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【あの頃のロマンポルノ】第9回 1972年内外映画総決算 日本映画編
2021年4月23日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げ る定期連載記事を、キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。キネマ旬報」に過去掲載された、よりすぐりの記事を「キネマ旬報WEB」にて連載していく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。(これまでの掲載記事はコチラから) 連載第9回は、佐藤忠男氏による「1972年内外映画総決算 日本映画編」の記事を「キネマ旬報」1972年2月上旬特別号より該当部分を一部抜粋してお届けいたします。1971年11月20日の『団地妻 昼下りの情事』と『色暦大奥秘話』の公開でスタートした日活ロマンポルノ。本格稼働した1972年の日本映画の総評の中にて、ロマンポルノ作品がまず言及された点において、当時の映画業界の中で注目を集めていたかを知ることができるのではないでしょうか。過去の記事を改めて読める貴重なこの機会を、ぜひお見逃しなく! 沈滞と昂揚が同時に 一部にめざましい昂揚 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』より 1972年の日本映画は、総体的には甚だしい沈滞をつづけたが、一部にめざましい昂揚があった。 めざましく昂揚した部分として、とくに目立ったのは日活のロマンポルノであり、とくに神代辰巳監督の「濡れた唇」、「一条さゆり 濡れた欲情」の二本と、村川透監督の「白い指の戯れ」、それに、藤田敏八監督の「エロスの誘惑」などであった。日活が、71年に、いったん製作の中止を発表したとき、これで日活映画もおしまい、と思われたし、その後、ロマンポルノ路線を発表したときも、それまでの日活の有名監督たちはすべて手をひき、スターたちも他社へ去った状態だったので、直接費700万円とかいう極端な低予算ではたしてどれだけのことができるのか、ほとんど期待できないのではないかと思われたが、目だたない二線級の監督と目されていた神代辰巳がとつぜん見違えるばかりの旺盛な作家精神を燃やして、なるほどポルノにもこういう行き方があったか、と瞠目するような作品を発表したのは嬉しい驚きであった。 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』より そこには、堕ちて、堕ちて、堕ちぬくということの壮烈な快感がうずいており、敗戦直後に坂口安吾が「堕落論」で説いたようなことが、いまようやく、具体的な作品に実ったかのような感慨があった。そう言えば、神代監督は、安吾が「堕落論」を書いた頃に学生だった世代に属している。村川透の「白い指の戯れ」もシナリオに神代辰巳が協力しており、その作中人物の人生に対する捨て身の構えには神代辰巳の人間観が濃密に出ていると思う。それを、若い村川透が、ニューシネマふうのソフトなさわやかな感触に染めあげ、さらに、主役に荒木一郎を起用したことで、その、現代青春風俗の一断面としてのリアリティは確固たるものになった。 ▲『濡れた唇』より 藤田敏八の「エロスの誘惑」は、堕落とか反抗とかいう構えをぬきにした、もっと普通の映画である。松竹蒲田いらいの日本映画の伝統的な下町庶民ものと言ってもいい。人間の生活をリアルに見つめれば、とうぜん、そこにセックスの要素も入ってくる、というように、この映画にもセックスの要素が入ってくる。ポルノ路線を名乗ることによって、却って既成のホームドラマよりも、もっと生活に密着した作品が生まれる可能性がある。その可能性に注目したい。ただし、この作品がそういう作品として充分成功していたかといえば、かなり、もの足りないと言わなければならない。 ところで、傑出した作品はあったが、日活ロマンポルノの全体が昂揚していたというわけではない。沢田幸弘監督の「濡れた標的」などを見ると、ねらいは分るが、物質的な貧しさと俳優の貧しさとで、ねらいが空まわりしていることは否めないと思う。他にも、調刺的な時代劇などで面白い作品もあったが、安手な作品も少なくはなかった。もちろん、安手な作品が少なくないのは日活だけのことではない。当り前のことであるが。 文・佐藤忠男 「キネマ旬報」1979年4月下旬号より転載 『一条さゆり 濡れた欲情』【Blu-ray】 監督:・脚本 :神代辰巳 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 『白い指の戯れ』【Blu-ray】 監督:神代辰巳 脚本:神代辰巳・村川透 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 『エロスの誘惑』【DVD】 監督:藤田敏八 脚本:松田昭三 価格:3,300円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから -
