人たちが演じている。監督たちは村人たちと共に過ごし、対話し、笑い、不満を言い合い、酒を飲み、時には亡くなった方の埋葬に参加しながら信頼関係を築いていった。そのため、ペルー山岳部の慣習とカトリック信仰が入り混じった価値観がありありと描き出され、ドキュメンタリー性を内包した物語となった。さらに、ハンガリーの巨匠タル・ベーラに影響を受けたと監督が公言する、モノクロ風の映像が詩的効果を生んでいる。 ペルーのシネ・レヒオナル(地域映画)とは? ペルーの首都リマ以外の地域で、そこを拠点とする映画作家やプロダクションによって制作される映画を指す。 娯楽的なジャンル映画から作家性の強いアート映画までタイプは様々だが、いずれも地域独自の文化や習慣を織り込み、都市圏一極集中ではない多元的なぺルー映画を構成している。 Story ペルーの山岳部。4人の村人が守護聖人を称える祭礼を計画する。聖人を喜ばせることで、長年の喪を終わらせてくれると信じていた。しかし、予期せぬ出来事により、自身の信仰と、聖人による庇護の力に疑問を抱くことに……。 「マタインディオス、聖なる村」 出演:カルロス・ソラノ、ナタリー・アウレス、グリセリオ・レイノソ、ホセ・ビバス、ファウスティナ・サンチェス 監督・脚本:オスカル・サンチェス・サルダニャ、ロベルト・フルカ・モッタ 撮影:マルコ・アラウコ 美術:カルロス・プリド 配給:ブエナワイカ 後援:ペルー大使館 協力:日本ペルー協会 2018/ペルー/ケチュア語・スペイン語/77分/原題:MATAINDIOS © LA TROPILLA DE OBRAJEROS EIRL -
カンヌ出品。夢枕獏 × 谷口ジローの漫画をアニメ映画化した「神々の山嶺」
2022年5月12日夢枕獏(作)× 谷口ジロー(画)の漫画をフランスでアニメーション映画化した登山ミステリー「神々の山嶺」が、7月8日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。特報とビジュアルが届いた。 柴田錬三郎賞に輝いた夢枕獏のベストセラー小説を原作に、故・谷口ジローが描いた漫画『神々の山嶺』は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞を受賞。それを谷口人気の高いフランスで、谷口も製作に参加して7年をかけて完成させたのが本作だ。 物語は、「登山家マロリーはエベレスト初登頂に成功したのか?」という登山史上最大の謎に迫りながら、孤高のクライマー・羽生とカメラマン・深町が不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑む姿を描く。アニメーション映画「ウルフウォーカー」の製作チームが、命がけの登攀シーンを圧巻の映像で表現した。 映画は第74回カンヌ国際映画祭に正式出品され、第47回セザール賞ではアニメーション映画賞を受賞。フランスで13万人超動員のヒットを記録し、全世界ではNetflixが配信権を獲得するも、日本ではスクリーンでの公開が決定した。吹替えは、堀内賢雄、大塚明夫、逢坂良太、今井麻美といった大物声優が務める。 特報映像は、登山家マロリーがエベレストに挑むシーンで始まる。マロリーがエベレスト初登頂を成し遂げたかもしれない、という謎が解明されれば歴史が変わる。ネパールで何年も前に消えたとされる孤高のクライマー羽生が、マロリーのカメラを手に去っていく姿を目撃したカメラマン深町は、謎を突き止めようと羽生の行方を追うが……。 「神々の山嶺」 監督:パトリック・インバート 原作:「神々の山嶺」作・夢枕獏 画・谷口ジロー(集英社刊) 日本語吹き替えキャスト:堀内賢雄、大塚明夫、逢坂良太、今井麻美 2021年/94分/フランス、ルクセンブルク/仏語/1.85ビスタ/5.1ch/原題:LE SOMMET DES DIEUX/吹替翻訳:光瀬憲子 配給:ロングライド、東京テアトル 公式サイト:longride.jp/kamigami/ © Le Sommet des Dieux - 2021 / Julianne Films / Folivari / Mélusine Productions / France 3 Cinéma / Aura Cinéma -
人権擁護者の医師を描くフェルナンド・トルエバ監督作「あなたと過ごした日に」
