ほから始まるものでの検索結果

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  • スロヴァキアの山岳地帯に暮らす老人たちの日常と人生哲学を捉えたドゥシャン・ハナーク監督のドキュメンタリー「百年の夢」が、デジタル・リマスター版で12月3日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。     1972年に共産党政権下のスロヴァキア共和国で製作され、16年間にわたり輸出禁止とされた「百年の夢」。解禁直後の1988年にニヨン国際映画祭(グランプリ受賞)、ライプツィヒ国際映画祭(ドン・キホーテ賞と国際批評家連盟賞受賞)、香港国際映画祭など各国映画祭で上映され、日本では1989年に第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭に特別招待されたのち、1992年5月に劇場公開された。 ポーランドとチェコスロヴァキアの国境からウクライナを経てルーマニアに至るカルパチア山脈の東側、スロヴァキアのファトラ山地。映画はそこで厳しい自然や孤独と闘いながら、農業や羊飼いを生業として暮らす老人たちの日々を、インタビューとともに描き出す。 そこには生と死をめぐる黙想とでもいうような、哲学的世界が形成される。ある老人は、〈人間喜劇〉と名づけた驚くほど精緻なからくり人形作りに熱中している。「百年生きてきた」と語る羊飼いは、第一次世界大戦への従軍でドイツ語、フランス語、ロシア語など数か国語を理解できると語る。さらに、事故で歩けなくなってから25年間も膝を使って暮らしたうえに自力で家を建てた者、めんどりに聖書を読み聞かせる者などが登場。彼らの愛や家族、夢、労働や人生の意義が紐解かれる。   「百年の夢 デジタル・リマスター版」 脚本・監督:ドゥシャン・ハナーク 撮影:アロイズ・ハヌセック 音楽:G・F・ヘンデル、ヴァクラフ・ハレック、ヨーゼフ・マロヴェッチ 撮影協力:ヤン・シュワンクマイエル 製作:ユライ・クラール 1972年/スロヴァキア製作/モノクロ/71分
  • 〈カンフー〉と〈マルチバース〉が融合した人類救済アドベンチャー「EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE」(原題)が、2023年3月よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国公開。海外版ティザーポスターと場面写真が解禁された。     破産寸前のコインランドリーを経営する中国系アメリカ人のエブリン。国税庁の監査官に厳しく追及されていた彼女は、突然、気の弱い夫ウェイモンドといくつもの並行世界(マルチバース)にトリップする。「全宇宙に悪がはびこっている。止められるのは君しかいない」と告げられ、戦いに身を投じるが……。 製作スタジオ・A24史上最大のヒットを記録し、本年度ハリウッド批評家協会賞で作品賞を含む7部門を受賞した本作。「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」「グリーン・ディスティニー」など数々のアクション映画で活躍してきたミシェル・ヨーがエブリンを演じ、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」「グーニーズ」で一世を風靡したキー・ホイ・クァンが夫役で20年ぶりのハリウッド復帰を果たした。監督は、生者と死者のコンビをブラックジョークたっぷりに描いた「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン。 海外版ティザーポスターは、映画のキーアイテムとなるグーグルアイ(ギョロ目)を無数にあしらった不思議なデザイン。場面写真は未曽有の敵を前にしたエブリンらを捉えている。     「EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE」(原題) 監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート 出演:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ステファニー・スー、ジェイミー・リー・カーティス © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