韓国時代劇に続き注目度アップの中国時代劇!最新トレンドとキャストの魅力が詰まった2作品を紹介! 日本での注目度がますますアップしている中国時代劇ドラマ。宮廷を舞台にした愛憎劇や神々の世界を描く神仙ファンタジー、現代の女性が何百年も前の時代に行ってしまうタイムスリップドラマなど、一口に中国時代劇といってもさまざまなジャンルがあるが、今、中国で人気を集めている2大ジャンルといえば、ブロマンスドラマと甜寵劇。男性キャラクター同士の友情なのか、それとも……という関係が妄想を掻き立てるブロマンスは英国ドラマや韓国ドラマでおなじみだが、中国でも続々と制作されている。そして、甜寵劇は男性主人公がヒロインにぞっこんになり溺愛してしまうラブラブモードなドラマ。これから配信・DVDリリースされるドラマの中から、この人気ジャンルに当てはまる2作品『成化十四年〜都に咲く秘密〜』『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』をピックアップ、キャストの魅力と共にご紹介します。 中国時代劇の2大人気ジャンルをチェック! 明が舞台のブロマンス・ミステリー『成化十四年〜都に咲く秘密〜』 明の第9代皇帝・成化帝の時代を舞台にした『成化十四年〜都に咲く秘密〜』(2020)の主人公は推官(法を司どる役人)の唐泛(とうはん)と、錦衣衛(皇帝直属の警察)のリーダー格・隋州(ずいしゅう)。それぞれ別の組織に属している二人はある事件の捜査で協力することに。さらにワケあって同居する事態に。唐泛は頭脳明晰だけど空気が読めず、捜査でも暴走しがち。寡黙で実直な隋州はそんな唐泛をしっかりフォローしていく。難事件を捜査するうちに公私にわたる名コンビになっていく二人のブロマンスが見どころだが、そんな彼らに絡んでくる宦官の汪植(おうしょく)も気になる存在。皇帝の寵妃・万貴妃に忠誠を誓っている汪植は、二人の捜査に力を貸すこともあるが、敵なのか、味方なのか。複雑に絡み合う3人の関係から目が離せなくなる。 『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』はラブラブモードな甜寵劇 “甜寵劇”(甘く寵愛!?)、それはイケメンがヒロインをベタベタに溺愛する、最近の中国ドラマではお約束のシチュエーションが盛り込まれたドラマで、『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』(2019)もまさにその1本。義侠心に溢れる怖いもの知らずのお嬢様・花溶(かよう)を海賊王の秦尚城(しんしょうじょう)がとにかく溺愛。一途に見つめ、危機に陥れば救い、からかったり、甘やかしたり、他の男と一緒にいれば嫉妬したり。敵はもちろん手下からも恐れられるクールな海賊の秦尚城が、花溶とのやりとりに思わず笑みを浮かべてしまったり、困った顔を見せたりとかわいい男になってしまう。そんな秦尚城の熱すぎる愛情に、はじめは猛反発する花溶だが、次第にその優しさと愛に惹かれるように。しかし、素直になれずにすれ違いが続くじれキュンな展開となり……。まさに王道のラブコメが楽しめる。 若手からベテランまで。中国時代劇のキャストは層が厚い! フレッシュなスターが集まった『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』 次々と新しいスターが登場する中国ドラマ。『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』でヒロインの花溶を演じたチャオ・ツァオイーも、2019年にドラマデビューしたばかりの新鋭。『運命の桃花~宸汐縁~』(2018)への出演で知られる秦尚城役のユエン・ハオも、本作で主演をゲット。このほか、花溶に想いを寄せる謎の御曹司・金逸文(きんいつぶん)を『刺客列伝』(2016)にも出演する台湾のボーイズグループSpeXialのイー・ボーチェンが演じるなど、フレッシュな若手スターが、「海賊とお嬢様」という架空の時代劇ならではのキラキラした設定と胸キュンのロマンスを生き生きと演じている。 