2022年5月11日麻薬カルテルが台頭する70年代コロンビアのメデジンを舞台に、公衆衛生に尽力し、自由で平等な社会の実現を目指したエクトル・アバド・ゴメス博士の波乱の人生を息子の視点で描いた巨匠フェルナンド・トルエバ監督作「あなたと過ごした日に」が、7月20日(水)より東京都写真美術館ホールほかで全国順次公開。日本版ポスタービジュアル、日本版予告編、場面写真が解禁された。 原作は、ゴメス博士の息子にして現代スペイン語文学の代表的作家であるエクトル・アバド・ファシオリンセの回想録。ノーベル賞作家マリオ・バルガス・リョサが「近年で最高の読書体験」と称えた世界的ベストセラーだ。 フェルナンド・トルエバ監督は「ベルエポック」(93)でアカデミー賞外国語映画賞に輝き、「チコとリタ」(10)でアカデミー賞長編アニメーション作品賞にノミネートされた名匠。重厚で美しい音楽は、クシシュトフ・キェシロフスキ監督作「ふたりのベロニカ」や「トリコロール」三部作で有名なポーランドの作曲家ズビグニエフ・プレイスネルが手掛けた。 不屈の医師であり良き父親でもあったゴメス博士を演じるのは、ペドロ・アルモドバル監督作「トーク・トゥー・ハー」(02)で注目され、ゴヤ賞に2度輝いた名優ハビエル・カマラ。博士の息子の少年時代を新鋭ニコラス・レジェス・カノ、青年時代をアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作「MEMORIA メモリア」(21)のフアン・パブロ・ウレゴが演じる。 賞レースでは、2020年アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表作に選出され、2020年カンヌ国際映画祭に正式出品、2021年ゴヤ賞で最優秀イベロアメリカ映画賞に輝いた。21世紀に語られるべき注目のラテン映画だ。 エクトル・アバド・ゴメスとは? (1921年12月2日ヘリコ生まれ - 1987年8月25日メデジン没) アンティオキア県出身の公衆衛生専門家で、人権擁護家としても知られる。さらに政治家、民主主義者、ジャーナリスト、作家並びにエッセイスト、アンティオキア大学医学部教授であり、自ら社会学者および人類学者とも称していた。青年期から、特に低所得者層コミュニティでの教育、予防医学、プライマリヘルスケアを専門とし、公衆衛生問題に関する彼の知見はコロンビア政府のプログラムに取り入れられたこともある。医師および大学教授としては、高等教育の革新者であり、社会的な焦点が不足しているとしてフランス型の個人主義的な医療訓練制度の導入に強く反対した。また、経済的な資源が、戦争や軍事ではなく飲料水のために転用されるよう戦った。新聞や雑誌にさまざまなテーマで見事な論述を用いた多数の記事を書き、読者に対しては良識と民主主義、平和共存を求めた。 Story 公衆衛生専門の大学教授エクトル・アバド・ゴメス博士の息子で、同じ名前を持つエクトル少年は、5姉妹に囲まれた唯一の男子として愛情深く育てられる。一家は寛容と慈愛を重んじ、活気と創造性に溢れていた。そんな中で姉妹の一人が恐ろしい病魔に冒され、悲しみと怒りに駆られた博士は政治活動にのめり込み、家族の日常も変化していく。折りしも分断されたメデジンの社会では、テロが多発し、自由を信奉する博士の声を封じようと準軍事組織の動きが加速していくが、家族の心配をよそに博士はメデジン市長選への出馬を決意する──。 「あなたと過ごした日に」 監督:フェルナンド・トルエバ 脚本:ダビド・トルエバ 撮影:セルヒオ・イバン・カスターニョ 編集:マルタ・ベラスコ 音楽:ズビグニエフ・プレイスネル 出演:ハビエル・カマラ、ニコラス・レジェス・カノ、フアン・パブロ・ウレゴ、パトリシア・タマヨ 後援:コロンビア共和国大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京 字幕翻訳:積田美也子 配給・宣伝:2ミーターテインメント(2MT) 配給協力:クレプスキュール フィルム 宣伝協力:HaTaKaTa Webプロモーション:AMPED 2020年/コロンビア/スペイン語・英語・イタリア語/モノクロ・カラー/シネスコ/5.1ch/136分/原題:El OLVIDO QUE SEREMOS © Dago García Producciones S.A.S. 2020 公式HP:https://www.amped.jp/anatato/ -
アイリッシュ・パンクという一大ジャンルを築き上げたパンクバンド〈ザ・ポーグズ〉。そのフロントマンだったシェイン・マガウアンの型破りな音楽人生に、巨匠ジュリアン・テンプルのメガホンで迫ったドキュメンタリー「シェイン 世界が愛する厄介者のうた」が、6月3日(金)より渋谷シネクイントほかで全国順次公開される。シェインの長年の友人であり製作を務めたジョニー・デップのインタビュー映像および、甲本ヒロト、真島昌利、泉谷しげる、チバユウスケら型破り著名人のコメントが到着した。 映像はシェイン・マガウアンについて、ジョニー・デップがジュリアン・テンプルに語るもの。「シェインとつき合っていくことはまるで、毎日違う靴を履くようなもの」など、友人だからこそ知る“予測不能”で繊細な素顔を明かしていく。さらに「ザ・ポーグズ時代に作った曲『ニューヨークの夢』は、今でも間違いなく最高傑作の1つだ。でも彼はそれを認めようとしない」と続け、シェインの高いプロ意識を窺わせる。 著名人コメントは以下の通り(五十音順、敬称略)。 泉谷しげる(ミュージシャン・役者) ロックミュージシャンの伝記映画にはロクなのがないから期待してなかったが、この映画はちがった!パンクとケルト音楽!すばらしすぎ!ぜひ! 大貫憲章(DJ/音楽評論家) ブラボー!ブラボーー!!シェイン、アンタはサイコーだよ!