  • 「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子が主演、劇団〈玉田企画〉の玉田真也が監督、「his」のアサダアツシが企画・脚本。“恋愛至上主義” の世の中で、恋愛感情を抱かない主人公が自分だけの幸せを見つけていく姿を描く「そばかす」が、12月16日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国公開される。追加キャストで前田敦子、坂井真紀、三宅弘城、伊藤万理華、伊島空、前原滉、北村匠海、田島令子が発表された。     蘇畑佳純(三浦透子)の中学校時代の同級生・世永真帆を前田敦子、同僚の天藤光を北村匠海、佳純に早く結婚してほしい世話焼きな母・蘇畑菜摘を坂井真紀、寡黙な父・蘇畑純一を三宅弘城、産婦人科医と結婚して妊娠中の妹・篠原睦美を伊藤万理華、祖母の蘇畑宮子を田島令子、小学校時代の同級生・八代剛志を前原滉、母に無理やり連れて行かれたお見合いで出会う木暮翔を伊島空が演じる。 彼らと向き合いながら、佳純が見定めていく幸せのカタチに注目だ。   ©2022「そばかす」製作委員会 配給:ラビットハウス ▶︎ 恋愛至上主義の世界で “自分だけの幸せ” を見つける。三浦透子主演 × 玉田真也監督「そばかす」
  • 2020年冬。幡ヶ谷のバス停で寝泊まりするホームレス女性が、突然襲われてしまう悲劇があった──。コロナ禍が就労状況の不安定さに拍車をかける中、自身の危機的状況にもかかわらず自尊心ゆえに助けを求められない人々の〈社会的孤立〉を描く「夜明けまでバス停で」が、10月8日(土)より新宿K’s Cinema、池袋シネマ・ロサほかで全国順次公開。予告編とキャストのコメントが到着した。     「今、これを世の中に発信しなければ」という思いを抱えた名匠・高橋伴明監督のもとに、実力派俳優が集結。ホームレスに転落してしまう主人公・三知子を「欲望」(05)以来の映画主演となる板谷由夏、三知子の働く居酒屋の店長を大西礼芳、マネージャーを三浦貴大、石を振り上げる男を松浦祐也、居酒屋の同僚をルビーモレノと片岡礼子と土居志央梨、ユーチューバーを柄本佑、三知子のアトリエのオーナーを筒井真理子、介護職員をあめくみちこ、古参のホームレスを下元史朗と根岸季衣と柄本明が演じる。 主題歌は、Netflixアニメ『BASTARD‼︎-暗黒の破壊神-』のエンディングテーマ起用でも話題のTielleによる新曲「CRY」に決定した。     キャストのコメントは以下。 〈店長・寺島千春役:大西礼芳〉 高橋伴明監督は、大学時代の恩師であり、私に役者になる道を最初に作って下さった方です。監督は多くを語る方ではありませんが、映画づくりにおいてとても大切なことを教えて下さり、その教えは現在に至るまで、私にとって最も重要な心構えとして多大なる影響を与えて下さいました。 監督は、映画づくりにおいて、「セクト化するな」という言葉を強く仰っていました。これは部署ごとに派閥になるのではなく、協力し合うこと、共鳴し合うこと、そう私は受けとめています。気がついた人間が部署を越えて提案すること、率先して行うことで、その「組」が「一枚岩」となって、よりクリエイティブな高みを目指し、より観客の心に届く映画を製作しようという気概だと思います。 映画「夜明けまでバス停で」では、その「一枚岩」になれるかどうかの狭間にいる人々の人間模様を描き出した群像劇です。 〈マネージャー・大河原 聡役:三浦貴大〉 私の役は、一癖ある人物でしたので、演じるのが難しくもあり、役者として興味深くもありました。 高橋監督の的確な演出で、なんとか人物像を作り上げられたかなと思います。 作中では一部のパートへの出演ですので、私自身、全体の出来上がりが楽しみな作品です。 皆様にもぜひ楽しんでいただければと思います。 〈石を振り上げる男・工藤武彦役:松浦祐也〉 衣装合わせと撮影初日がこんなにも緊張したのは久し振りでした。なんせ高橋伴明組。現場で芝居することが幸せでした。 上がりを拝見して、ビッと背筋が伸びました。映画は自由だし、作劇であればどこまでもやっていいんだと教えられた気がします。 高橋伴明監督の最新作、ご期待ください! 〈居酒屋の同僚・石川マリア役:ルビーモレノ〉 どんな時代背景であろうとも、日本人であろうともフィリピン人であろうとも、人を思いやる温かい心を保ちたい。 この作品を通じて綺麗事じゃなく、生きるという事、生きる為に大切な事、人との繋がりを改めて考えさせてもらいました。 突然の逆境に陥った時、貴方ならどうしますか? 人生って何があるかわからない。 でも一人じゃない。 この映画を観てくれた皆さんの胸に、しみじみとした温かい心の灯が次々と灯りますように。 〈居酒屋の同僚・小泉純子役:片岡礼子〉 久々の高橋伴明監督の現場。まずはそのことに震えました。そしてこのタイトルに向かって体当たりで演じられた板谷さんの決意には身を正す想いです。チームが一丸となって見えない糸を手繰り寄せるかのように伴明監督と板谷さんの映画への想いに引き寄せられ、この時期でなかったらその色になって居なかったような景色を見届けることができた思いです 〈居酒屋の同僚・高橋美香役:土居志央梨〉 約8年ぶりに高橋伴明監督の映画に呼んで頂いて、相変わらずスピーディーな現場が刺激的でした。コロナ禍の苦しい苦しいストーリーのはずなのに、何故か観ながら何度か大笑いして、観終わったあとに生きるエネルギーが身体の中にみなぎっていました。 