『成化十四年〜都に咲く秘密〜』はベテランにも注目を! 天真爛漫な唐泛を演じたグアンホンとクールな隋州を演じたフー・モンボーは共に台湾出身で、時代劇は本作が初めて。汪植役のリウ・ヤオウェンも2016年にボーイズグループZERO-Gのメンバーとしてデビュー、演技の経験はまだ浅い。そんな意気のいい若手が揃った本作だが、彼らを支えるベテラン勢の演技も見どころ。成化帝の妃・万貴妃(ばんきひ)を演じるのはドラマ『悪との距離』(2019)で台湾エミー賞長編ドラマ部門主演女優賞を受賞した実力派のアリッサ・チア。『瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜』(2018)で袁春望(えんしゅんぼう)を演じたワン・マオレイが数々の事件のカギを握る謎の男・李子龍(りしりゅう)に扮し、貫禄の演技を見せている。 文=青木純子、熊坂多恵/制作=キネマ旬報社 『成化十四年〜都に咲く秘密〜』 ●配信:5月7日(金)Rakuten TV/ビデオマーケットにて先行配信START ●レンタルDVD:5月7日(金)Vol.1~8 /6月2日(水)Vol.9~16/7月2日(金)Vol.17~24 ●セルDVD:5月7日(金)BOX1(8枚組)19,800円 /6月2日(水)BOX2(8枚組)19,800円/7月2日(金)BOX3(8枚組)19,800円 デジタル配信・DVDの詳細情報はこちら ●発売元:「成化十四年」製作委員会 販売元:ポニーキャニオン ©BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO.,LTD. 『一夜の花嫁~Pirates of Destiny~』 ●配信:6月2日(水)Rakuten TV/ビデオマーケットにて先行配信START ●レンタルDVD:6月2日(水)Vol.1~6 /7月2日(金)Vol.7~12 ●セルDVD:6月2日(水)BOX1(6枚組)14,080円 /7月2日(金)BOX2(6枚組)14,080円 デジタル配信・DVDの詳細情報はこちら ●発売元:ポニーキャニオン/ビデオマーケット/楽天 販売元:ポニーキャニオン ©Hunan Mgtv.com Interactive Entertainment Media Co.,Ltd
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【第10回】みうらじゅんのグレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ
2021年4月16日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) 2012年7月放送、第10回のテーマは「長い黒髪の女の子」 みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」第10回目を迎えました。テーマは、「長い黒髪の女の子」ということでございます。 今回のテーマはジャパン・ビューティ「長い黒髪の女の子」!。可憐にそして濃厚に誘う濃厚フェロモン!純度100%の大和撫子大特集。いつまでも追いかけているあの娘の後ろ姿。いまなお色褪せない初恋ファンタジーが蘇る!! 今回のテーマは「長い黒髪の女の子」。なんなんでしょう?今までおっぱいとか、お尻ばっかりに絞ってきましたけど、ついに上に上がってきたっていうことですよね。髪の毛もやっぱりこうセクシーゾーンではないかということでございます。 日活ロマンポルノが盛んに撮影られてた70年代と80年代っていうのは、女の子の髪型がすごく変遷した時代ではあったんじゃないかなと思うんです。70年代に一番僕が劇場に観にいっていた頃はですね、基本的にはストレートの黒髪の直毛であるということが、美少女の条件でございました。楽屋で一生懸命も描いていました。見て下さい。 これ僕が何回も何回も、高校時代に描いた絵です。当時、上村和夫さんの「同棲時代」っていうマンガがあったんですけど、よくセーラー服がでてきまして。僕が通っていたのは男子校だったんで、周りにも誰もセーラー服の娘がいないんだけど、なんかセーラーが急に好きになるって言う事で。何なんですかね、僕らよりも上の世代ですよね。セーラーが好きな人ってね。 セーラー服ってそもそも、海軍のね男の人が着る服で、避難する時にすぐ脱げて、飛び込める格好であるって、ここの紐をパンと外すと胸開きますから。それが、なぜ女子校生に用いられたってことですよね?すぐ脱げるということに意味があるのか?っていうことですよね。