歯がなくてもアル中でもハートがピュアソウル一億パーセント。荒ぶる魂の切ないアイリッシュパンクは日本のダンスフロアまでも激らせてるぜー!イエ〜!! 甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ) 世紀のスクープ! 遂にカメラはとらえた!! アイルランドに妖精は実在する!!! 音楽を連れて。ウィスキーに連れられて。 チバユウスケ(THE BIRTHDAY midnight bankrobbers) 2005年フジロック ホテルのエレベーターでドロドロのシェインに遭遇しました すぐにスタッフにペンを借りてサインを頼みました 彼は俺の着ていたタンクトップにHELPと書きました さすがシェインだ 奈良美智(美術家) 奇人変人、薬中、アル中、世の中にはいっぱいいるんだろうけど、こんな人はホントいない、みんなの心を歌で掴んだ人のとってもスペシャルな人生ドキュメント! フレディ塚本(唄い者) シェイン・マガウアンと、わたくしの歩んできた人生と真逆。 なので、素直に、面白い映画でした。 彼の、深く激しい人間愛ゆえの現実との歪み。 そこと折り合いをつけるためかの、彼のそばには、“酒・ドラック、そして素晴らしい音楽”。 人間都合の、正しさ・平和・幸福とは? あ~、兎に角楽しく観ましょ! 真島昌利(ザ・クロマニヨンズ) お〜い、シェイン! まだまだ遊ぼうぜ! この夏の日の輝きが永遠だって事、忘れちゃいないだろ? みのミュージック(YouTuber/アーティスト) 時の試練に打ち勝ち、今なお愛され続けるシェイン・マガウアンの楽曲。そのレシピを丸裸にするドキュメンタリー。アイルランドのルーツとデカダンな生活から生まれたのは、人々を虜にする彼のペーソスでした。 © The Gift Film Limited 2020 ▶︎ ザ・ポーグズのフロントマン、シェイン・マガウアンのパンクな音楽人生
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「世界のどこかで塞ぎ込んでしまいたくなる人の心に、少しでも光が届けば」東出昌大、映画「草の響き」にコメント 5月11日、映画『草の響き』のBlu-ray&DVDが発売(レンタル・配信も開始)を記念して、主演の東出昌大⼤を始め、斎藤久志監督、脚本の加瀬仁美よりコメントが到着した。 ■主演:東出昌大 人類の長い歴史から見たら、戦争も飢饉もない21世紀の日本で生きる私達に、心を病む理由が存在するのは可笑しいのかも知れません。古には衣食足りて礼節を知ったが、行き過ぎた現代では生きる理由が分からなくなり、自死を選んでしまう人が多くいる現実があります。 人生のどん底に落ちたと自覚した和雄は、それでも這いあがろうと、日夜走り続け、傷めた膝にサポーターを巻き、歯を食い縛りながら走り続けた。函館の冷たい風は火照った身体を冷やし、激しく打ちつける雨は立ち止まる事を許さなかった。走る事で感じられる一つひとつの事象に、生の実感を得ようと必死だった。 明るい映画では無いのかも知れません。 でも日本のどこかで、世界のどこかで、同じように塞ぎ込んでしまいたくなる人の心に、少しでも光が届けばと思い、小説『草の響き』の映画化に寄り添いました。映画の力は非力かも知れませんが、少しでもあなたの生きていく力になればと、切に思います。 ありがとうございます。 ■監督:斎藤久志 東出昌大と「今回は俳優と監督の関係ではなく、共犯で行こうよ」と話したところからこの映画はスタートしました。そこに大東駿介、奈緒が加わってくれました。芝居をするのではなくそこに生きることを目指した作品です。 あえて監督の傲慢さで言わせてもらいます。3人の俳優ともにこの映画がそれぞれ作品歴の中でベストアクトだと思っています。それを見るだけでも一見の価値があると思います。 物語としてだけでなくそれぞれの人生を感じる映画です。函館の町で駆け抜けた僕らの思いが少しでも多くの人に伝われば嬉しいです。 ■脚本:加瀬仁美 治ってほしい人がいる。 だけど治らない人もいる。 では治らないことは不幸なのか。 どんな状況でもそれなりの生活の楽しみはあるだろうし、幸せは他人が決めるものではない。 願わくばその瞳に映るのは希望の光であってほしい。 そんなことを考えながらこの本を書きました。 出来上がった映画を観て、東出昌大さん演じる和雄の孤独に何度も涙し、ラストの表情に胸が震えました。 人は人を救えなくても、映画は人を救うことがあります。 この映画が誰かにとっての救いになれたら、こんなに嬉しいことはありません。 ■『草の響き』Blu-ray&DVD商品情報 Blu-ray:5,280円(税込)/DVD:4,290円(税込) 特典:予告集 発売・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング (C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS 「草の響き」キネマ旬報の記事はこちら 「草の響き」公式サイト