稚拙なコメントしか浮かばず申し訳ないですが、私はこの映画が大好きです。 〈ユーチューバー・KENGO役:柄本佑〉 1日参加。しかも衣装合わせ含めて撮影時間30分足らず。うん、短い時間ながら伴明監督の「よーいスタート!」には魔法の力があると改めて確信しました。しかしあまりに短い! もっと聞きたい! もっと高橋伴明組に参加したい! 次も呼んでください!! 〈三知子のアトリエのオーナー・如月マリ役:筒井真理子〉 何年か前、日本に自己責任論が蔓延した時のことを、今もはっきりと覚えている。あの時、国民に投げかけられた冷たい言葉。さらにその言葉が人々に浸透してゆく。なんとも不思議な現象に思えた。 映画の中で描かれる実際に起こったこの事件を被害者・加害者と単純に振り分けてしまうことも、また自己責任という言葉で片付けてしまうことも等しく暴力なのだと思う。二人は現代日本という船の中で孤立しこぼれ落ちてしまった。誰もが、いつそうなってしまうか判らない。 高橋伴明監督の怒りの力に乗って、この映画に参加しました。 もっと社会に対して声をあげて良いのかも、つまりは“もっと社会に期待しても良いのかも”と完成したこの映画を観てそう思いました。 〈古参のホームレス・センセイ役:下元史朗〉 「夜明けまでバス停で」は、8月の湯布院映画祭で上映していただき、大好評をいただきました。嬉しい限りです。板谷由夏さんと初共演でたのしく演じられました。見ていて楽しい映画っていいものだなぁと。お客様にも是非楽しんでもらいたいと思います。 〈古参のホームレス・派手婆役:根岸季衣〉 幡ヶ谷のバス停は良く通っていた場所で、被害者の年齢も近く、事件があってから、ずっと澱のようになって心に留まっていました。若い友人の梶原阿貴のシナリオ、酒場でしかご一緒した事がなく、漸く今回初出演させて頂く事になった伴明監督。そのダッグが挑むこの重いテーマに参加出来る! 意気込んで衣装合わせに臨み、考えつく限りのアイデアを寄せ集めた不思議なキャラが生み出されました。やり切れない現実をリアルに、でもポジティブな光明が見える素敵な作品に登場出来て幸せです。 〈古参のホームレス・バクダン役:柄本明〉 高橋伴明監督とは古くからの知り合いで40年以上になりましょうか。 べたな付き合いではありませんが、業界の中で共に生きてきた……。 なんていうのでしょうか、歳も変わらないし、この歳になると、 戦友なんて感じのする人です。 でも仕事自体はテレビで「探偵物語」って4本連続のをやっただけであとはなかった。 だからこの作品で呼ばれたのがとても嬉しかった。 ウワッウワッ、“ボン”の本編にでれるって。 この時僕は明治座の舞台をやってて、通常ならスケジュールハマらないけれど タイトな時間で撮りました。 さすがでしたね。監督は。 短い時間にもかかわらず撮影の流れは実にゆったり。いい時間でした。 この作品は、監督とシンクロするものだと思います。 楽しんで観ていただければ嬉しい。     Story 昼はアトリエで自作のアクセサリーを売り、夜は焼き鳥屋で住み込みのパートとして働く北林三知子(板谷由夏)だったが、コロナ禍で仕事と家を同時に失ってしまう。新しい仕事はなく、ファミレスや漫画喫茶は閉まっている。暗闇で途方に暮れる三知子の目の前には、街灯に照らされてポツリと佇むバス停があった……。 一方、三知子が働いていた焼き鳥屋の店長である寺島千晴(大西礼芳)は、コロナ禍によるシビアな現実と従業員との板挟みになり、マネージャーで恋人の大河原聡(三浦貴大)によるパワハラとセクハラにも悩まされていた。 誰にも弱みを見せられず、ホームレスに転落した三知子は、公園で古参ホームレスのバクダン(柄本明)と出会い……。   「夜明けまでバス停で」 出演:板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビーモレノ、片岡礼子、土居志央梨、あめくみちこ、幕雄仁、鈴木秀人、長尾和宏、福地展成、小倉早貴、柄本佑、下元史朗、筒井真理子、根岸季衣、柄本明 監督:高橋伴明 脚本:梶原阿貴 音楽:吉川清之 主題歌:Tielle「CRY」(ワーナーミュージック・ジャパン) 製作:人見剛史、小林未生和、長尾和宏、髙橋惠子 エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介 プロデューサー:角田陸、小林良二、見留多佳城、神崎良、佐久間敏則 撮影監督・編集:小川真司 照明:丸山和志 録音:植田中 美術:丸尾知行 装飾:藤田徹 衣装:青木茂 ヘアメイク:結城春香 VFX:立石勝 アクセサリー指導:ななし・水城 制作担当:櫻井陽一 助監督:塚田俊也 配給:渋谷プロダクション 制作会社:G・カンパニー ©2022「夜が明けるまでバス停で」製作委員会 2022/JAPAN/ビスタ/5.1ch/DCP/91min  公式サイト:https://yoakemademovie.com/