後におニャン子クラブで、「セーラ服を脱がさないで」みたいなこと言うでしょ。ということでやっぱり脱ぎやすい服であるということにエロチシズムが発生してたということですよね。 選んで!みうらさん 今月の厳選作 今回紹介するのは、1976年製作の『禁断・制服の悶え』。当然制服っていうことは、当然、セーラー服でございます。主演が東てる美さん。このポスターのポーズ、頭に手をもってきてますが、口元に手をやると『エマニュエル夫人』と同じですね。古くは弥勒菩薩の半跏思惟になるっていうのが、セクシーに見えた時代です。この方も黒髪で横分けでしょう。横分けっていうのがこれがまたイイんですよね。 そして『幼な妻 絶叫!!』。絶唱といのは山などでよくありますが、絶叫ですからね。当時ポスターが近くの大衆浴場に貼ってあったんですけど、この方(谷ナオミ)が幼な妻だとずっと思ってたんよね。谷ナオミさんですよね。谷ナオミさんが目立ちすぎててね。実は渚りなさんが主演で、この方は真ん中わけですよね。この頃、渚といえば、渚ゆう子さん。「京都慕情」が大ヒットした方で、あと、大島渚さんが有名ですよね。そんな関係ない渚ブームがありました。 『エロス学園 感度ばつぐん』。この頃、流行っていました梶原一騎先生の一騎イズムの学園モノなんですよね。「愛と誠」も流行っておりました。最終的にエロ本でよく描いておられた福原秀美さんという漫画家先生がおりまして、ご存知ですかね?必ずセーラー服の女性が山道を歩いているところから始まるんですよ。そこになんかおっさんがフンドシ一丁出てきて、ふんどしはずしたら、ビーンとなっていて。黒くベタ塗りしているところに、美しく【実物大】って書いてありました。『エロス学園 感度ばつぐん』というのもグッとくる、その流れのタイトルですよね。主演が小川亜佐美さん。この方もセーラー服で真ん中分けで、黒髪でロン毛であるということで条件がかなっていますね。この男優の方がちょっと目立ちすぎ。転校してきて、昔「ぶれいボーイ」っていうマンガがあったんですけど、ちょっと悪いヤツのほうがモテるっていうのがこの頃あったんですよ。僕は全然悪くもなかったし、正しくもなかったんで、モテやしませんでしたけど。 『団鬼六 美女縄地獄』。高倉美貴さん主演の作品でございます。美しい人ですよね。センター分けで黒髪であるということで。それと団鬼六さんのやっぱりあの骨頂である「蔵モノ」ですね。あの蔵っ言っても、酒蔵ではない縛り蔵っていうやつで。未だに田舎の町で蔵を見つけると中で、縛られてんじゃないかなと思ってしまうほど、団鬼六さんには影響を受けました。 教えて!みうらさん 黒髪美少女ヒストリー この長い黒髪、センター分けよりちょっと外れたところがポイントでございます。個人的に大好きだった方は栗田ひろみさんでしたね。初のグラドルではないでしょうか。僕この方が大好過ぎて、上京したのは、栗田ひろみさんと将来的に結婚しようと思って、半分本気で出てきたんですよ。 それほど好きだった栗田ひろみさんが直毛であった。そして『旅の重さ』(1972年 松竹製作)の高橋洋子さんもセンター分けの直毛。その他にも、南沙織さん、りりィさん。村地弘美さんも浅田飴のコマーシャルで長かった。そしてオリヴィア・ハッセーさんですよね。小林麻美さんも長かったです。最終的には、麻丘めぐみさんのお姫坂カットになりました。 その後、どうなったかというのを伝えておこうと思いますが、こういう70年代の良い時代があった後に、80年代、本当、ひどかった~。こういうふうになります、女の子の頭(笑)。 『禁断・制服の悶え』(1976) 『幼な妻 絶叫!!』(1976) 『エロス学園 感度ばつぐん』(1977) 『団鬼六 美女縄地獄』(1983) ※各作品はFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です 次回11回目の「グレイト余生映画ショー」なんですけど、テーマは「深夜番組」。深夜番組といっても、色々ありますよね。当然日活ロマンポルノで、深夜番組というピンと来た人もいるでしょ山本晋也監督の「晋也番組」の特集でございます。お楽しみにお待ちくださいませ。