解説
角田光代の同名小説を「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が映画化。銀行勤めの平凡な主婦が、年下の大学生との出会いをきっかけに金銭感覚が少しずつ歪み始め、犯罪に手を染めていく様を映し出す。出演は「父と暮らせば」の宮沢りえ、「愛の渦」の池松壮亮、「闇金ウシジマくん」の大島優子、「ハッピーフライト」の田辺誠一、「かもめ食堂」の小林聡美。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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89bubble93
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ミャーノフ大佐
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如庵
2014年; 吉田大八監督/角田光代原作 日本アカデミー主演女優賞
時に人は現状から脱したくなる。リカも主観的には満足できない生活を変える些細な出逢いから転落し、歯止めが効かなくなってしまう。銀行業務のディテールは映画にリアリティを与えているが、不安定なリカの描写に集中し過ぎ、夫や愛人の大学生、銀行の同僚など、他の人物彫琢が浅く、紋切り型に堕し、人間的複雑な心裡がまるで伝わってこない。だから敢えてリカが変化を求める必然、大金を貢いだ割にあっさり別れる愛人関係の濃厚さ、狂気も宿命も何も感じられず共感する対象がない。各々の演技は悪くないが、まさに偽物的、中途半端で底の浅いドラマに終始している。
「紙の月」のストーリー
1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた……。
「紙の月」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「紙の月」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ サスペンス・ミステリー |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2014年11月15日 |
上映時間 | 126分 |
製作会社 | 「紙の月」製作委員会(松竹=ポニーキャニオン=ロボット=アスミック・エース=博報堂=朝日新聞社=ぴあ=KDDI)(制作プロダクション:ロボット) |
配給 | 松竹 |
レイティング | PG-12 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | http://www.kaminotsuki.jp/ |
コピーライト | (C)2014「紙の月」製作委員会 |
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