  •  日活ロマンポルノは生誕50年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。(これまでの掲載記事はコチラから)  今回は、斎藤正治氏による『神代辰巳監督の「濡れた欲情特出し21人」』の記事を、「キネマ旬報」 1974年2月上旬号より転載いたします。  1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 密室的世界から解きはなたれた性の行方は…… 地誌劇を演じる根なし草の芸人  神代辰巳は密室に閉じ込めた性を、一転解きはなして、またしても彼独自の新らしい世界を描き出した。  「四畳半襖の裏張り」では、日付けと時間を解体する方法で、密室から世界を透視した。あの長い情事に、歴史を対応させたのだった。私は性で歴史を取込んだと批評した。そこにはまぎれもなく神代の大正があったとほめた。  「濡れた欲情・特出し21人」は、時間とともに風景、あるいは地図までも恣意的に解体してしまっていた。こうして神代はこんどは自分の勝手な地誌を描いたといえる。  釜ケ崎でスケコマシの若者が酔っぱらったところが写されると、つぎのシーンは京都のストリップ小屋(ヌード・ショウ劇場というより懐かしいストリップ劇場と呼んだ方がこの映画にはふさわしい)の情景になる。ストリッパーたちのマイクロバスの移動のつぎはスケコマシの財布を拾う場面だ。どこともわからぬ田舎の町で「はみだし劇場」が演じられると、スケコマシに捨てられた夕子が男を追っかける。浅草ロック座が写されると、突然信州の山々の遠景が浮かび上がる。  「それも今は昔の話」「今は昔」「今は今」のタイトルに分節された構成のなかで、風景と人とが飛びかうのである。この脈絡のない不連続が奔放にスクリーンに写し出されて、最後は主役夕子の生きざまに収斂していく。分節のタイトルからは編年記ものと錯覚されがちだが、それほど厳密な意味は持っていない。不思議な構造の作品である。「四畳半襖の裏張り」に続いて時間の秩序を失い、さらに空間的地図を無視したところで、神代は確固として自分の方法を確立した。  はみだし劇場の外波山文明が大きな役割で登場していることにも、この方法と深くかかわっている。新宿をはみ出して放浪するこのアングラ劇場は、軒下でも道路でも劇場にしてしまう。いわゆる街頭劇である。どこでも劇場にしてしまうということは、逆に既成の劇場を無視する思想である。演じた道路や商店の軒下が彼らの劇場だ。固定してそこにあり続ける例えば俳優座劇場や、新宿文化劇場には目もくれず、外波山らは、任意の土地に任意の劇場を“構築”する。いってみれば地誌的演劇を方法としているということになる。密室から一転して、「特出し21人」をつくった神代の方法も、映像秩序を無視して、自分の地図を描いている。はじめに神代は自分の地誌を編んだといったゆえんだ。  はみだし劇場の役割はそういう方法論で共通するにとどまってはいないと思われる。  自分を徹底した河原乞食に変身させて演じる大道芸のふてぶてしい即興性が(といっても戯曲は正確にあると思う)スケコマシを演じる男の厚顔さや、彼女たちのオープン(股開き)の演技と生き方に、強く通底するものを持っていて、神代はそれを見てとって、はみだし劇場を起用したのであろう。こうして「昔」から「今」へのキレギレに綴った断片が、トータルとして、持出し嬢とその周辺の世界をみごとに描き出すことになった。  ここに登場してくる人物たちの生理と感性だけで生きている、その圧倒的なみずみずしさには目をみはるのである。「一条さゆり・濡れた欲情」には、モデルに裁判がらみの悲壮感・使命感があって気になったが、この作品の人物は、伊佐山ひろ子や白川和子のような人たちばかりである。  純真さと無知と楽天性で、出世する幻想を抱いて、そのくせあっけらかんと生きていて、みじんも暗くない。その辺りの形象化は神代の喜劇的な演出と、はみだし劇場に仮託した土着的なバーバリズムが救済している。ストリッパーたちは日本中どこでも舞台にできる芸人、現代の巫女なのであった。神代は地誌劇を演じる根なし草の芸人を彼女たちにイメージしたのであろう。  女たちを取巻く男たちの描き方も優れている。スケコマシの芳介は、落とすまでは情事の最中でも喋り通す若者であり、だめなヤクザの久作は、ちょっとしたミスで指を切り落したかと思うと、逆に簡単に恩義ある劇場夫婦を殺傷してしまう。そういう男が活写されている。挿入歌も例によって効果的だが、片桐夕子、芹明香の主役二人がなかなかだ。片桐の放尿シーンは映画史に残る場面だと思うが如何。 文・斎藤正治 「キネマ旬報」1974年2月上旬号より転載 『濡れた欲情 特出し21人』 【Blu-ray】 監督: 神代辰巳 脚本:神代辰巳 鴨田好史 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング   「日活ロマンポルノ50周年×キネマ旬報創刊100周年」コラボレーション企画、過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」