それではあなたもグレイト余生を! ■クレジット 出演・構成:みうらじゅん プロデューサー:今井亮一 ディレクター:本多克幸 製作協力:みうらじゅん事務所・日活 ■2021年5月 放送予定 【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方) ・『団鬼六 薔薇地獄』 ・『薔薇のためいき』 ・『黒薔薇昇天』 ・『白薔薇学園 そして全員犯された』 〔日活ロマンポルノ傑作選~団鬼六と女王たち~〕 ・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』 ・『団鬼六 女美容師縄飼育』 ・『団鬼六 縄責め』 ・『団鬼六 美教師地獄責め』 【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方) ・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』(R-15版) ・『団鬼六 薔薇地獄』(R-15版) ・『タクシー野郎 夜の淫花』(R-15版) あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯96」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから -
【あの頃のロマンポルノ】第8回 神代辰巳監督の「赫い髪の女」
2021年4月9日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。キネマ旬報」に過去掲載された、よりすぐりの記事を「キネマ旬報WEB」にて連載していく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。 今回は、ロマンポルノ作品として1979年第53回「キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画第4位に選ばれた神代辰巳監督の『赫い髪の女』をピックアップ。1979年4月下旬号より、斎藤正治氏による映画評を転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 人間の存在を問う試み 「赫い髪の女」で、またしても“束の間の共同体"を描いて、人間の存在とはなにか、を問う試みを展開、みごとに形象化してみせてくれた。 またしても、というのは「櫛の火」で、それを見ているからだ。巨大なブルトーザーに追いかけられる「櫛の火」の男のトップシーンは、ダンプカーをやりすごして歩く女宮下順子に対応する。「櫛の火」の主人公も、「赫い髪の女」の男石橋蓮司も、子供の三輪車をこいでいた。強い女の性に、幼児化しようとする男の意識下の願望が両方の作品にひょんと出ていた。さらになにより草刈正雄・ジャネット八田の一対の男女がくりひろげる体位のバリエーションが、石橋蓮司・宮下順子の家庭にも、たっぷり展開されていた。そういう相似点を含めて、神代は、束の間の共同体に託して、再び性的存在として人間をテーマにした。 「櫛の火」は小市民的な知識階層の人物たちだったため、その虚飾性をはぎとる手続きも描く過程もあったが、「赫い髪の女」は、もうはぎとり虚飾のなにもない肉体労働者の男女に設定を下降させての世界である。そこで神代は、内実を崩壊させたまま、形骸だけが生き残っている現代の家庭に対して、それとは逆に形すらもさだかでない“家庭”をとりあえずつくりあげて、その生活の中での人間とは何だろうかを、試みているのだ。草刈・ジャネットや、石橋・宮下がつくった“家庭”を、私は(清水潤の云い方を借りて)当時“束の間の共同体”と名付けた。 トップシーンで「憂歌団」のやりきれなくけだるい調子の「どてらい女といわれても/せめてあんたといる時にゃ/弱い女でいたかった」という歌が流れるが(神代は音楽の挿入が実にうまい)「赫い髪」の宮下順子を、形容してぴったりだ。ということは彼女も、神代が一貫して描き続けてきた”強いがやさしい女”だからだ。ついでにいえば、登場する女たちは亜湖も和服行商の絵沢萠子もアル中乞食を養う山口美也子も、みんな“強くて”、男に尽くしてやさしい。 二対の男女、宮下・石橋組と若い亜湖・阿藤海カップルで、女に共通しているのは性を女から仕かけていくことだ。宮下の体は常に石橋の上にあったし、若い二人は亜湖の方が行動の主導権を握っている。このような関係は、性だけが確実に、共同体の出会いや行末を保証していて、その紐帯が切れたら、これらのカップルは崩壊するしかないとおそれているように、女上位である。神代の描いた女上位はしかし、いまはやりの自立などというレベルを超えて、女が男を組敷く体位だけが、自分の存在しているあかしであるといっている。はじめに、人間の存在を問う試みをしている作品だ、と書いた理由である。 女が転がり込んで過ごす“束の間”の日日は、雨ばかり降っていて、物みなかびてしまうガタピシのアパート。下着や靴下の匂いがムンムンとし、女はスーパーのラーメンや卵の安さに異常にこだわっている。