座頭市果し状
ざとういちはたしじょう The Blind Swordsman and the Fugitives
解説
子母沢寛の原作を、「ひとり狼」の直居欽哉がシナリオを執筆し、「妖怪百物語」の安田公義が監督した“座頭市”シリーズ第十八作目。撮影は「講道館破門状」の宮川一夫。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
いきなり映画のクレジットがでている中で流れる音楽がまるでマカロニウエスタン調で、それにあわせて勝新が歌っている。うん、やっぱりマカロニウエスタン版時代劇なんだ。だから楽しいんだよな。カメラは宮川一夫。大映は良いカメラマンを持っていたねえ。 いつもながら勝新のがに股歩きの道中でヤクザに襲われて斬る。野川由美子はヤクザ仲間の一人として登場するが、志村喬は悪役で出てくるのか、良い役で出てくるのか?小松方正は悪役に決まっているよね。
今回の舞台は秩父。途中、中だるみがあったが、ラスト近くになって面白くなってきた。
座頭市が珍しく相手の鉄砲で傷を負う。で、ラスト、世話になった医者(志村喬)とその娘を助けるため、傷を負ったまま敵地に乗り込み立ち回り。最後に対決した侍?(待田京介)を倒すが、実はその侍は...。野川由美子扮するお秋は市に助けられて、市の側に立って市を助ける。普通、このストーリーだったら最後は殺されるんだけど、生き残っていましたねえ。
それにしても勝新は歌が上手い。
野川由美子という役者、若い頃はよく見ていたが、どこかの映画会社に属していたということはなかったんだ。小松方正は大島渚映画の常連。私の印象に残っているのは、にっかつロマンポルノの確か「朝はダメよ!」でエロ親父をやっていたのをよく憶えている。コメディ映画なんだけど変態親父っぽいのがすごく良かった。
「座頭市果し状」のストーリー
秩父街道を旅する市は、とある宿場町に着いた。たまたま浪人者、弦八郎や松五郎一家に斬られた百姓を医者順庵にかつぎ込んだことから順庵と親しくなった。順庵は何故か、娘お志律の心配をよそに酒びたりだった。間もなく、順庵の家に世話になった市のところへ、松五郎から迎えが来た。用心棒になってほしいというのだった。断った市をやくざどもは斬りつけたものの、市の居合いの妙技には息をのむばかりだった。そんな市に、弦八郎の女お秋は警告した。その直後、弦八郎は松五郎の依頼で、庄屋の徳左衛門を斬殺した。この暴挙に市は一味の逃亡を妨げようとしたが、弦八郎と対峙した時、短銃で射たれ肩先に弦八郎の刀を受けてしまった。市の手当てをしたのはもちろん、順庵父娘だが、松五郎たちはすぐさま追ってきた。しかし、市の姿は順庵の家から消えていた。順庵とお志津は松五郎の機織場に連れこまれ、拷問を受けた。一方姿を隠していた市は知らせを受けて松五郎一家に乗り込んだ。傷口から血を流し、よろめきながらだったが、市の闘いぶりはすさまじかった。順庵とお志津を安全な場所に逃がすと、仕込杖を握り斬って斬って斬りまくった。やがて阿修羅のように斬りまくるその市の前に、弦八郎が現われた。間合いを計った弦八郎は大刀を一閃、とび違った市の仕込杖がキラリと光った。倒れたのは弦八郎だった。その時、様子を見に来たお志律と順庵は、倒れた弦八郎にすがりついた。弦八郎は順庵の息子だった。やむを得ない仕儀とはいえ、またしても人を斬り、順庵父娘を悲しみに追いやった市は自分がいやにならざるを得なかった。宿場町を黙って去っていく市の肩は重い。
「座頭市果し状」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「座頭市果し状」のスペック
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