まさに生活的な女といえそうだが、そういう設定にしながら神代は彼女に、普通の生活感覚を背負わせない。日常のなかで、「一日中やっていようよ」とやりまくらせ、孤独と実体がさだかでない不安から通れようとあがき、そうすることでますます内部崩壊を加速していく女を描いた。宮下順子の泣きべそと笑いの往還する表情に、現代の家庭といって適当でなければ、人と人のつながりのありようを見る神代の目は、深くエロチックであり、狂暴でありながらさめている。「櫛の火」とのつながりでいえぽ、性に耽溺し、それを内部から自分を食い破る営為としたことで、いっそう深く、存在としてのいまの女を描き出した。神代の中に沈潜する無常感を、女の性のさらに深部で表現したともいえる。神代特有の意識・心象の映像による形象化を、いっそう進めたところでなしとげた作品として、私はおののきながら見た。高い“性の存在論”ともいえる神代の作品に、宮下順子、石橋蓮司、それに亜湖がすぐれた演技で応えている。 文・斎藤正治 「キネマ旬報」1979年4月下旬号より転載 『赫い髪の女』【Blu-ray】 監督: 神代辰巳 脚本:荒井晴彦 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから -
【第9回】みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ
2021年4月2日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。 第9弾は、衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) 2012年6月放送、第9回のテーマは「ロマンポルノ界の○○」 どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」第9回目の特集は「ロマンポルノ界の○○」。何でしょう?お楽しみにご覧くださいませ。 生まれた瞬間から始まる、余生へのカウントダウン。残された人生をよりハッピーエンド&グレイトにすごすため、男たちの永遠のバイブル!日活ロマンポルノ青春ロードショー!今晩のオカズは「ロマンポルノ界の○○」。その容姿に秘められたスターの面影。最強の称号を手に入れたセクシーヴィーナス大集合。官能の世界に舞い降りた奇跡!妄想と現実の世界が織り成す、夢のバーチャルエロス!行けなくてもいい。無理やりでもいい。俺の息子よ大きくなれよ! 今回はですね、第9回「ロマンポルノ界の〇〇」。〇〇って書いただけで、かつて山城新伍さんはコレを「チョメチョメ」と読んだ時代がありましたけど。あれ「XX」でしたっけ? 〇〇二つ続くと、何が入るのかなって。三つ〇〇○と続くと、あれだなぁなんて思う人いると思うんですけども。 今回はですねこういうことですよね。山科ゆりさんの『真夜中の妖精』をおかけするんですけども、山科ゆりさんが1973年製作の『真夜中の妖精』に出てた頃に、ロマンポルノ界のなんて呼ばれてたということですよね。これは、全国模試に多分出ると思いますんで、是非ともこれ覚えていって下さい。「ロマンポルノ界の吉永小百合」ということで、時代をちょっと感じますけども。まあ清純なイメージのうたい文句なんでしょ。山科ゆりさんの『真夜中の妖精』、かなり見た後、気持ちがドンヨリしてしまいます。それだけは言っときます。ちょっと若い方はトラウマになってしまう可能性があるので、気をつけてください。 さあ、次でございます。日向明子さん。日向というのは、おそらく宮崎県の方なんじゃないかなと当時から思っていたんですけど。この方は、「ロマンポルノ界の百恵ちゃん」。髪型なんですかね。当時ショートでパーマを少しかけておられました。唇のポッテリ度もあり、「百恵ちゃん」って当時呼ばれてたんでしょう。『百恵の唇 愛獣』。「あいじゅう」って読むんですかね?当然、怪獣の次は、愛獣になるんでしょ。そこに出られているもう一人の方が、泉じゅんさん。泉さんも「ロマンポルノ界の○○」と呼ばれておりました。「ロマンポルノ界の水沢アキ」。いまではどちらもご存知ない方が多いかと思いますが、この方は本当、かわいくて、脱ぎっぷりがよくて、大変お世話になりました。 次は、『ひと夏の体験 青い珊瑚礁』に主演されていた寺島まゆみさん。ちょっと前にスキャンティーズの特集もしましたけれども。「ロマンポルノ界の聖子ちゃん」でしたね。やっぱり百恵ちゃん、聖子ちゃんに集中しているということがわかると思います。 そして『ズームアップ 暴行白書』。風祭ゆきさん「ロマンポルノ界の松坂慶子さん」って呼ばれていたんですね。この作品観てましたけど、当時話題になっていた「美人すぎる深夜放送のDJ」と呼ばれていたあの方がモデルになっているんじゃないかという作品だと思って観ておりました。この作品のオープニングにもかかっていますけれど、梶芽衣子さんの「怨み節」っていう曲がかかります。いい曲ですよね。梶芽衣子さんの「女囚さそり」シリーズ(東映作品)にかかっていた曲なんですけど、その曲が意味深にかかってきます。 この4作品はですね、色んな時代の影響下にある作品で、『真夜中の妖精』のオープニングは、多分そうだと思うけど三善英史さんって「雨」って曲をヒットされた方ですね。とてもATG っていう映画のニオイがプンプンしている映画でございました。監督が田中登さんですからもう、プンプンしている。『百恵の唇 愛獣』はこれはもろ百恵ちゃんの「赤いシリーズ」大映ドラマの赤いシリーズのニオイがプンプンしてる。『ひと夏の体験 青い珊瑚礁』の場合はもう、沖縄返還随分が経ってから海洋博とかのニオイがプンプンしております。 ■もっと知りたい〇〇界の〇〇 緊縛界の〇〇 SMの緊縛の中にもアイドルの名前が入ってるということで。谷ナオミさんは「緊縛界のマリリン・モンロー」ですよね。団鬼六さんがおつけになったんだと記憶しております。その二代目のSM 女優の麻吹淳子さんも、これも団鬼六さんの発言で僕知りました「緊縛界のイングリッド・バーグマン」ってことでさらに遡ってるってことですよね。時代は古くなってますね。その後、出てきた高倉美貴さん。団鬼六さんが惚れ込んで、出演してもらったという触れ込みがあります。「緊縛界のオリビア・ハッセー」ってことで。 その他にもポルノ界には色々おられました。 「ロマンポルノ界の百恵ちゃん2」というのが井上麻衣さん。 「ロマンポルノ界のジャンヌ・ダルク」が田中真理さん。もうコレ歴史上の人物になっているというのがすごいですよね。 「ロマンポルノ界の栗原小巻さん」ある世代の人はグッとくると思いますけど。野平ゆきさんでした。 「ボディビル界の百恵ちゃん」、西脇美智子さん。これ覚えているでしょう、映画がありました『お嬢さん探偵ときめき連発』(1987年製作)。「ときめき連発」って表現もななかななものだと思っております。 さらに、ボードでまとめてきておりまして、 将棋界の聖子ちゃん→林葉直子 グラビア界の黒船→リア・ディゾン 文学界の聖子ちゃん→田辺聖子 この方『ポセイドン・アドベンチャー』という映画が流行った時、「お聖どん・アドベンチャー」(1977年作)という本を書かれておりました。 民謡界の百恵ちゃん→金沢明子 仏像界のアイドル→阿修羅像 ?(首をかしげる)コレ、いります? サッカー界のベートーヴェン→ペレ ロック界のモーツァルト→ザ・ビートルズ いくつの世代の方が名付けたかわからないですが。浪速のモーツァルトはキダ・タローさんですよね。 魚界のプレスリー→イトヒキアジ これ調べてもらったんですけど、プレスリーの「エルヴィス・イン・ハワイ」の頃の衣装に似ているっていう(笑)。 70年代から80年代の半ばくらいまでですかね、〇〇界の〇〇とつけるのが大流行だったという。 『真夜中の妖精』(1973年) 『百恵の唇 愛獣』(1980年) 『ひと夏の体験 青い珊瑚礁』(1981年) 『ズームアップ 暴行白書』(1975年) ※各作品はFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です いかがだったでしょうか次回第10回のテーマですけども、「長い黒髪の女の子」っていうことで、日活ロマンポルノ中の長い黒髪が、もう最高に似合ってた人の特集をさせていただきたいと思います。楽しみ待っていてくださいそれではあなたも、グレイト余生を! 出演・構成:みうらじゅん プロデューサー:今井亮一 ディレクター:本多克幸 製作協力:みうらじゅん事務所・日活 ■2021年4月 放送予定 【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方) ・『団鬼六 薔薇地獄』 ・『薔薇のためいき』 ・『黒薔薇昇天』 ・『白薔薇学園 そして全員犯された』 【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方) ・『団鬼六 薔薇地獄』(R-15版) ・『タクシー野郎 夜の淫花』(R-15版) ・『トルコ最新テクニック 吸舌』(R-15版) あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯95」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから